NISAを使っていると、いちばん最初に覚える言葉が「非課税」です。売っても税金がかからない、配当にも税金がかからない(配当の受け取り方には条件があります。あとで扱います)。実際その通りで、これは制度の中身そのものです。
ところが、オルカンのような全世界株式のインデックスファンドを持っていると、ファンドの中では外国の税金がすでに引かれています。アメリカの会社が配当を出すとき、まずアメリカで税金が引かれ、残りがファンドに入ってきます。そしてその税金は、NISAでは取り戻せません。取り戻せない理由は、政令に名指しで書かれています。
不安をあおる話ではありません。運用報告書を読むと、そのファンドの第8期(2025年4月26日〜2026年4月27日)の騰落率は、ベンチマークを0.2%上回っていました(過去の一期間の実績で、将来の成果を示すものではありません)。この記事は、非課税がどこまでの話なのかを、条文と公表資料で確かめるための記事です。結論を先に言うと、外国の税金について、読んだあとにやることはありません。ひとつだけ、NISAで上場株式やETFを持っている方は「配当金の受け取り方」を確かめておく価値があります。その理由も最後に書きました。
- 「NISAは非課税」と聞いていたのに、どこかで税金が引かれていると知って落ち着かない
- 外国税額控除という言葉を見かけたけれど、自分に関係があるのか分からない
- 確定申告すれば取り戻せる、という記事を読んで、やるべきか迷っている
- 信託報酬は調べたけれど、それ以外に何が引かれているのか確かめたことがない
→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「非課税がどこまでの話なのか」を整理するお手伝いをします。
- NISAの非課税がどの税金についての約束なのかと、その範囲の決まり方
- 外国の税金が引かれる場所がファンドの中で、投資家の口座ではない理由
- その税金が費用の一覧にも総経費率(1年ぶんの費用を年率にした数字)にも出てこないこと(出てくる場所はひとつだけ)
- NISAで外国税額控除が使えない根拠が政令に名指しで書かれていること
- 投資信託の二重課税調整(外国と日本で二重にかかる分を、自動で調整する仕組み)も、NISA口座では対象外になる理由
- NISAで上場株式やETFを持つ人だけ、配当の受け取り方(株式数比例配分方式)を確かめておくと取りこぼさないこと
ふくおさん、大変っす。自分、NISAでオルカン積み立ててるんすけど、ネットに「NISAでも税金取られてる」って書いてあったんすよ。非課税って話だったじゃないっすか。
その話、半分ほんとうなんだ。ただし引かれているのは日本の税金じゃなくて、外国の税金だよ。しかもねこたの口座じゃなくて、ファンドの中で引かれてる。
ファンドの中…?自分、何も引かれた覚えがないんすけど。通知とかも来てないっす。
来ないよ。アメリカの会社が配当を出すでしょう。その時点でアメリカが税金を引いて、残りがファンドに入ってくるんだ。ねこたの手元に届く前の話だから、通知のしようがないんだよね。
じゃあ確定申告すれば取り返せるんすか?外国税額控除ってやつで。
そこなんだけど、NISAだと使えないんだ。しかもこれ、誰かの解釈じゃなくて、政令のほうに、NISA口座の配当にかかった外国の税金は対象にしない、と名指しで書いてあるんだよ。あとで一緒に読もう。

先月、僕は自分が積み立てているファンドの交付運用報告書を開いて、かかっている費用を全部数える記事を書きました。信託報酬、売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用(保管費用や監査費用)。1万口あたり26円、率にして0.085%。電卓を叩いて、合計が報告書の数字とぴったり合ったときは、正直うれしかったです。
ところが今回、その記事を自分で検索してみて固まりました。「外国」という言葉が、記事のどこにも一度も出てこないのです。費用は全部数えたつもりでいたのに、外国で引かれている税金には、まったく触れていませんでした。
言い訳をすると、気づけなかったのには理由があります。あの費用明細の表に、その税金は載っていないからです。載っていないものは数えようがありません。僕はただ、表に書いてあるものを足しただけでした。
それで、運用報告書をもう一度、今度は表の外まで読み直しました。そうしたら、20ページのうちのたった1ページ、小さな脚注に、それらしい言葉が書かれていました。この記事は、そこから始まっています。
- NISAの「非課税」は、日本の所得税についての約束です
- 外国の税金は、配当がファンドに届く前に、向こうの国で引かれています
- 外国で引かれた税金は、費用の一覧のどこにも出てきません
- 外国の税金が、報告書の中で顔を出す場所は1ページだけです
- 「取り戻す手続き」がないのは、取り戻す相手がいないからです(政令が名指ししています)
- 投資信託の「二重課税調整」も、NISA口座は対象外です|二重課税になっていないからです
- その調整は、どれくらいの差になるのか(課税口座の場合)
- そしてオルカンは、そもそも分配金を出していません
- じゃあ、NISAは損をしているのか|日本の税金は、ゼロのままです
- やることがあるとすれば、ひとつだけです
- おまけ:あの注釈を、自分のファンドで見つける手順
- まとめ:非課税は「日本の税金」の話で、外国の税金はその外側にあります
- よくある質問(FAQ)
NISAの「非課税」は、日本の所得税についての約束です
まず、制度そのものの確認からです。NISAの根っこにあるのは租税特別措置法という法律で、配当についての条文は第9条の8にあります。見出しは「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税」。とても長い一文ですが、結びだけを抜き出すとこうなっています。
📌 租税特別措置法 第9条の8第1項(e-Gov法令検索より)
