2026年9月に入ってから、iDeCoの金融機関のサイトに「掛金額変更 事前受付」という案内が並びはじめました。国民年金基金連合会のお知らせにも、「2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からiDeCoの拠出限度額が引き上げられます。」と書かれています。会社員(企業年金なし)なら月2万3,000円から月6万2,000円へ。数字だけ見ると、大きな変化です。
ただ、この案内をよく読むと、少し様子が違って見えます。12月1日に上がるのは「上限」であって、いま払っている掛金ではありません。届け出をしなければ、掛金は1円も変わりません。そして「10月末が締切」という言い方でよく紹介されているものは、掛金を増やす道のうちの1本目です。楽天証券・りそな銀行・SBI証券はいずれも書面の事前受付を10月30日必着としていますが、その後ろにもう2本、道が続いています。
この記事は、iDeCoを増やすことをすすめる記事ではありません。自分の上限はいくらになるのか、いつまでに何をすればいいのか、何もしなかったらどうなるのか。この3つを、政令の条文と国民年金基金連合会の資料、それに各社の案内で確かめるための記事です。
- 「iDeCoの増額は10月末が締切」と聞いたけれど、過ぎたらどうなるのかが分からない
- 上限が6万2,000円になると聞いたが、自分がその金額まで出せるのかどうかが分からない
- iDeCoに入ってはいるものの、掛金を変える手続きを一度もしたことがない
- 12月から上がるなら、2026年の年末調整で差し引ける額も増えるのか気になっている
- そもそも掛金を増やしたほうがいいのか、決めかねたまま案内を閉じてしまった
→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「自分の上限」と「自分が通れる道」を確かめるお手伝いをします。
- 12月1日に上がるのは上限のほうで、届け出をしなければ掛金は1円も増えないこと
- 「6万2,000円」が当てはまらない人がいること(第3号被保険者は据え置き、企業年金がある人は差し引いたあとの額)
- 「10月末が締切」は3本ある道の1本目で、そのあとにも書面の通常手続きとe-iDeCoが残っていること
- 「1年に1回」の1年は暦年でも年度でもなく、12月分から翌年11月分だと政令に書いてあること
- 増えた掛金が所得控除に効くのは2027年分で、2026年の年末調整には影響しないこと
ふくおさん、iDeCoの上限が6万2,000円になるって聞いたっす。もう入ってる人は、その日から自動で増えるってことっすよね?
そこがいちばん間違えやすいところでね。増えるのは上限のほうだけなんだ。いま月1万円で積み立てている人は、12月になっても月1万円のまま。届け出をしないかぎり、掛金は1円も動かないよ。
えっ、上限が上がったら勝手に上がるもんだと思ってたっす……。じゃあ届け出ればいいんすね?
うん。ここで「10月末が締切」という話をよく見かけると思うんだけど、あれは書面の事前受付という1本目の道の締切なんだ。楽天証券・りそな銀行・SBI証券は3社とも10月30日必着だよ。
1本目ってことは、2本目があるんすか?
あるよ。書面の通常手続きと、12月1日から12月24日までのe-iDeCo。たとえばSBI証券は、通常手続きの期限を「2026年10月下旬~2026/12/11(金)(SBI証券必着)」と書いている。ただしe-iDeCoはマイナンバーカードと事前の利用登録が要る道だから、カードがない人には通れない。「まだ大丈夫」の中身は、人によって違うんだ。
じゃあ入ってる人は、まず何から調べればいいんすか。
自分の上限がいくらになるのかが先だね。いくらに変えるか決まらないと、締切を気にしても動けないから。しかも6万2,000円が当てはまらない人がけっこういるんだ。順番に見ていこうか。

僕がお金で大失敗したのは2018年です。投機的な取引で130万円を失いました。含み損ではなく、確定した損です。いまでもあの数字だけは、金額まではっきり覚えています。
いま振り返って一番よくなかったのは、損の大きさそのものではなく、「上限まで出せる」という情報を、いつのまにか「上限まで出すべき」に読み替えていたことでした。使える金額の天井を見つけると、そこまで埋めないと損をしている気がしてくる。あのときの僕は、手元にいくら残るかより先に、いくらまで出せるかを数えていました。
今回の改正の案内を読んだとき、まず思い出したのがその感覚です。6万2,000円は目標額ではなく、天井です。天井が上がったことと、自分がそこまで届くかどうかは、まったく別の話でした。この記事は、その天井の高さと、そこに手を伸ばすための手続きを分けて確かめるために書いています。
12月1日に変わるのは、掛金ではなく「上限」です
まず、変わるものの正体をはっきりさせます。国民年金基金連合会が2026年8月17日付けで出したお知らせには、こう書かれています。
「2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からiDeCoの拠出限度額が引き上げられます。」
出典:国民年金基金連合会「iDeCoの拠出限度額の見直しに伴うiDeCo掛金額変更について」(2026年8月17日)
上がるのは拠出限度額です。拠出限度額というのは、その人がiDeCoに出せる掛金の上限額のことです。日本語で書くと当たり前のことなのですが、ニュースの見出しでは「iDeCoが月6万2,000円に」と縮められることが多く、掛金そのものが増えるように読めてしまいます。
この上限額がどこに書いてあるかというと、法律の本文ではなく政令です。確定拠出年金法施行令の第36条に、加入者の区分ごとの金額が並んでいます。そして改正後の条文は、すでに公布されています。e-Gov法令検索で確認すると、2026年12月1日に施行される改正は「国民年金基金令等の一部を改正する政令」(令和7年政令第442号・2025年12月24日公布)によるもので、改正後の条文そのものを今すぐ読むことができます。並べるとこうです。
