「2026年10月から、火災保険が過去最大の値上げ」。この夏、そういう見出しをいくつも見かけました。数字も添えられていて、「10〜15%の引き上げ」「業界共通の料率改定」と書かれているものもあります。
気になったので、その出どころを探しにいきました。火災保険の保険料の土台になる数字は、損害保険料率算出機構という団体が計算して、金融庁長官に届け出ています。届出の履歴は公式サイトに一覧で載っています。そこを開いてみると、いちばん新しい届出は2023年6月21日でした。2024年も2025年も2026年も、火災保険の届出はありません(2026年9月4日に確認)。
つまり、「2026年10月に業界共通の料率改定がある」という事実は、公表資料の上では確認できません。いっぽうで、損保ジャパンもソニー損保も、2026年10月からの改定を公式に案内しています。矛盾しているようですが、両方とも本当です。この記事では、その理由と、更新の案内が届いたときにどこを見ればいいかを、公式資料の言葉をそのまま引きながら整理します。あわせて、火災保険とセットで検討することになる地震保険についても、保険料と受け取れる額の関係を確かめます。
- 「10月から火災保険が値上げ」と聞いたけれど、うちがいくら上がるのか分からない
- 値上がりする前に契約し直したほうがいいのか、判断がつかない
- 更新の案内が届いても、何を見ればいいのか分からないまま毎回サインしている
- 地震保険をつけるべきか迷っているが、いくら払っていくら戻るのか想像できない
→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「更新の案内のどこを見るか」を整理するお手伝いをします。
- 火災保険料は二階建てで、業界共通なのは下の階だけだということ。その下の階(参考純率)は2023年6月21日の届出から動いていません
- 2023年の改定の「全国平均13.0%の引き上げ」も、そのまま自分の保険料の上げ幅にはならないこと。機構自身が資料の冒頭でそう書いています
- 同じ条件でも、都道府県と水災の等地によって、木造(H構造)で▲1.3%から+27.7%までばらつくこと(機構が公表している改定率の例)
- 値上げ幅より先に見たいのは、目立たない場所に書かれた補償の変更だということ。同じ改定で広がる補償もあります
- 地震保険の料率は2021年6月10日の届出から動いていないこと。そして地震保険は「建て直すための保険」ではないこと
- 更新の案内が届いたときに見る3つの場所と、10月に届く控除証明書の使い道
ふくおさん、大変っす。10月から火災保険が過去最大の値上げって書いてあったっす。自分の保険も10%くらい上がるってことっすか?
その「10%」がどこから来た数字なのか、いっしょに辿ってみようか。火災保険料の土台になる数字を計算してるのは、損害保険料率算出機構っていう団体なんだ。届出の履歴は、そこのサイトに全部並んでる。
並んでるんすか。じゃあ2026年のところを見れば……あれ、いちばん上が2023年6月で止まってるっす。
そう。そこが今日いちばん伝えたいところなんだ。火災保険の業界共通の目安は、2023年6月21日の届出以降、動いていない。機構は毎年度チェックして、必要があれば届け出るって自分で書いてる。それでも出ていないんだよ。
でも自分、保険会社から「10月から改定します」ってお知らせもらった気がするっす。動いてないのに改定するって、どういうことっすか。
それも本当なんだ。業界共通の目安と、会社ごとの保険料は、別の階の話だからね。順番に見ていこう。

このブログで生活防衛資金の記事を書いたとき、僕は「生活費の何か月分」という目安を、働き方ごとに3〜6か月分から1年分まで整理しました。病気・ケガ・失業・災害で収入が止まったときに、当面の暮らしを支えるためのお金です。
書き終えてしばらくしてから、抜けているものに気づきました。原因のひとつに「災害」と書いておきながら、家そのものが壊れたときの話は、一行も書いていなかったのです。あの記事で想定していたのは、収入が止まる場面だけでした。生活費の6か月分を現金で持っていても、屋根が飛んだら足りません。それは現金ではなく保険が引き受ける領域なのに、僕はそこを飛ばしていました。
今回「10月から過去最大の値上げ」という見出しを見て、これは調べる口実になると思いました。それで損害保険料率算出機構のサイトを開いて、火災保険の届出一覧を上から読みました。2023年6月21日、2021年5月21日、2019年10月7日、2018年5月21日、2014年6月25日。それで終わりでした。画面をスクロールして、もう一度上に戻って、声が出ました。2024年も2025年も2026年も、無いのです。
- 「10月から過去最大の値上げ」——この話の出どころを探しました
- 火災保険料は二階建て。業界共通なのは下の階だけです
- 動いていない2023年6月の改定は、何をした改定だったのか