「…非課税口座を開設している居住者…が支払を受けるべき…非課税口座内上場株式等の…配当等…については、所得税を課さない。」
出典:e-Gov法令検索「租税特別措置法」(昭和三十二年法律第二十六号)第9条の8(2026年8月12日施行の条文・2026年9月15日確認。中略はふくおによるものです)
書かれているのは「所得税を課さない」です。日本の法律が、日本の税金について決めている。当たり前に見えますが、この記事の話は全部ここから出てきます。
国税庁のタックスアンサーNo.1535も、同じことを日常語で書いています。「非課税口座に係るつみたて投資枠(特定累積投資勘定)および成長投資枠(特定非課税管理勘定)で取得した上場株式等について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税となります」。
つまりNISAは、日本の税金がかかる場所に「ここはかけません」と書いた箱です。箱に何を入れるかは別の話で、入れるのは投資信託や株のほうです。そして箱の効き目は、日本の税金が発生する場所にしか届きません。
外国の税金は、配当がファンドに届く前に、向こうの国で引かれています
では、外国の税金はどこで引かれるのか。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))の月次レポートによると、2026年8月31日現在の資産構成は先進国株式(除く日本)83.1%・新興国株式11.8%・国内株式5.1%です。9割以上が、日本の外にある会社の株ということになります。
その会社が配当を出すと、まずその国の税金が引かれます。SBI証券の説明ページには、こう書かれています。
📌 SBI証券「外国税額控除について」より
「外国証券の配当等を日本国内で受け取った場合、外国と日本それぞれで税金が徴収されます(二重課税)。」
「米国株式の配当所得に対しては、米国で10%、その後差し引かれた金額に対して日本で20.315%の税金がかかります。」
出典:SBI証券「外国税額控除について」(2026年9月15日確認)
この説明は、私たちが個人として外国証券の配当を受け取るときのものです。ファンドが受け取る配当にも同じように現地の税金が引かれますが、その税率がいくつなのかは、運用報告書にも月次レポートにも書かれていません。
同じページには、国ごとの税率が並んでいます。掲載されているのは9か国分なので、そのまま載せます。
| 国・地域 | 配当にかかる現地の税率 |
|---|---|
| 米国 | 10% |
| 中国 | 10% |
| タイ | 10% |
| 韓国 | 15% |
| ロシア | 15% |
| インドネシア | 15% |
| ベトナム | 現地では非課税 |
| シンガポール | 現地では非課税 |
| マレーシア | 現地では非課税 |
出典:SBI証券「外国株式の配当金に対する税率」(2026年9月15日確認)。このページに載っているのはこの9か国で、ファンドはここに載っていない国の株式も保有しています。税率は各国の制度や租税条約によって決まり、変わることがあります。
ここで大事なのは、この引き算が証券口座の外側で終わっていることです。取引報告書にも、取引履歴にも出てきません。引かれたあとの残りがファンドの財産になり、その結果が基準価額に反映されます。私たちが見ている数字は、すでに引かれたあとの数字です。
⚠️ ここを混ぜると、話がねじれます
この記事で扱っているのは、ファンドが外国の会社から配当を受け取るときに、その国で引かれる税金です。投資信託を売って利益が出たときや、分配金を受け取ったときにかかる日本の税金(20.315%)とは、かかる場所も相手の国も別物です。後者のほうは、NISAならかかりません。
外国で引かれた税金は、費用の一覧のどこにも出てきません
ここからが、この記事を書こうと思った理由です。外国で引かれた税金は、ファンドの費用として公表されている一覧に、1円も出てきません。
まず、決算のあとに届く交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」です。オルカンの第8期(2025年4月26日〜2026年4月27日)は、次の4項目でした。
| 項目 | 金額(1万口あたり) | 比率 |
|---|---|---|
| (a) 信託報酬 | 18円 | 0.058% |
| (b) 売買委託手数料 | 1円 | 0.003% |
| (c) 有価証券取引税 | 3円 | 0.011% |
| (d) その他費用(保管費用・監査費用・その他) | 4円 | 0.013% |
| 合計 | 26円 | 0.085% |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」交付運用報告書 第8期(期中の平均基準価額は30,894円)。同じ報告書の(参考情報)欄に、総経費率(年率)0.07%と記載されています。
4項目の中に「税」という字はひとつだけあります。(c)の有価証券取引税です。ただしこれは報告書自身が「有価証券の取引の都度発生する取引に関する税金」と説明している通り、株を売り買いしたときにかかる税金で、配当にかかる税金ではありません。
買う前に読む交付目論見書のほうも見てみます。「その他の費用・手数料」として挙げられているのは、次の5つです。
📌 交付目論見書「その他の費用・手数料」(以下の費用・手数料についてもファンドが負担します)
・監査法人に支払われるファンドの監査費用
・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用
・外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額
・その他信託事務の処理にかかる諸費用 等
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」交付目論見書(PDF)(2026年7月25日付・2026年9月15日確認。最新版はファンドのページから確認できます)