📌 確定拠出年金法施行令 第36条(抜粋・カッコ内の一部を省略)
- 第一号加入者・第四号加入者(自営業・フリーランスなど)……「六万八千円」→「七万五千円」(国民年金基金の掛金などを納めた月は、その額を差し引いた額)
- 第二号加入者(企業年金がない会社員)……「二万三千円」→「六万二千円」
- 第二号加入者であって企業型年金加入者であるもの……「二万円」→「六万二千円(事業主掛金の拠出に係る月にあっては、六万二千円から当該事業主掛金の額を控除した額)」
- 第二号加入者であって他制度加入者であるもの……「二万円」→「六万二千円から他制度掛金相当額(中略)を控除した額」
- 第二号加入者であって第二号厚生年金被保険者又は第三号厚生年金被保険者であるもの(公務員など)……「二万円」→「六万二千円から共済掛金相当額を控除した額」
- 第三号加入者(会社員などに扶養されている配偶者)……「二万三千円」→「二万三千円」(変わりません)
改正後の条文には、このあとに第七号から第十号として第五号加入者(2026年12月から新設される区分)の額も加わります。
差を計算すると、企業年金なしの会社員で月3万9,000円、企業年金がある会社員や公務員で最大で月4万2,000円、自営業・フリーランスで月7,000円の拡大です。連合会の案内に載っている厚生労働省の資料にも「3.9万円増額」「最大4.2万円増額」「0.7万円増額」と書かれています。
くり返しになりますが、これは天井の高さの話です。天井が上がったからといって、いま出している金額が自動的に上がることはありません。
「6万2,000円」が当てはまらない人がいます
「iDeCoの上限が6万2,000円になる」という説明は、たしかに間違いではありません。ただ、この数字がそのまま自分の上限になる人は、実は限られています。理由は3つあります。
① 第3号被保険者は、そもそも引き上げの対象外です
会社員などに扶養されている配偶者、いわゆる第3号被保険者は、この改正の対象に含まれていません。連合会の案内には、事前受付の対象者の説明として、はっきりこう書かれています。
「①2026年12月1日施行により、iDeCoの拠出限度額が引き上げされる加入者区分の方(※)
※ 第1号被保険者、第2号被保険者、任意加入被保険者の方が対象です。第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません。」
出典:国民年金基金連合会「≪2026年12月施行≫iDeCo掛金額変更手続きのご案内」(2026年8月)
改正後の施行令第36条第6号も「二万三千円」のままです。厚生労働省の図でも、第3号加入者の枠は改正の前後どちらも「iDeCo 月額2.3万円」で変わりません。据え置きです。改正のニュースを見て「うちは扶養に入っているから、自分も増やせるのかな」と思った方は、ここでいったん止まっていただくことになります。
② 企業年金がある人は、差し引いたあとの額が上限です
会社に企業型DCや確定給付企業年金がある場合、6万2,000円は合算枠です。改正後の条文は「六万二千円から当該事業主掛金の額を控除した額」「六万二千円から他制度掛金相当額(中略)を控除した額」と書いています。りそな銀行の案内では、これを計算式の形にしてこう示しています。
月額 「62,000円-(企業型確定拠出年金事業主掛金月額+確定給付企業年金制度の定める「他制度掛金相当額」)」(千円未満の端数切捨て)
つまり、会社が出している分だけ、自分が出せる分は減ります。たとえば勤務先の企業型DCの事業主掛金が月3万円なら、iDeCoに出せるのは6万2,000円-3万円=3万2,000円です。同じ会社員でも、勤務先の年金制度によって上限はばらばらになります。自分の会社の事業主掛金額は、企業型DCの加入者専用サイトや、年に一度届く「お知らせ」で確認できることが多い数字です(ログイン情報の探し方はこちら)。表示の場所や名称は運営管理機関によって違うため、見つからないときは勤務先の担当部署に確認してください。
③ 公務員は、連合会の案内に出てくる上限が5万4,000円です(私学共済は5万5,000円)
公務員の方の場合、改正後の条文は「六万二千円から共済掛金相当額を控除した額」です。そして連合会が出している経過措置の案内には、6万2,000円という数字がそのまま出てきません。表に書かれているのは「21,000円以上54,000円以下」(国家公務員共済組合・地方公務員共済組合に加入されている方)、「21,000円以上55,000円以下」(私学共済に加入されている方)です。共済の掛金相当額を差し引いたあとの額が上限になるためです。
⚠️ 「6万2,000円×12か月」で節税額を計算すると、合わない人が出ます
ネット上の解説には「年間74万4,000円が全額所得控除になる」という計算がよく出てきます。これが成り立つのは、企業年金がない会社員(第2号加入者)が上限いっぱいまで出した場合です。企業型DCや確定給付企業年金がある方、公務員の方、そして第3号被保険者の方には、この金額はそのまま当てはまりません。掛金を決める前に、まず自分の区分と、勤務先が出している掛金の額を確かめてください。
| 区分 | 12月1日より前 | 12月分(2027年1月引き落とし分)から |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランスなど(第1号・第4号) | 月6万8,000円 | 月7万5,000円(国民年金基金の掛金・付加保険料と合算) |
| 会社員(企業年金なし) | 月2万3,000円 | 月6万2,000円 |
| 会社員(企業型DC・確定給付企業年金あり) | 月2万円 | 月6万2,000円-(事業主掛金+他制度掛金相当額)(りそな銀行の案内では千円未満切捨て) |
| 公務員 | 月2万円 | 月6万2,000円-共済掛金相当額。連合会の案内では5万4,000円以下(私学共済は5万5,000円以下) |
| 会社員などに扶養されている配偶者(第3号) | 月2万3,000円 | 月2万3,000円(変わりません) |