- 「全国平均13.0%」も、そのまま自分の保険料にはなりません
- 2026年10月の改定を案内している2社の資料を読みました
- 値上げ幅より先に見たいのは、目立たない場所に書かれた補償の変更です
- 水災の料率は2023年に5区分になりました。自分の市区町村は公式サイトで調べられます
- 地震保険のほうは、2021年6月から動いていません
- 地震保険は「建て直す」ためではなく、「生活を立て直す」ための保険です
- 更新の案内が届いたら、この順番で3つだけ見ます
- まとめ|「値上げ」は会社ごとの話で、見るべきは自分の見積書です
- よくある質問(FAQ)
「10月から過去最大の値上げ」——この話の出どころを探しました
まず、この記事で扱う範囲をはっきりさせておきます。ここで言う「火災保険」は、住宅と家財にかける損害保険のことです。生命保険や医療保険とは別のもので、当ブログでこれまで扱ってきた貯蓄型保険や掛け捨ての生命保険とも役割が違います。人ではなく、モノにかける保険です。
ネット上には「2026年10月に損害保険料率算出機構が火災保険の料率を改定する」「上げ幅は10〜15%で過去最大級」といった説明が複数あります。この説明が正しいかどうかは、機構の公表資料を見れば確かめられます。機構は自分のサイトに、こう書いています。
「当機構が参考純率を算出している保険は、広く生活・経済に密着した保険種類であることを踏まえ、参考純率の透明性を高める観点から、2009年度以降、参考純率の改定内容・趣旨等について、ウェブサイトにてお知らせすることとしています。」
(損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」ページ)
つまり、2009年度以降の改定はすべてサイトに載っているはずだ、と機構自身が宣言しています。同じページには「毎年度検証を行い、改定の必要があれば参考純率の改定の届出を行います」とも書かれています。毎年チェックしていて、改定したら必ず載せる。それでも載っていない。だから「載っていない=届け出ていない」と読んで差し支えありません。
2026年9月4日時点で、そのページに並んでいる火災保険の届出は5件です。
| 届出日 | 適合性審査結果の通知 |
|---|---|
| 2023年6月21日(最新) | 2023年6月28日 |
| 2021年5月21日 | 2021年6月16日 |
| 2019年10月7日 | 2019年10月30日 |
| 2018年5月21日 | 2018年6月15日 |
| 2014年6月25日 | 2014年7月2日 |
2026年の届出はありません。では、保険会社が案内している「2026年10月の改定」は何なのでしょうか。それを理解するには、保険料の構造を知る必要があります。
火災保険料は二階建て。業界共通なのは下の階だけです
機構の資料には、こう書かれています。
「保険料率は純保険料率と付加保険料率で構成され、当機構では純保険料率部分を算出しています。この当機構が算出する純保険料率を『参考純率』といいます。」
(損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」2023年6月28日・5頁)
言い換えると、こういう二階建てです。
- 下の階=純保険料率:事故が起きたときに保険会社が支払う保険金にあてられる部分。ここの目安を機構が計算して、「参考純率」として会員の保険会社に提供しています
- 上の階=付加保険料率:事業経費や代理店手数料などにあてられる部分。ここは各保険会社が独自に算出しています
そして重要なのは、下の階についても、機構の数字を使う義務がないということです。同じ5頁に、こう書かれています。
「当機構の会員となっている保険会社では、参考純率をそのまま使用することができ、また、自社の商品設計等に応じて修正して使用することもできます(参考純率は使用義務のない参考数値であり、これを用いずに保険会社独自に純保険料率を算出することができます)。」
(同・5頁)
この図の右側にあるとおり、機構が届け出てから自分の保険料が変わるまでには、いくつも関門があります。そして機構自身が、その関門についてはっきり書いています。
「なお、当機構で行う改定内容を採用するか否かは各保険会社が判断します。したがって、最終的な保険料は各保険会社の判断で決定される点にご留意ください。
また、保険会社が自社の保険商品に参考純率を使用する場合においても、販売時期は保険会社が決定します。」
(損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」2023年6月28日・5頁)
「販売時期は保険会社が決定します」——ここが、機構が改定した年と、自分の保険料が上がる年がズレる理由です。2023年6月の改定を、損保ジャパンは2024年10月の商品改定で反映しています(同社の案内資料に「2024年10月 ★参考純率改定・商品改定」と記載)。会社によって、反映する時期は違います。