同じ目論見書の「税金」の欄は、もっとはっきりしています。表になっているのは2行だけです。1行目が分配時(普通分配金に対して20.315%)、2行目が換金(解約)時および償還時(差益に対して20.315%)。どちらも投資家が日本で払う税金の話です。
費用の一覧にも、税金の表にも、外国で引かれた分の金額は出てきません。書き落としではなく、そもそも費用として集計する項目ではないからです。配当から差し引かれる形で発生するので、支払った費用の欄には並びようがありません。
なお、目論見書の税金の表の下には「分配時において、外国税額控除の適用となった場合には、分配時の税金が上記と異なる場合があります」という※が1行だけあります。これは次に扱う二重課税調整の話で、金額が書かれているわけではありません。
⚠️ だから「実質コスト」を足しても出てきません
費用の合計を数えても、そこに外国の税金は含まれていません。運用報告書でコストの合計を確かめる話と、この記事の話は別の引き算です。合計0.085%という数字が間違っているわけではなく、その数字が数えている範囲に、もともと入っていないということです。
えー、載ってないんすか。じゃあ自分がいくら取られてるか、確かめようがないってことっすよね。それはちょっと気持ち悪いっす。
金額は公表されていないんだ。だから僕も「年に何%です」とは書けない。ただ、その存在が顔を出す場所が、報告書の中にひとつだけあるんだよ。
ひとつだけ?どこっすか、それ。
「ベンチマークとの差異」のページの、いちばん下の小さい注釈。しかも書かれ方が意外で、プラス要因のほうに入ってるんだ。
外国の税金が、報告書の中で顔を出す場所は1ページだけです
交付運用報告書には「ベンチマークとの差異」というページがあります。インデックスファンドは指数に連動することを目指しているので、ズレが出たときは、その理由を基準価額の側から説明する決まりになっています。
オルカンの第8期のページには、組み入れているマザーファンドごとに差異の要因が並んでいます。そのうち外国株式と新興国株式のところに、この注釈がついています。
📌 交付運用報告書「ベンチマークとの差異の主な要因」より(外国株式インデックスマザーファンド/新興国株式インデックスマザーファンド)
「主なプラス要因:その他の要因※によるものです。
※その他の要因には、ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異によるプラス要因などが含まれます。
主なマイナス要因:組入要因によるものです。」
出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付運用報告書 第8期/eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)交付運用報告書 第8期(同じ文がS&P500の報告書にも記載されています。マイナス要因は新興国株式インデックスマザーファンドだけ「銘柄選択要因によるものです」です。日本株式インデックスマザーファンドの注は「配当評価差異等が含まれます」で、文言が異なります)
「ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異」。つまり運用会社は、ファンドに適用される配当の税率と、指数の側で想定されている税率は同じではないと書いています。外国の税金が、この一行にだけ姿を見せます。
ここに書かれているのは、プラス要因の側です。ただし同じ欄にはマイナス要因(組入要因・銘柄選択要因)も併記されていて、差の内訳もオルカンの場合は外国株式マザーファンドが+0.3%程度、日本株式マザーファンドが△0.1%程度と分かれています。そのうえで、実際の数字はこうなっています。
| ファンド(第8期) | 基準価額の騰落率 | ベンチマークの騰落率 | 差 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 48.0% | 47.8% | +0.2% |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 47.1% | 46.9% | +0.2% |
出典:両ファンドの交付運用報告書 第8期(作成対象期間 2025年4月26日〜2026年4月27日)。オルカンのベンチマークはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)です。これは過去の一期間の実績で、将来の成果を示すものでも、保証するものでもありません。
外国の税金はたしかに引かれている。それでもこの期間、ファンドは指数に負けていませんでした。「取られている」と「損をしている」は、同じ話ではないということです。
ひとつ念を押しておくと、この+0.2%のすべてが配当税率の差によるものだ、とは報告書に書かれていません。プラス要因の「など」のひとつとして挙げられているだけです。
⚠️ ここから先は、資料に書かれていません
なぜ税率に差が出るのか、指数の側が税引き前で計算されているのか税引き後なのか。運用報告書にも月次レポートにも書かれていません。ネット上には説明を試みている記事もありますが、この記事では資料に書かれている範囲で止めます。同じ理由で、外国の税金が年に何%にあたるのかも書けません。金額が公表されていないからです。
「取り戻す手続き」がないのは、取り戻す相手がいないからです(政令が名指ししています)
外国で引かれた税金を、日本の税金から差し引く仕組みはあります。外国税額控除です。国税庁のタックスアンサーNo.1240は、こう説明しています。
📌 国税庁 タックスアンサーNo.1240 居住者に係る外国税額控除
「居住者が、その年において外国の法令により所得税に相当する租税(以下「外国所得税」といいます。)を納付することとなる場合には、次の算式で計算した控除限度額を限度として、その外国所得税額をその年分の所得税額から差し引くことができます。」