※改正前・改正後の額はいずれも確定拠出年金法施行令第36条(改正後は令和7年政令第442号による改正後の条文)、計算式と金額の目安はりそな銀行および国民年金基金連合会の案内によります。
「10月末が締切」は、3本ある道の1本目です
ここからが手続きの話です。掛金を増やすには「加入者掛金額変更届」を出す必要があります。そして2026年12月の改正にあわせて、通常より早く受け付ける事前受付という仕組みが用意されました。連合会の案内では、事前受付の対象になるのは次の4つをすべて満たす方だとされています。
📌 事前受付の対象となる方(4つの条件)
- ①2026年12月1日施行により、iDeCoの拠出限度額が引き上げされる加入者区分の方(第1号・第2号・任意加入被保険者)
- ②令和8年12月1日施行前の拠出限度額より多い額となるよう、掛金額を引き上げる方
- ③2026年12月分(2027年1月引落)掛金から変更される方
- ④現在の掛金納付方法が毎月定額の方
出典:国民年金基金連合会「≪2026年12月施行≫iDeCo掛金額変更手続きのご案内」(2026年8月)。月別指定(年単位)拠出の方は、加入している運営管理機関への問い合わせが必要とされています。
この事前受付をいつからいつまで受け付けるかは、連合会の案内には書かれていません。書かれているのは「<事前受付期間>2026年9月頃からの受付を予定しております。詳細は加入しているiDeCoの運営管理機関にお問い合わせください。」という一文だけです。そこで、実際に3社の案内を読み比べてみました。
1本目:書面の事前受付。3社とも10月30日必着です
結論から書くと、調べた3社の締切は、すべて10月30日で同じでした。
- 楽天証券……ウェブでの事前受付が「2026年9月1日~2026年10月30日17時まで」。書面の場合は「10月30日当社必着」。書面については「審査状況によって2027年1月からの引き落としに間に合わない可能性がありますので、ご注意ください。」という注記もあります
- りそな銀行……書面での事前受付が「事前受付期間:2026年9月1日(火)~2026年10月30日(金)【必着】」。手順も「STEP4 郵送 2026年10月30日必着」「STEP5 登録反映 2027年1月26日引落」と図で示されています
- SBI証券……「以下の期間につきましては、掛金額変更の事前受付を行っております。」として、「事前手続きの期限:~2026/10/30(金)(SBI証券必着)」。専用の変更届と返信用ラベルをサイトから印刷して郵送する方式です
違うのは日付ではなく、出し方でした。ウェブから出せるのは3社のうち楽天証券だけで、しかも「17時まで」と時刻まで決まっています。りそな銀行とSBI証券は書面だけです。そして3社とも専用の書式が必要で、通常の掛金額変更届では事前受付になりません。
⚠️ 同じ会社でも、開いたページによって見える締切が違います
この記事を書くために最初に開いたのは、SBI証券の「よくあるご質問」でした。そこには12月以降のe-iDeCoと書面手続きの案内しかなく、10月末の締切はどこにも出てきません。締切が書かれていたのは、そのよくあるご質問の中にある「制度改正の詳細については、当社WEBサイト(こちら)をご確認ください。」というリンクの先でした。金融機関のサイトで締切を探すときは、Q&Aで止まらず、制度改正の専用ページまで開いてみてください。
2本目:書面の通常手続き。SBI証券は12月11日必着と書いています
事前受付に間に合わなくても、書面の道は残ります。SBI証券は同じページで、事前受付の期限を過ぎた場合について「通常手続きの期限:2026年10月下旬~2026/12/11(金)(SBI証券必着)」と案内しています。変更届を請求できるようになるのは2026年10月下旬頃からで、「なお、事前にWEBサイト上で書類を請求いただいた場合、制度改正前の書類が送られますので、ご注意ください。」という注記も付いています。
楽天証券にも、掛金の納め方によって別の受付期間が用意されています。月別指定(年単位)拠出を続けたまま掛金額を変えたい方について、「書面でのお手続きによる変更のみとなります。11月1日~11月30日での受付として、11月1日にお手続き方法をご案内予定です。」としています。
この2本目の期間は、会社によって違います。そして、期限を公開している会社もあれば、これから案内する会社もあります。1本目に間に合わなかったときこそ、加入先の案内を直接読む必要があります。
3本目:e-iDeCo(12月1日~12月24日)。ただし入口に条件があります
3本目は、オンライン手続きサービス(e-iDeCo)です。連合会の案内には、こう書かれています。
「2026年12月1日(火)~12月24日(木)までお手続きが可能です。期間中お早めにお手続きください。
なお、他のお手続きとの兼合い等により、12月分の掛金額変更に間に合わないケースがございます。その場合は、2027年1月分以降の反映となりますので、ご了承ください。」
出典:国民年金基金連合会「≪2026年12月施行≫iDeCo掛金額変更手続きのご案内」(2026年8月)
ここで押さえておきたいのは、e-iDeCoは誰でもすぐ使えるわけではないという点です。SBI証券の案内には「マイナンバーカードをお持ちで、電子証明書の有効期限が切れていない方は、12月よりe-iDeCoによる電子申請が可能となります。」とあり、同社は「マイナンバーカードをお持ちでない場合は、書面にてお手続きください。」としています。つまりマイナンバーカードを持っていない方にとって、3本目の道はそもそも通れません。その場合は2本目(書面の通常手続き)が最後の道になり、期限は12月24日ではなく、加入先が決めた日です(SBI証券なら12月11日必着)。
カードをお持ちの方も、使う前に利用申込(アカウント登録)が必要です。りそな銀行の案内では、この登録の取扱時間が「平日午前8時から23時まで」(共済組合員は平日午前8時から21時まで)と限定されており、2026年12月上旬は申込が集中して登録完了まで数日以上かかることがあるとされています。楽天証券も早めの登録をすすめています。12月24日までに手続きを終えたいなら、アカウント登録だけは先に済ませておくのが安全です。