動いていない2023年6月の改定は、何をした改定だったのか
2023年6月の改定の中身を確認しておきます。機構のニュースリリースには、こう書かれています。
「住宅総合保険の参考純率について、全国平均で13.0%引き上げます。
水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化します。」
(損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」2023年6月28日・1頁)
改定の背景として挙げられているのは2つです。①自然災害などによる保険金支払いの増加とリスク環境を踏まえた対応、②水災料率における契約者間の保険料負担の公平化など。資料には「住宅の老朽化の進展」「修理費の高騰」という言葉も出てきます。インフレで建築資材や工事費が上がれば、同じ家を直すのにかかる費用も上がる、という関係です。
ここで注意したいのは、この「13.0%」がどういう平均なのかです。同じ資料の注記に書かれています。
「上記の改定率(平均で13.0%の引上げ)は、全ての契約条件(都道府県、構造、築年数、補償内容等)の改定率を平均して算出した数値です。したがって、(中略)契約条件によって改定率は異なります。」
(同・1頁 注3)
「全国平均13.0%」も、そのまま自分の保険料にはなりません
どのくらい違うのか。機構は改定率の例を公表しています。建物2,000万円・家財1,000万円・築10年以上という条件で、建物の構造別・都道府県別に示したものです。
建物の構造は3つに分かれます。M構造が耐火構造(鉄筋コンクリート造など)の共同住宅、T構造がM構造以外の耐火構造の建物や準耐火構造(鉄骨造など)の建物、H構造がそれ以外(木造など)です。ここではH構造(木造など)の例を見てみます。
もうひとつ、2023年の改定で水災の料率が市区町村ごとに1〜5等地に分かれました(1等地がいちばん安いグループ、5等地がいちばん高いグループ。くわしくは後述します)。下の図の帯の幅は、この1等地から5等地までのひらきです。
同じH構造・同じ保険金額・同じ築年数でも、東京都の1等地なら▲1.3%(下がる)、群馬県の5等地なら+27.7%。この幅が「全国平均+13.0%」の中身です。しかも機構は「上表は各県の平均の改定率を示しています」と注記していて、同じ都道府県でも市区町村によって改定率は違います。なおここに挙げたのは木造(H構造)の例で、鉄骨造などのT構造まで含めると、公表されている幅は▲1.3%〜+33.6%になります。しかも、これはあくまで参考純率の改定率であって、実際に契約する保険会社の商品の改定率ではありません。機構はニュースリリースの1頁目に、◆マークをつけてこう書いています。
「◆本資料に記載の参考純率の改定率などは、実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります。」
つまり「13.0%」も「27.7%」も、そのまま自分の請求額に来る数字ではありません。「一律で何%上がる」という数字は、そもそも存在しないと考えたほうが実態に近いです。
東京の木造はマイナスもありうるんすか。自分、ずっと「全国一律で13%上がった」と思ってたっす……。
平均って、そういう数字なんだよね。平均が13%でも、木造だと中身は▲1.3%から+27.7%まで散らばってる。しかもこれは目安の話で、実際の保険料はここに各社の付加保険料率が乗る。だから自分の額は、自分の見積書でしか分からないんだ。
じゃあ「10月から10%値上げ」って書いてある記事は、何を見て書いてるんすかね。
そこは断定しないでおくよ。ただ、ひとつの会社の数字が「業界の数字」として広がることはあるし、2023年の改定の話が年をまたいで混ざることもある。大事なのは、出どころを一段だけ辿ってみることだね。
2026年10月の改定を案内している2社の資料を読みました
では、実際に案内が出ている2026年10月の改定は何なのか。公式資料を2社ぶん読みました。以下は公表資料を確認できた2社の例です。他社の改定の有無や内容は、それぞれの案内をご確認ください。
損保ジャパンの案内(2026年10月1日以降に保険期間が始まる契約)
同社の「商品改定のご案内 2026年10月改定」には、保険料改定の理由がこう書かれています。「近年、物価の上昇が著しく、社会環境が大きく変化しています。それに伴い、建築費も年々上昇しており、万が一の事故の際に建物や家財などを修理・再建・再取得するための費用も高くなる傾向にあります。こうした環境下でも安定的に補償をご提供していくために、保険料の改定を実施します。」
この案内に、改定率の数字は書かれていません。代わりに、こう書かれています。