出典:国税庁 No.1240 居住者に係る外国税額控除[令和8年4月1日現在法令等](2026年9月15日確認)
差し引く先は「その年分の所得税額」です。ここで、さっきの箱の話に戻ってきます。NISAの中の配当には、差し引く相手になる所得税がありません。
これは理屈の推測ではなく、条文にそう書かれています。まず所得税法第95条第1項。外国税額控除の本体です。長いので、カッコの中だけを見てください。
📌 所得税法 第95条第1項(外国税額控除)
「…その外国所得税の額(…居住者の所得税に関する法令の規定により所得税が課されないこととなる金額を課税標準として外国所得税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国所得税の額…を除く。以下この条において「控除対象外国所得税の額」という。)をその年分の所得税の額から控除する。」
出典:e-Gov法令検索「所得税法」(昭和四十年法律第三十三号)第95条(2026年8月12日施行の条文・2026年9月15日確認。中略はふくおによるものです)
日本の所得税がかからない金額に対して外国でかかった税金は、控除の対象から外す。その具体的な中身は、政令に任されています。そして受け取り先の政令が、所得税法施行令第222条の2第3項です。見出しは「外国税額控除の対象とならない外国所得税の額」。その第五号を読むと、こうなっています。
📌 所得税法施行令 第222条の2第3項第五号
(柱書)「法第九十五条第一項に規定する居住者の所得税に関する法令の規定により所得税が課されないこととなる金額を課税標準として外国所得税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国所得税の額は、次に掲げる外国所得税の額とする。」
(第五号)「租税特別措置法第九条の八(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税)に規定する非課税口座内上場株式等の配当等又は同法第九条の九第一項(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税)に規定する未成年者口座内上場株式等の配当等に対して課される外国所得税の額」
出典:e-Gov法令検索「所得税法施行令」(昭和四十年政令第九十六号)第222条の2(2026年5月22日施行の条文・2026年9月15日確認)
「租税特別措置法第九条の八」は、この記事の最初に読んだ条文です。NISA口座の配当に対して外国でかかった税金は、外国税額控除の対象にしない。そう名指しで書かれています。
法律が、日本の所得税がかからないところの外国税は除く、という枠を作り、政令がその枠にNISAを入れている。非課税だから控除もないというのは、誰かの解釈ではなく、条文の作りそのものでした。
証券会社の説明も、同じことを一行で書いています。SBI証券の外国税額控除のページには「NISA口座で保有している銘柄の配当金については、日本の税金が非課税ですので、外国税額控除の適用外です。」とあります。
なお、この第五号はこれから施行される改正でも残ります。e-Gov法令検索では、まだ施行されていない4つの版(2026年12月1日・2027年1月1日・2027年7月22日・2028年1月1日にそれぞれ施行)の条文も読めますが、4つとも同じ第五号が入っています(2027年1月1日施行の版から、引用の形が「第九条の八第一項」に変わるだけです。2026年9月15日に確認しました)。今後の改正で変わる可能性はあります。
投資信託の「二重課税調整」も、NISA口座は対象外です|二重課税になっていないからです
ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。「投資信託には二重課税を調整する仕組みができたと聞いたけれど、あれはどうなるのか」。
その仕組みは実在します。投資信託について2020年1月1日から始まった制度で、根っこは所得税法第176条第3項です。集団投資信託(投資信託などが含まれる呼び名です)の信託財産について納付した所得税に「外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものを含む」とした上で、「当該集団投資信託の収益の分配に係る所得税の額から控除する」と定めています。続く第4項では、控除する分を分配金の額に加算するとされています。外国で引かれた分を分配金に足し戻してから、日本の所得税を計算して、そこから差し引く、という段取りです。
ただし、日本証券業協会の案内には、はっきりとこう書かれています。
📌 日本証券業協会「投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内」
「ただし、対象となる投資信託等をNISA口座で保有されている場合は、国税分は非課税となり、外国との二重課税状態が発生しませんので、本措置の対象となりません。」
出典:日本証券業協会「投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内」(PDF)(本リーフレットは2019年10月時点で公布されている法令を基に作成されたものです・2026年9月15日確認)
楽天証券の解説ページも同じで、「非課税主体(公共法人等)や非課税口座(NISA 口座)、未成年者口座(ジュニアNISA 口座)及び財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄…は二重課税調整の対象外となります」と書いています。同じページには「改正による控除の対象は所得税のみであり、住民税(5%)は控除対象外となります」ともあります。特定口座で持っていても、調整されるのは国税の部分だけということです。
出典:楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」(2026年9月15日確認)