⚠️ 事前受付には、あとから直せないという性質があります
りそな銀行の案内には「事前受付の掛金額変更届は、事情の如何にかかわらず取下げ・再提出・重複届出(同じ内容の変更届を複数提出すること)はできません。」と書かれています。SBI証券にも「申請後の取消・変更はできませんので、ご留意ください。」とあります。さらにりそな銀行は、事前受付を出したあとで被保険者種別(第1号・第2号・第3号の区分)が変わると、届出内容と登録情報が一致せず形式不備として無効になるとしています。そして「国民年金基金連合会における掛金額変更の可否判定の確定処理(原簿更新)は2027年1月初旬に行われます。」。同行は、事情の変更が見込まれる場合は12月1日以降のe-iDeCoでの電子申請をすすめています。転職・退職・就職の予定がある方は、急いで書面を出すより12月に回したほうが確実な場合があります(e-iDeCoが使える方にかぎります)。
「iDeCoの増額は10月末が締切」という言い方は、この3社については当たっています。ただし締切があるのは1本目の道であって、掛金を増やす機会そのものの締切ではありません。制度の改正があるとき、「業界共通のこと」と「各社が決めていること」を分けて読むと、自分に必要な情報だけが残ります。同じことが火災保険でも起きていて、当ブログでは「火災保険が10月から値上げ」は、会社ごとの話ですで書きました。
道が3本もあるって知らなかったっす。入ってる人は、自分がどれを通れるのか、どうやって調べるんすか?
いちばん確実なのは、自分が加入している運営管理機関のサイトで「事前受付」か「掛金額変更」を探すことだね。連合会の案内も、どの手続きでも「ご自身がご加入中の運営管理機関へご相談ください」で締めくくられているよ。
3本ぜんぶ逃したら、来年まで待ちっすか?
そうはならないよ。掛金額の変更は12月で終わりではなくて、そのあとも手続き自体はできる。ただここから先は「1年に1回」という別のルールが効いてくるんだ。しかもその「1年」が、ちょっと変わった区切り方をしていてね。
「1年に1回」の1年は、1月から12月ではありません
iDeCoの掛金額は、いつでも自由に変えられるわけではありません。国民年金基金連合会のサイトには、こう書かれています。
「iDeCo掛金額の変更は、拠出限度額の範囲内で1年に1回、いつでもできます。
※ この場合の1年は拠出単位期間のことで、12月分から翌年11月分の掛金、納付月では1月から12月の期間となります。」
この「1年に1回」は、慣行ではなく政令に根拠があります。確定拠出年金法施行令第29条第3号は、個人型年金の規約が満たすべき要件として、こう定めています。
📌 確定拠出年金法施行令 第29条第3号
「個人型年金加入者掛金の額については、第三十六条各号に掲げる個人型年金加入者の区分の変更に伴い変更する場合その他厚生労働省令で定める場合を除き、第三十五条第一号イに規定する個人型掛金拠出単位期間につき一回に限り変更することができるものであること。」
そしてその「個人型掛金拠出単位期間」を定めている第35条第1号イには、「十二月から翌年十一月までの十二月間」と書かれています。
つまり、iDeCoの1年は12月にはじまって、翌年の11月に終わります。暦年でも、4月はじまりの年度でもありません。引き落としの月で言えば1月から12月になるので、家計の感覚とはひと月ずれています。
この区切り方には、意味があります。2026年12月分は、新しい拠出単位期間の1か月目にあたるからです。ちょうど区切りのタイミングで上限が上がるように設計されている、と読むこともできます。
企業年金がない会社員が2万3,000円に上げると、その「1回」を使います
ここが、この改正でいちばん見落とされやすいところです。連合会は、2026年12月の改正にあわせて変更回数の特例(経過措置)を用意しています。
「iDeCoの加入者掛金額の変更は、通常、拠出限度額の範囲内で1年(※1)に1回に限られますが、特例(経過措置)期間中は以下の取扱いとなります。
※1:12月分から翌年11月分の掛金(引落し月では1月から12月の期間)
……<特例期間>内に、2026年12月1日施行前の拠出限度額より多い額となるようiDeCo加入者掛金額を初めて増額する場合(※2)は、掛金額変更年1回の例外となります。【掛金額変更回数にカウントしません。】」
出典:国民年金基金連合会「iDeCoの拠出限度額の引き上げ(2026年12月施行)による加入者掛金額変更(増額)の特例のご案内」(2026年8月)。特例期間は2026年12月1日~2027年11月30日(運営管理機関での受付日基準)で、10月に出した「加入者掛金額変更届【令和8年12月施行事前受付専用】」も、特例の対象となる届出として同じ資料に挙げられています。
ありがたい特例です。ただし、この特例には金額の条件がついています。同じ資料に、区分ごとの金額表が載っているのです。
| 区分 | 変更後の掛金額がこの範囲なら、変更回数にカウントされない |
|---|---|
| 企業年金制度に加入されていない方(厚生年金のみ)<00> | 24,000円以上62,000円以下 |
| 企業型DCのみ/企業型DC+DBに加入されている方<01> | 現在の掛金額超かつ61,000円以下 |
| DBのみに加入されている方<02> | 現在の掛金額超かつ61,000円以下 |
| 国家公務員共済組合<50>・地方公務員共済組合<51> | 21,000円以上54,000円以下 |
| 私学共済<52> | 21,000円以上55,000円以下 |
| 企業型DCやDB等+私学共済に加入されている方<53> | 現在の掛金額超かつ54,000円以下 |
| 第1号被保険者・任意加入被保険者(上記のいずれにも該当しない方) | 69,000円以上75,000円以下 |
| 第1号のうち付加保険料を納付されている方 | 68,000円以上74,000円以下 |