「なお、保険料の改定幅はご契約の内容や建物の建築年月、構造などによって異なりますので、更新後のご契約の保険料は、お見積書などをご確認ください。」
(損保ジャパン「THE すまいの保険/THE 家財の保険 商品改定のご案内 2026年10月改定」1頁)
同じ資料には、過去の改定を並べた年表も載っています。見出しは「<ご参考:保険料に大きく影響があるこれまでの主な改定内容>」で、過去分だけが並んでいます。★印が参考純率の反映を示していて、★が付いているのは2019年10月・2021年1月・2022年10月・2024年10月の4回です(2019年1月は「保険料改定・地震保険改定」、直近の2025年9月は「商品改定」だけで、★は付いていません)。
この4回を、機構が届け出た日と並べてみると、きれいに対応します。
| 機構が届け出た日 | 損保ジャパンが反映した時期 | 差 |
|---|---|---|
| 2018年5月21日 | 2019年10月 | 約17か月 |
| 2019年10月7日 | 2021年1月 | 約15か月 |
| 2021年5月21日 | 2022年10月 | 約17か月 |
| 2023年6月21日 | 2024年10月 | 約16か月 |
機構の届出は、1年半ほど遅れて各社の商品改定として出てきます。そしていちばん新しい届出は2023年6月で、それはすでに2024年10月に反映されています。2026年10月に反映できる参考純率の改定は、そもそも残っていません。同社は改定の理由を「物価の上昇」「建築費の上昇」と説明していて、参考純率の反映としては説明していません。
ソニー損保の案内(2026年10月1日以降を保険始期日とする契約)
ソニー損保も2026年5月25日付で改定を告知しています。保険料改定の理由は「近年の一定規模の被害を及ぼす自然災害が毎年発生している状況、住宅の老朽化や修理費の高騰などにより、保険金のお支払いが増加している傾向を踏まえ、当社の保険料水準の見直しを行います」。そして注記に「補償内容・所在地・構造級別・築年数により、改定の傾向は異なります」とあります。
2社とも、「一律で何%」とは書いていません。書いているのは「人によって違う」ということだけです。ここまでを整理すると、こうなります。
| よく見かける説明 | 公表資料で確認できること |
|---|---|
| 2026年10月に業界共通の料率改定がある | 機構の火災保険の届出は2023年6月21日が最新。2026年の届出はない(2026年9月4日確認) |
| 上げ幅は一律10〜15% | 機構の全国平均は+13.0%だが、これは2023年の改定の数字。しかも機構は「実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります」と明記している |
| 10月から保険料が上がる | 各社が2026年10月からの改定を案内しているのは事実。ただし改定幅は各社の公式資料に書かれていない(「お見積書をご確認ください」) |
値上げ幅より先に見たいのは、目立たない場所に書かれた補償の変更です
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。改定の案内を最後まで読むと、値上げの話より目立たない場所に、こういう文があります。
「上記以外にも各種改定を実施しており、補償が縮小している可能性がありますのでご注意ください。」
(損保ジャパン「商品改定のご案内 2026年10月改定」2頁)
ソニー損保は、縮小の中身を改定告知のページに具体的に書いています。「破損・汚損損害等補償特約」——うっかり壊した、ぶつけて割った、といった事故を補償する特約です。ここから、次のものが補償対象外になります。
- テレビ
- ディスプレイ(パソコン、ゲーム機等の映像を表示するための液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)
- デスクトップ型パソコン・ディスプレイ一体型パソコン
- 上記の付属品
(ソニー損保「【火災保険】商品改定について」2026年5月25日掲載)
理由も書かれています。「近年、破損・汚損損害等補償特約の保険金の支払いが増加傾向にあり、中でもテレビ等の破損事故が特に多く、保険料水準の引上げにつながっていました」。逆に、個人賠償責任補償特約のほうは、他人から預かったものを壊した・盗まれた場合にも支払えるよう拡大されます(あわせて保険料は引き上げ)。ただし同社は「補償には一定の条件があり、預かった物や事故の状況(置き忘れ等)によっては補償の対象外となる場合があります」とも注記しています。
つまり、同じ改定の中で縮む補償と広がる補償が同時に動いています。値上げ率だけを追いかけていると、この入れ替わりは見えません。