理由の書き方に注目してください。「国税分は非課税となり、外国との二重課税状態が発生しません」。二重に課税されていないのだから、調整するものがない。外国税額控除で見たのと、まったく同じ構造です。
⚠️ 同じ理由が、もうひとつ別の場所にも出てきます
同じ協会の資料には、計算例の注として「特別分配金は非課税のため、二重課税調整制度の適用はありません」とも書かれています。特別分配金(元本払戻金)が非課税になる話は別の記事で扱いましたが、そこでも同じ結論になります。非課税のところには、引き算の相手がいない。この記事の話は、結局これ一本です。
その調整は、どれくらいの差になるのか(課税口座の場合)
NISAでは関係のない話ですが、仕組みを知っておくと「非課税のところで何が起きていないのか」が分かりやすくなります。日本証券業協会の案内には、制度が始まる前と後を比べた図が載っています。外国10%・日本15%という、分かりやすさ優先の数字での例です。
| 段階 | 2019年12月31日まで | 2020年1月1日以降 |
|---|---|---|
| 外国株式の配当 | 100 | 100 |
| 外国所得税額 | 10 | 10 |
| 投信の分配金原資 | 90 | 90 |
| 課税前分配金 | 90 | 100(外国所得税額分を加算) |
| 日本の所得税額 | 13.5 | 5(15から外国所得税額控除10を差し引き) |
| 課税後分配金 | 76.5 | 85 |
出典:日本証券業協会「投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内」(PDF)の図より。同資料には「イメージ化のために外国政府における税率を10%、日本政府における税率を15%としていますが、実際には復興特別所得税や地方税が課されます」「各段階の数値は、保有している商品やその投資先に関する税制、お客様の属性等によって異なります」との注記があります。
いったん外国の税金を分配金に足し戻してから、日本の税額から差し引く。所得税法第176条第4項が「控除すべき…所得税の額は、当該集団投資信託の収益の分配の額の計算上、当該収益の分配の額に加算する」としているのは、この足し戻しのことです。
そしてNISA口座では、この表そのものが登場しません。いちばん下の「日本の所得税額」がもともとゼロだからです。足し戻す必要も、差し引く必要もありません。
⚠️ 対象になる商品も限られています
楽天証券の解説によれば、二重課税調整の対象になるのは公募投資信託の普通分配金・ETFの分配金・上場REITの分配金・JDRの分配金で、「対象となるETFは東証上場商品です。海外取引所上場商品は対象外となります」とされています。同じ外国株の詰め合わせでも、どこに上場しているかで扱いが変わります。
また上場商品については「投資家が受益権口数比例配分方式又は受益権数比例配分方式を選択している場合に限ります」ともあります。受け取り方の設定で扱いが変わる点は、この記事の最後に出てくる話と同じです(出典=楽天証券「投資信託等に係る二重課税調整について」・2026年9月15日確認)。
そしてオルカンは、そもそも分配金を出していません
ここまでの話には、もうひとつ前提があります。二重課税調整は分配金を支払うときに働く仕組みだということです。
では、オルカンとS&P500はどうか。月次レポート(2026年8月31日現在)の分配金実績を見ると、第3期から第8期までの6回とも0円で、設定来累計も0円です。
| ファンド | 直近6期の分配金(1万口あたり・税引前) | 設定来累計 |
|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 第3期〜第8期 すべて0円 | 0円 |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 第3期〜第8期 すべて0円 | 0円 |
出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート/eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)月次レポート(いずれも2026年8月31日現在)。両レポートには「運用状況によっては、分配金額が変わる場合、あるいは分配金が支払われない場合があります」との注記があります。
分配金が出ていないので、二重課税調整が働く場面そのものが来ていません。これはNISAでも特定口座でも同じです。「NISAだから調整してもらえなくて損をした」という比較には、この2本のファンドに関してはなりません。

政令の条文にたどり着いたとき、僕が最初に思ったのは「じゃあ、どうすればいいんだろう」でした。取り戻せない、書類も来ない、金額も分からない。2017年から積立を続けてきて、その間ずっと引かれていたことになります。
それで、しばらく考えました。考えて、出てきた答えは「何もしない」でした。取り戻す方法がない以上、やれることがありません。ファンドを変えても、日本の会社の株だけに絞らないかぎり、同じことが起きます。
2018年に僕は投機で130万円を失いました。あのときは、自分の判断で動かせることを、動かしすぎて失敗しました。今回は逆で、自分にはどうにもできない場所の話です。どうにもできないことを知って落ち着く、という種類の情報でした。
むしろ収穫だったのは、運用報告書の読み方がひとつ増えたことです。費用明細を数えるだけだった僕が、「ベンチマークとの差異」のページを開くようになりました。次の決算のあとも、あの小さな注釈をまた読むと思います。
じゃあ、NISAは損をしているのか|日本の税金は、ゼロのままです