※出典:国民年金基金連合会の同資料。< >内の番号は、掛金額変更届に記入する「企業年金制度等の加入状況コード」です。国民年金基金に加入している方は、基金の掛金月額とiDeCoの掛金額の合計額で判定されます。この表はiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)の対象者を除いた方のもので、iDeCo+の方は同じ資料の2ページ目に別の条件が載っています。
企業年金がない会社員の欄を見てください。「24,000円以上」です。2万3,000円ではありません。理由は単純で、特例の条件が「施行前の拠出限度額より多い額となるように増額すること」だからです。企業年金なしの会社員の施行前の上限は2万3,000円。だから、2万3,000円ちょうどに上げても「より多い額」にはならず、特例の対象外になります。
📌 1,000円の差で、扱いが変わります(企業年金がない会社員の場合)
- 月1万円 → 月2万3,000円に増額 … 特例の対象外。この12か月ぶんの「1回」を使います
- 月1万円 → 月2万4,000円に増額 … 特例の対象。回数にカウントされません
後者を選んだ場合、2027年11月30日までのあいだに、もう一度だけ掛金額を変えられる余地が残ります。ただし、これは「1,000円多く出すべき」という話ではありません。1,000円多く出すということは、年1万2,000円を追加で60歳まで動かせなくするということでもあります。それに、この期間の「1回」を使ってしまっても、次の拠出単位期間(2027年12月分から)になれば、また変更できます。使い切ると二度と変えられなくなる、という性質のものではありません。めったに使わない変更回数を残すために、60歳まで戻せない金額を上乗せするのは、順番が逆です。2万3,000円で止めるなら、それは今期の1回を使う選択なのだと知ったうえで決める。それだけのことです。
公務員の方の欄も同じ構造です。施行前の上限が2万円なので、「21,000円以上」から特例の対象になります。第1号被保険者は施行前が6万8,000円なので「69,000円以上」から。企業年金がない会社員・公務員・第1号被保険者の欄は、どれも「施行前の上限+1,000円」から始まっています。いっぽう企業型DCやDBがある方の欄だけは「現在の掛金額超かつ61,000円以下」という別の書き方なので、自分の区分の行をそのまま読んでください。いずれにしても、この表に合わせて金額を決めるものではありません。金額を決めたあとで、それが特例に入るかどうかを確かめれば足ります。
12月に増やしても、2026年の年末調整には1円も影響しません
「12月から掛金が増えるなら、2026年の年末調整で差し引ける額も増えるのでは」と考えたくなります。増えません。理由は所得税法の条文にあります。
「居住者が、各年において、小規模企業共済等掛金を支払つた場合には、その支払つた金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。」
出典:所得税法 第75条第1項(小規模企業共済等掛金控除)。同条第2項第2号で、確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金がこの掛金に含まれると定められています。
控除できるのはその年に支払った金額です。そして2026年12月分の掛金が実際に口座から引き落とされるのは、りそな銀行の案内にあるとおり2027年1月26日です。したがって増えた分が効いてくるのは2027年分の所得——つまり2027年の年末調整や、2028年に行う確定申告です。
年末調整に使う「小規模企業共済等掛金払込証明書」も、この流れに沿っています。楽天証券の案内には「払込証明書は例年10月下旬以降、国民年金基金連合会より圧着ハガキで発送されます。」とあります。2026年10月下旬以降に発送される払込証明書に載っているのは、これまでどおりの金額です。12月に増額の手続きをしても、このハガキの数字は変わりません。
⚠️ 「12月に増やせば今年の税金が減る」は、iDeCoでは成り立ちません
ふるさと納税のように「年内に動けば今年の分」という制度があるため、混同されやすいところです。iDeCoは引き落とされた日を基準にした年で数えます。2026年12月分は2027年1月26日の引き落としなので、2027年分です。なお住民税への反映は、さらにその翌年度になります。
では、増やしたときの効果はどのくらいか。企業年金がない会社員(第2号加入者)が、掛金を月2万3,000円から月6万2,000円へ上限いっぱいまで上げた場合、年間の掛金は27万6,000円から74万4,000円へ、46万8,000円増えます。仮に所得税率10%・住民税10%の合計20%とすると、増えた分に対応する税の軽減は概算で9万3,600円です。ただし所得税率は所得によって変わり、各種控除の状況でも結果は変わります。具体的な金額は勤務先の担当部署、または税務署・税理士にご確認ください。
そして、この数字には必ずもう一方を並べてください。増やした年間46万8,000円は、原則として60歳になるまで引き出せません。9万3,600円は「軽くなるかもしれない税」、46万8,000円は「その年に動かせなくなる現金」です。桁が違います。iDeCoで買う商品は投資信託などで、元本割れの可能性もあります。掛金が全額所得控除になることと、運用の結果がプラスになることは、別々の話です。

僕は会社に企業型DCがあるので、iDeCoは使っていません。今回の改正で上限がどう変わるのか調べているうちに、ふと「もし自分が入っていたら、いくらまで出せるんだろう」と気になりました。式は目の前にあります。6万2,000円-(企業型DCの事業主掛金+他制度掛金相当額)。引き算するだけです。
ところが、そこに入れる数字をひとつも言えませんでした。会社がいくら出してくれているのか、知らなかったのです。給与明細を開いても、事業主掛金は載っていません。企業型DCの加入者専用サイトに入って、ようやく数字を見ました。10年以上、その金額を見ないまま過ごしていたことになります(この加入者サイトの入り方は会社の企業型DC、中身は自分で選べますに書きました)。