ここが、いちばん誤解されやすいところです。数字で並べてみます。ここから先は、NISAの成長投資枠などで米国株を直接持っていて、配当を受け取る場合の例です(オルカンのような投資信託では分配金が出ていないので、そもそも日本の税金が発生していません)。米国株から配当100ドルを受け取ったとして、SBI証券のページに書かれている税率(米国10%、その後差し引かれた金額に日本で20.315%)で計算します。
| 受け取り方 | 米国で引かれる分 | 日本で引かれる分 | 手元に残る額 |
|---|---|---|---|
| 特定口座(課税口座) | 10ドル | 90ドル×20.315%=約18.28ドル | 約71.72ドル |
| NISA口座 | 10ドル | 0ドル | 90ドル |
※米国株を直接保有し、配当を100ドル受け取った場合の計算例です。実際は為替や受取時期、証券会社の取り扱いによって金額が変わります。課税口座の場合、確定申告で外国税額控除を使えば、米国で引かれた分の一部または全部が所得税から差し引かれることがありますが、控除限度額があるため全額が戻るとは限りません(国税庁No.1240の算式)。また、SBI証券の説明によれば、控除を受けられるのは「総合課税または申告分離課税を選択して、確定申告をした場合」に限られます。投資信託の中でファンドが負担した外国の税金は、これとは別の話です。所得税法第95条第1項の外国税額控除は「居住者が…外国所得税…を納付することとなる場合」の仕組みで、ファンドが負担した分を投資家が確定申告で取り戻すものではありません。投資家側に用意されているのは、前の章で見た分配時の二重課税調整(所得税法第93条の分配時調整外国税相当額控除)のほうです。
NISAでも、外国の10ドルは残ります。これは事実です。ただ、日本の18ドルのほうは発生していません。非課税という言葉が守っているのは、この右側の列です。
「NISAは非課税と聞いていたのに取られていた」という言い方をすると、何かを損したように聞こえます。でも実際に起きているのは、日本の税金はゼロのまま、外国の税金だけが残っているという状態です。どちらの口座を使うかという話とは、また別のところにあります。
⚠️ 「課税口座のほうが有利」という話ではありません
課税口座なら外国税額控除が使える、という一点だけを取り出すと、そちらが得に見えることがあります。ただし上の表のとおり、課税口座では日本の20.315%が先に発生しています。控除は、発生した税金を減らす仕組みであって、増やす仕組みではありません。反対に、NISA口座で生じた損失は「ないものとみなされ」、特定口座との損益通算も繰越控除もできません(国税庁タックスアンサーNo.1535の注2)。有利不利は、この記事が扱っている外国の税金だけで決まる話ではありません。
やることがあるとすれば、ひとつだけです
外国の税金については、私たちにできることがありません。ただし「非課税を取りこぼさない」という意味では、確かめておく価値のあることがひとつあります。配当の受け取り方です。
国税庁のタックスアンサーNo.1535には、こんな注がついています。
📌 国税庁 タックスアンサーNo.1535 NISA制度(注1)
「非課税とされる配当等は非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの(株式数比例配分方式を選択したもの)に限られていますので、上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いとなります(令和5年までのNISAおよびジュニアNISAにおいても同様です。)。」
出典:国税庁 No.1535 NISA制度[令和8年4月1日現在法令等](2026年9月15日確認)
配当金の受け取り方には、証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」のほかに、郵便局などで配当金領収証を使って受け取る方法などがあります。NISAで上場株式やETFを持っていて、受け取り方が株式数比例配分方式になっていない場合、その配当は課税扱いになります。
投資信託を積み立てているだけなら、この心配はありません。ただ、以前に株を買ったことがある口座では、受け取り方が別の設定のまま残っていることがあります。証券会社の口座画面で一度だけ確かめておくと安心です。
おまけ:あの注釈を、自分のファンドで見つける手順
やらなくても困りませんが、一度見ておくと「自分の持っているものの中で何が起きているか」が具体的になります。年に1回、3分で終わります。
📌 3ステップ
① 運用会社のサイトでファンド名を検索し、「交付運用報告書」を開く(証券会社のアプリからも見られます。決算日のあと2か月ほどで公開されます)
② 「ベンチマークとの差異」のページを探す(費用明細の数ページあと。ベンチマークを定めているインデックスファンドなら、たいてい載っています)
③ 「主なプラス要因」「主なマイナス要因」の注釈を読む(※ではじまる小さい文字です)
外国の株式を持つマザーファンドなら、そこに「ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異」という言葉が出てきます。出てこないこともあります。たとえばオルカンの日本株式インデックスマザーファンドの注は「配当評価差異等が含まれます」で、配当税率という言葉は使われていません。投資先が日本の会社なら、外国で引かれる税金の話にならないからです。
同じ報告書の中で、外国のマザーファンドと日本のマザーファンドで注釈の言葉が変わる。それに気づくと、この記事の話が抽象論ではなく、自分の持っているものの話として見えてきます。
なんか、話が一周して戻ってきた感じっすね。自分がやることは、けっきょく無いってことっすか。
外国の税金については、無いんだ。取り戻す手続きが用意されていないし、金額も公表されていない。調べても出てこないものを探し続けるほうが、しんどいと思うんだよね。
でも自分、知らないままのほうが幸せだった気もするっす。知っちゃったら気になるじゃないっすか。