制度の改正のニュースは、いつも制度の側から流れてきます。上限が上がった、何万円になった、締切は何日だ。けれど手を動かす段になると、必要なのは自分の会社の紙に書いてある数字でした。天井の高さを確かめる前に、自分がいまどこに立っているかを知らないと、引き算そのものが始まりません。
上限が上がることと、掛金を増やすことは、別の話です
ここまで手続きの話をしてきましたが、最後に前提のほうを書いておきます。この記事は、掛金を増やすことをすすめる記事ではありません。
iDeCoには、他の制度にはない制約があります。原則として60歳になるまで引き出せないことです。老後のための年金制度なので当然といえば当然なのですが、掛金を上げるということは、その金額を数十年単位で動かせなくするという意味でもあります。
だから順番があります。当ブログの生活防衛資金はいくら必要?では、生活防衛資金の目安を会社員で生活費の3〜6か月分、家族がいて片働きの方や自営業の方で6か月〜1年分としています。この現金が手元にない状態で60歳まで動かせないお金を増やすと、いざというときに解約できない資産だけが残ることになりかねません。
⚠️ 掛金を上げる前に確かめておきたい3つ
- 手元の現金は足りているか。生活防衛資金より先にiDeCoを増やすと、引き出せないお金の割合が上がります
- 毎月の固定費として耐えられる金額か。iDeCoの掛金は毎月の引き落としです。減らすにも手続きが要ります
- 減らすときも「1年に1回」に数えられること。特例の対象は増額だけなので、上げすぎてすぐ戻す、という動き方はしにくくなっています
逆に、すでに生活防衛資金があって、NISAも使っていて、それでも余裕がある方にとっては、上限の拡大は選択肢が増える出来事です。NISAとiDeCoのどちらを先に使うかについてはNISAとiDeCo、どっちが先?で整理しています。どちらも長期で使う制度なので、10月末の締切に合わせて急いで決めることではありません。
整理すると、入ってる人がやることは「自分の上限を調べる」「自分が通れる道を調べる」の2つっすか?
そうだね。順番もその通りだよ。上限が分からないうちに締切だけ気にしても、いくらに変えるか決められないからね。第3号被保険者の方は、そもそも引き上げの対象外だからここで終わり、ということもある。
自分、まだiDeCoやってないんすけど、この改正に合わせて始めたほうがいいっすか?
締切に合わせて決めることではないと思うよ。iDeCoは60歳まで引き出せないから、僕は、まず手元の現金と、いつでも引き出せるNISAから考えるようにしているんだ。それに今回の事前受付はすでに加入している人の掛金を変える手続きで、新しく始める話とは別なんだよ。
安心したっす。じゃあ自分は、まず今の積立を続けるところからっすね。
それでいいと思う。制度が広がったからといって、こちらが急いで合わせる必要はないからね。上限がすぐ下がるような話ではないよ。
まとめ:確かめるのは「自分の上限」と「自分が通れる道」の2つです
改正のニュースは制度の側から流れてきます。6万2,000円、10月末が締切、2.7倍——。けれど実際に必要なのは、自分の区分から出てくる上限額と、自分が加入している運営管理機関で、いまどの道が開いているかの2つだけです。
| 知りたいこと | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 12月1日に何が上がる? | 掛金ではなく拠出限度額(上限)。届け出をしなければ掛金は変わらない | 国民年金基金連合会「≪2026年12月施行≫iDeCo掛金額変更手続きのご案内」 |
| 金額はどこに書いてある? | 確定拠出年金法施行令 第36条。改正後の条文は令和7年政令第442号(2025年12月24日公布)で、すでに読める | e-Gov法令検索 |
| 第3号被保険者も上がる? | 上がらない(月2万3,000円のまま) | 同会の案内「第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません。」/改正後の施行令36条6号 |
| 企業年金がある人の上限は? | 62,000円-(企業型DC事業主掛金+他制度掛金相当額)。りそな銀行の案内では千円未満切捨て | 改正後の施行令36条3号・4号/りそな銀行の案内 |
| 公務員は? | 62,000円-共済掛金相当額。連合会の経過措置の案内では21,000円以上54,000円以下(私学共済は55,000円以下) | 改正後の施行令36条5号/同会「掛金額変更(増額)の特例のご案内」 |
| 1本目の締切は? | 書面の事前受付。楽天証券・りそな銀行・SBI証券とも10月30日必着(楽天証券はウェブでも可・10月30日17時まで) | 各社サイト(2026年9月13日確認) |
| 間に合わなかったら? | 2本目=書面の通常手続き(SBI証券は12月11日必着)、3本目=e-iDeCo(12月1日~12月24日/マイナンバーカードと事前の利用登録が必要) | SBI証券の案内/連合会の案内 |
| 「1年に1回」の1年とは? | 12月分から翌年11月分の12か月(納付月では1月~12月) | 確定拠出年金法施行令 第29条第3号・第35条第1号イ |
| 2万3,000円に上げたら? | 企業年金がない会社員は特例の対象外(2万4,000円以上が条件)=変更回数を1回使う | 同会「掛金額変更(増額)の特例のご案内」 |
| 2026年の年末調整に効く? | 効かない。12月分の引き落としは2027年1月なので2027年分 | 所得税法 第75条第1項/りそな銀行の案内 |
この記事の結論
- 12月1日に上がるのは上限だけです。届け出をしなければ、掛金は1円も増えません
- 6万2,000円がそのまま上限になるのは、企業年金がない会社員(第2号)です。第3号被保険者は据え置き、企業年金がある方と公務員は差し引いたあとの額になります
- 「10月末が締切」は3本ある道の1本目です。そのあとに書面の通常手続きと、12月1日~24日のe-iDeCoが残ります