それ、よく分かるよ。ただね、知らないままだと「NISAでも税金取られてるらしい」という見出しを見たときに、不安の大きさが分からないんだ。今のねこたは、どこで何が引かれていて、指数と比べてどうだったかまで知ってる。それは全然違うことだと思うよ。
たしかにそうっすね。自分、今度の決算のあとに、あの小さい注釈だけ見てみるっす。
いいね。年に1回、20ページのうちの1行を見に行く。それくらいの付き合い方がちょうどいいと思うよ。
まとめ:非課税は「日本の税金」の話で、外国の税金はその外側にあります
この記事で見てきたことは、ひとつの筋でつながっています。日本の税金がかからないところには、引き算の相手がいないということです。
外国税額控除は、外国の税金を「その年分の所得税額」から差し引く仕組みでした。NISAの中の配当には、その所得税がありません。だから政令が名指しで対象から外しています。投資信託の二重課税調整も、日本証券業協会の言葉を借りれば「国税分は非課税となり、外国との二重課税状態が発生しませんので、本措置の対象となりません」。特別分配金が調整の対象外になるのも、同じ理由です。
そして、外国で引かれた分は費用の一覧にも税金の表にも出てきません。姿を見せるのは、運用報告書の「ベンチマークとの差異」の小さな注釈だけ。その注釈は、その差をプラス要因の側(の、いくつかある要因のひとつ)に置いていました。第8期の結果は、オルカンが48.0%に対しベンチマーク47.8%、S&P500が47.1%に対し46.9%でした。
「非課税なのに取られている」ではなく、「日本の税金はゼロで、外国の税金は残っている」。それがこの話の正確な形です。そして残っているほうについて、私たちにできることはありません。
この記事の結論
- NISAの非課税は、租税特別措置法第9条の8が「所得税を課さない」と定めたもの。効き目が届くのは日本の税金の範囲です
- 外国の税金はファンドの中で、配当が届く前にその国で引かれています。証券口座の外側の出来事です
- その金額は費用明細にも総経費率にも、交付目論見書の税金の表にも出てきません。公表されている場所はありません
- NISAで外国税額控除が使えないのは所得税法施行令第222条の2第3項第五号に名指しで書かれているからです
- 投資信託の二重課税調整も、NISA口座は対象外です(日本証券業協会)。特定口座でも、同じ協会の案内のとおり地方税には二重課税調整制度の適用がありません(住民税5%・楽天証券の解説)
- オルカンとS&P500は設定来の分配金が0円なので、二重課税調整が働く場面そのものが来ていません
この記事のあとにできること(どれも急ぎません)
- いま積み立てているファンドの交付運用報告書を、運用会社のサイトで開いてみてください。「ベンチマークとの差異」は費用明細の数ページあとです(オルカンの第8期なら、費用明細が3ページ目、「ベンチマークとの差異」が8ページ目)。次に見るのは1年後で大丈夫です
- NISAで上場株式やETFを持っている方は、配当金の受け取り方を確かめてください。株式数比例配分方式(証券口座で受け取る方式)でないと、その配当は課税扱いになります(国税庁No.1535の注1)
- 「NISAでも税金が」という見出しを見たら、日本の税金の話か外国の税金の話かを先に確かめてください。日本の税金の話か外国の税金の話かが、混ざって書かれていることがあります
この記事がすすめないこと
- 外国の税金を避けるために、投資先を日本の会社だけに寄せること。税金の話と、どこに分散するかの話は別です
- NISAをやめて課税口座に移すこと。この記事の内容だけで、どちらが有利かは決まりません
- 外国で引かれた金額を計算して出そうとすること。公表されていないので、出せません
- 第8期の騰落率(48.0%・47.1%)を、今後の見通しとして読むこと。過去の一期間の実績です
🔍 「自分のファンドは、何にいくらかかっているのか」を確かめたい方へ
投資信託のコストは、信託報酬だけではありません決算のあとに1回だけ届く「運用報告書」で、合計を数える手順の話です
🧭 「NISAの非課税って、結局どこまでの話?」と思った方へ
NISAが増えてきた。売ったほうがいい?含み益は非課税枠を1円も使っていません。枠の数え方の話です
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入や、特定の口座の利用をすすめるものではありません。投資信託は値動きのある商品で、元本が保証されているものではなく、元本割れの可能性があります。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。税務上の個別の判断については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. NISAなのに税金が引かれているというのは、本当ですか?
A. 外国の税金については、その通りです。ただし引かれる場所は投資家の口座ではなく、ファンドが外国の会社から配当を受け取る時点です。日本の税金(20.315%)のほうは、NISAならかかりません。租税特別措置法第9条の8は、NISA口座内の上場株式等の配当等について「所得税を課さない」と定めています。
Q. 確定申告をすれば取り戻せますか?
A. NISAでは取り戻せません。所得税法施行令第222条の2第3項第五号が、NISA口座内上場株式等の配当等に対して課される外国所得税を、外国税額控除の対象から外しています。SBI証券の説明ページも「NISA口座で保有している銘柄の配当金については、日本の税金が非課税ですので、外国税額控除の適用外です」としています。課税口座で受け取った配当については、確定申告で外国税額控除を使える場合がありますが、控除限度額があるため全額が戻るとは限りません。なお、これは上場株式を直接持っている場合の話です。投資信託の中でファンドが負担した外国の税金は、課税口座で持っていても、投資家が確定申告で外国税額控除の対象にするものではありません。働くのは、分配金が支払われるときの二重課税調整だけです。