- 「1年に1回」の1年は12月分から翌年11月分です。政令の条文にそう書かれています
- 増えた分が税金に効くのは2027年分です。2026年の年末調整には影響しません
今日できる3つのこと
- 自分の区分を確かめてください。第3号被保険者なら、今回の引き上げの対象外です
- 企業型DCや確定給付企業年金がある方は、勤務先が出している掛金の額を確認してください。加入者サイトや、年に一度届く「お知らせ」に載っていることが多い数字です(見つからないときは勤務先の担当部署へ)
- 加入している運営管理機関のサイトで「事前受付」を検索してみてください。Q&Aで見つからないときは、制度改正の専用ページまで開いてみてください
この記事がすすめないこと
- 締切に間に合わせるために、金額を先に決めてしまうこと。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。手元の現金を確かめてからで遅くありません
- 「上限まで出さないと損」と考えること。6万2,000円は目標額ではなく天井です
- 掛金が全額所得控除になることと、運用の結果がプラスになることを、ひと続きに考えること。iDeCoで買う投資信託等には元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません
- この記事の3社の締切を、自分の金融機関の締切として使うこと。締切も受付方法も金融機関ごとに変わります。必ず加入先の案内でご確認ください
🏢 「企業型DCの中身、一度も見ていない」と思った方へ
会社の企業型DC、中身は自分で選べますログイン情報がどこにあるか、加入者サイトで何を見るかの話です
🧭 「NISAとどっちを先に使うのか」で迷っている方へ
NISAとiDeCo、どっちが先?使い分けの考え方引き出せるかどうかの違いから、順番を整理しています
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融機関・金融商品の推奨や、投資判断の助言を行うものではありません。制度の内容・各社の締切・受付方法は変更されることがあります。実際のお手続きは、必ずご自身が加入している運営管理機関の案内でご確認ください。税額の具体的な計算は、勤務先の担当部署または税務署・税理士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 書面の事前受付(10月30日)に間に合いませんでした。もう掛金は増やせませんか?
A. まだ機会があります。道は2本残っています。ひとつは書面の通常手続きで、SBI証券は「通常手続きの期限:2026年10月下旬~2026/12/11(金)(SBI証券必着)」と案内しています。もうひとつはオンライン手続きサービス(e-iDeCo)で、連合会の案内には「2026年12月1日(火)~12月24日(木)までお手続きが可能です。」と書かれています。ただしe-iDeCoの利用にはマイナンバーカード(電子証明書が有効なもの)と事前の利用登録が必要で、利用できるかどうかは運営管理機関によっても異なります。カードをお持ちでない場合は書面での手続きになり、期限は加入先ごとに違います。また連合会の案内には「なお、他のお手続きとの兼合い等により、12月分の掛金額変更に間に合わないケースがございます。その場合は、2027年1月分以降の反映となりますので、ご了承ください。」という注記もあります。
Q. 専業主婦(主夫)です。私の上限も6万2,000円になりますか?
A. なりません。連合会の案内には「第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません。」と明記されています。改正後の確定拠出年金法施行令第36条第6号も「二万三千円」のままで、ここは動きません。厚生労働省の資料でも、第3号加入者の枠は改正の前後どちらも「iDeCo 月額2.3万円」です。
Q. 会社に企業型DCがあります。自分の上限はいくらになりますか?
A. 改正後の条文は「六万二千円(事業主掛金の拠出に係る月にあっては、六万二千円から当該事業主掛金の額を控除した額)」です。りそな銀行の案内は、これを「62,000円-(企業型確定拠出年金事業主掛金月額+確定給付企業年金制度の定める「他制度掛金相当額」)」(千円未満の端数切捨て)と示しています。事業主掛金月額は、企業型DCの加入者サイトや、年に一度届く「お知らせ」で確認できることが多い数字です。表示の場所や名称は運営管理機関によって違うため、見つからないときは勤務先の担当部署に確認してください。なお、りそな銀行の案内は、法改正にあわせて勤務先が事業主掛金月額を引き上げる可能性にも触れています。会社側の金額が変われば、自分が出せる額も変わります。
Q. 2万3,000円ちょうどに上げてはいけないのですか?
A. 上げられます。ただし特例の対象にはなりません。企業年金がない会社員の場合、変更回数にカウントされない金額は連合会の資料で「24,000円以上62,000円以下」とされています。2万3,000円は施行前の拠出限度額と同額で「より多い額」にならないため、通常どおりその拠出単位期間(12月分~翌年11月分)の1回として数えられます。ただし、1回を使っても次の拠出単位期間(2027年12月分から)になればまた変更できます。金額を決めたあとで確かめれば足りる話です。
Q. 増やした分は、2026年の年末調整で戻ってきますか?
A. 2026年の年末調整では、差し引ける額は増えません。所得税法第75条第1項は「居住者が、各年において、小規模企業共済等掛金を支払つた場合には、その支払つた金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。」と定めています。支払った年が基準です。2026年12月分の掛金が引き落とされるのは2027年1月(りそな銀行の案内では2027年1月26日)なので、2027年分の所得から控除されます。2026年10月下旬以降に発送される払込証明書の金額も変わりません。