Q. 自分がいくら引かれているのか、調べる方法はありますか?
A. 公表されていないため、調べる方法はありません。交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」にも、総経費率にも、交付目論見書の税金欄にも、その金額は出てきません。唯一関係する記載が「ベンチマークとの差異の主な要因」の注で、そこでも金額ではなく「配当税率の差異によるプラス要因などが含まれます」という書き方です。
Q. 投資信託を積み立てているだけでも、配当金の受け取り方の設定は関係ありますか?
A. 投資信託の分配金だけなら、関係ありません。関係するのは、NISAで上場株式やETFを持っている場合です。受け取り方が「株式数比例配分方式」になっていないと、その配当は非課税になりません(国税庁タックスアンサーNo.1535の注1)。証券会社の口座画面で一度だけ確かめれば済みます。
Q. 日本の会社の株だけのファンドなら、関係ありませんか?
A. 外国で引かれる税金は生じません。この記事の話は、ファンドが外国の会社から配当を受け取るときに、その国で引かれる税金についてのものです。ただし、投資先をどこに広げるかは、税金だけで決める話ではありません。オルカンの資産構成は2026年8月31日現在で先進国株式(除く日本)83.1%・新興国株式11.8%・国内株式5.1%です。
Q. NISAの成長投資枠で、米国株を直接持っている場合はどうなりますか?
A. 同じです。SBI証券の説明では、米国株式の配当所得には米国で10%がかかります。NISA口座であれば日本の20.315%はかかりませんが、米国の10%は残り、外国税額控除の対象にもなりません。根拠は上と同じ政令の条文です。
Q. iDeCoで同じファンドを持っている場合はどうですか?
A. ファンドの中で起きることは、どの口座で持っていても同じです。外国での課税は、投資家が誰であるか・どの口座かにかかわらず、ファンドが配当を受け取る段階で起きます。なお交付目論見書の税金欄には、確定拠出年金法に定める加入者等の運用の指図に基づいて購入の申込みを行う「資産管理機関および国民年金基金連合会等の場合、所得税および地方税がかかりません」とあり、続けて「なお、確定拠出年金制度の加入者については、確定拠出年金の積立金の運用にかかる税制が適用されます。」と書かれています。加入者本人の税の扱いは、この記事では扱っていません。iDeCoの税務については、運営管理機関または税務署・税理士にご確認ください。
Q. 分配金が出るファンドなら、二重課税調整を受けられますか?
A. 課税口座で保有していれば対象になり得ます。2020年1月1日以降に支払われる投資信託等の分配金について、外国所得税額を考慮して所得税等が課される仕組みが始まっています(所得税法第176条第3項・第93条)。ただし日本証券業協会の案内のとおり、NISA口座で保有している場合は対象になりません。また、調整されるのは国税だけで、住民税5%は対象外です。
Q. ベンチマークの指数は、税引き後で計算されているのですか?
A. 交付運用報告書にも月次レポートにも、その記載はありません。書かれているのは「ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異によるプラス要因などが含まれます」という一文だけです。この記事では、資料に書かれている範囲を超えた説明はしていません。
Q. 「実質コスト」を計算すれば、外国の税金も入りますか?
A. 入りません。費用明細の4項目(信託報酬・売買委託手数料・有価証券取引税・その他費用)を合計しても、外国で配当にかかった税金は含まれていません。そもそも費用として集計される項目ではないためです。なお「実質コスト」という言葉自体、運用報告書にも月次レポートにも出てきません。
Q. この記事の内容は、いつの情報ですか?
A. 2026年9月15日に確認した条文・公表資料に基づいています。条文はe-Gov法令検索(所得税法・所得税法施行令・租税特別措置法。いずれもその時点で施行されている版)、税制の説明は国税庁タックスアンサーNo.1240・No.1535[令和8年4月1日現在法令等]、ファンドの数字は三菱UFJアセットマネジメントの交付運用報告書 第8期(2025年4月26日〜2026年4月27日)、交付目論見書(2026年7月25日付)および月次レポート(2026年8月31日現在)です。税率や制度は改正されることがあります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や、特定の口座・金融機関の利用を推奨するものではありません。投資信託は値動きのある商品で、元本が保証されているものではなく、元本割れの可能性があります。記事中の騰落率(48.0%・47.8%・47.1%・46.9%)は2025年4月26日〜2026年4月27日という過去の一期間の実績であり、将来の成果を示すものでも保証するものでもありません。記事中の計算例(配当100ドルに対し米国10%・日本20.315%とした場合の手取り約71.72ドル/90ドル)は、SBI証券が公表している税率をもとにした単純計算で、為替・受取時期・証券会社の取り扱いによって実際の金額は変わります。税務上の個別の判断(外国税額控除の可否や控除額を含む)については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。投資に関する最終的なご判断は、ご自身の責任でお願いします。
2026年9月15日に資料を確認し、2026年10月19日に公開しました















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