Q. 事前受付を出したあとで、気が変わったら取り下げられますか?
A. 原則としてできないと考えてください。りそな銀行の案内には「事前受付の掛金額変更届は、事情の如何にかかわらず取下げ・再提出・重複届出(同じ内容の変更届を複数提出すること)はできません。」とあり、SBI証券の案内にも「申請後の取消・変更はできませんので、ご留意ください。」と書かれています。事前受付は、各社が書類を預かったまま2027年1月初旬の確定処理(原簿更新)を待つ仕組みだからです。りそな銀行は、事前受付を出したあとに被保険者種別が変わると形式不備として無効になる可能性があるとして、事情の変更が見込まれる場合は12月1日以降のe-iDeCoでの電子申請をすすめています。取り扱いは会社によって異なるため、出す前に加入先の案内をご確認ください。
Q. 掛金を減らすこともできますか?
A. できますが、それも「掛金額の変更」です。確定拠出年金法施行令第29条第3号は、増額か減額かを区別せず「個人型掛金拠出単位期間につき一回に限り変更することができるものであること」と定めています。今回の特例は増額を対象としたものなので、減額には適用されません。なお掛金の拠出そのものをやめる場合は、掛金額の変更ではなく別の手続き(加入者資格喪失の届出)になります。具体的な取り扱いは運営管理機関にご確認ください。
Q. 「iDeCoに70歳まで入れるようになる」という話とは別ですか?
A. 別の論点です。2026年12月の改正では、60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者ではない方などを対象とした「第5号加入者」という区分が新設され、改正後の施行令第36条にも第七号から第十号として上限額が加わります。この記事で扱っているのは、すでに加入している人が掛金額を変える手続きのほうです。新しく加入する場合の手続きは別で、たとえばSBI証券は「新設される第5号被保険者の方で加入を希望される方は、2026年11月頃、WEBから書類請求が可能となる予定です。」と案内しています(政令上の呼称は「第5号加入者」です)。改正全体の内容はiDeCoが2026年12月に大改正で扱っています。
Q. そもそも掛金を増やしたほうがいいのでしょうか?
A. 一律には決まりません。iDeCoは原則として60歳になるまで引き出せない制度です。掛金を上げるということは、その金額を長期間動かせなくするという意味でもあります。当ブログでは、まず手元の現金(生活防衛資金)を確かめることをおすすめしています。目安は生活防衛資金はいくら必要?で、会社員なら生活費の3〜6か月分、家族がいて片働きの方や自営業の方なら6か月〜1年分として整理しました。またiDeCoで買う投資信託等には元本割れの可能性があります。締切があるからといって、締切に合わせて決める必要はありません。
Q. この記事の内容は、いつまで有効ですか?
A. 本記事は2026年9月13日に確認した資料に基づいています。各社の締切(楽天証券・りそな銀行・SBI証券の10月30日、SBI証券の通常手続き12月11日)は、確認した時点のものです。公開日(2026年10月14日)の時点では、3社の事前受付はまだ受付期間内です。ただし書面はいずれも「必着」なので、郵送を選ぶ場合は到着までの日数を見込んで投函してください。受付期間や方法は変更されることがあります。いっぽう確定拠出年金法施行令第29条第3号・第35条第1号イ(「1年」の区切り方)や所得税法第75条といった仕組みの部分は、金額の改正では動きません。締切と金額は、必ずご自身が加入している運営管理機関および国民年金基金連合会で最新のものをご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・金融機関の購入・契約・保有を推奨するものではありません。iDeCoは原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。また、iDeCoで購入する投資信託等には元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません。記事中の各社の締切・受付方法(楽天証券、りそな銀行、SBI証券)は2026年9月13日に各社サイトで確認したもので、変更されることがあります。必ずご自身が加入している運営管理機関の案内でご確認ください。記事中の試算(年間掛金の差額46万8,000円、税率20%と仮定した場合の概算9万3,600円、上限の差額の計算、事業主掛金が月3万円の場合の例)は、明示した前提に基づく当ブログの計算です。所得税率は所得によって異なり、各種控除の状況によっても結果は変わります。税額の具体的な計算や個別の適用可否については、勤務先の担当部署または税務署・税理士にご確認ください。記事中の内容は2026年9月13日に確認した公表資料(国民年金基金連合会「iDeCoの拠出限度額の見直しに伴うiDeCo掛金額変更について」(2026年8月17日)、同「≪2026年12月施行≫iDeCo掛金額変更手続きのご案内」(2026年8月)、同「iDeCoの拠出限度額の引き上げ(2026年12月施行)による加入者掛金額変更(増額)の特例のご案内」(2026年8月)、iDeCo公式サイト「iDeCo加入者・運用指図者の方へ」、e-Gov法令検索「確定拠出年金法施行令」(第29条・第35条・第36条。改正後の条文は「国民年金基金令等の一部を改正する政令」=令和7年政令第442号・2025年12月24日公布・2026年12月1日施行によるもの)および「所得税法」(第75条)、楽天証券「【2026年12月制度改正】iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額が引き上げ」「年末調整・確定申告に必要な書類(小規模企業共済等掛金払込証明書)」、りそな銀行「掛金額変更・事前受付 iDeCoの2026年12月法改正」、SBI証券「iDeCo制度改正に伴うお手続きおよびスケジュールについて」および同社よくあるご質問「【iDeCo】2026年の制度改正について、教えてください。」)に基づいています。制度は改正されることがあります。最終的なご判断はご自身の責任でお願いします。
詳細は 免責事項 をご確認ください。
2026年9月13日に資料を確認し、2026年10月14日に公開しました














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