もうひとつ、金額に直結する改定があります。ソニー損保は建物の評価基準——建物をいくらとみなすかの基準、つまり保険金額の決め方——も見直します。「評価基準の見直しによって、火災保険の継続時に保険金額が変更となる場合があります」。保険金額が変われば保険料も変わりますし、いざというときに受け取れる額も変わります。「率」ではなく「額」が動く話です。

この記事を書くために、損保ジャパンとソニー損保の改定案内を、最初から最後まで読みました。損保ジャパンのほうはPDFで2ページ、ソニー損保のほうはウェブページ1枚です。時間にして20分もかかりません。
読む前に僕が探していたのは、値上げ率でした。「何%」と書いてある行を見つけて、それをメモして終わりにするつもりでした。ところが、2社とも率は書いていませんでした。そして探しているあいだに、まったく別の一文が目に入りました。「上記以外にも各種改定を実施しており、補償が縮小している可能性がありますのでご注意ください」。
もし僕が率だけを探して、見つからないからと途中で閉じていたら、この一文には行き着いていません。テレビが破損・汚損の対象外になることも知らないままだったはずです。探しているものが見つからなかったときこそ、最後まで読む価値がある——今回いちばん身についたのは、その感覚でした。
水災の料率は2023年に5区分になりました。自分の市区町村は公式サイトで調べられます
2023年の改定のもうひとつの柱が、水災料率の細分化です。それまで全国一律だった水災の料率が、市区町村別に1等地〜5等地の5区分に分かれました。1等地がいちばん安いグループ、5等地がいちばん高いグループです。
差はどのくらいか。機構の別紙には、こう書かれています。細分化しなかった場合と比べて、1等地の地域は平均で約6%低い水準、5等地の地域は平均で約9%高い水準。そして最も高い地域と最も安い地域の差は約1.2倍です(いずれも保険料全体での数字。急激に上がらないよう激変緩和の措置が入っています)。
この等地は、洪水ハザードマップだけで決まっているわけではありません。機構は水災リスクを、おもに3つに分けています。河川の氾濫などによる外水氾濫、下水道の処理が追いつかず水があふれる内水氾濫、そして土砂災害。水害被害額の構成でみると、外水氾濫が56.2%、それ以外が43.8%です(国土交通省・水害統計2011〜2020年の合計値)。
自分の市区町村が何等地なのかは、機構の公式サイトで調べられます。水災等地検索システム(https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/touchi/)で市区町村を選ぶだけです。
ただし、等地が低いからといって「うちは水害が来ない」わけではありません。機構は資料の「誤解しやすい点は?」というページで、はっきり書いています。
「等地が低い市区町村は、『他の市区町村に比べて相対的に水災リスクが低い』という意味合いであり、どの等地でも水害は発生しています。」
さらに「等地は、外水氾濫だけではなく、内水氾濫や土砂災害なども含めて、水災リスク全体で見ているので、洪水ハザードマップなどの一般のリスク情報とは必ずしも一致しません」とも書かれています。等地が低い=水災補償を外していい、ではありません。
実際、水災補償を外す動きそのものが、細分化の理由のひとつでした。機構の本編資料(3頁)には、ハザードマップなどの水災リスク情報が拡充されていることを挙げたうえで、こう書かれています。「保険契約者がそれを踏まえて自分のリスクは低いと判断し、保険料節約の目的で自身の火災保険から水災補償を外す傾向がみられます。この傾向が続くと、適正な料率水準を確保するために更なる水災料率の引上げが必要になり、水災補償を付帯できなくなる契約者が増えることで社会全体に対する補償機能が損なわれる懸念があります」。
保険料を下げたい気持ちは固定費の見直しとして自然なものです。ただ、外していいかどうかは、等地の数字だけでは決められないということです。
地震保険のほうは、2021年6月から動いていません
火災保険とセットで検討することになるのが地震保険です。こちらの料率は、機構が「基準料率」として算出しています。参考純率と違って、こちらは会員の保険会社が使うことになっている料率です。
その基準料率の届出履歴も確認しました。最新は2021年6月10日で、その後の届出はありません(2026年9月4日確認)。現在使われている保険料は2022年10月1日以降のものです。つまり、地震保険の保険料は約4年間動いていません。
なお、ここでいう「等地」は、さきほどの水災の等地(市区町村単位・1〜5等地)とは別の区分です。地震保険は都道府県単位で1〜3等地に分かれます。番号は共通ではありません。
| 等地区分(都道府県) | イ構造 (鉄骨・コンクリート造) |
ロ構造 (木造) |
|---|---|---|
| 1等地:北海道、青森、岩手、秋田、山形、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島 | 7,300円 | 11,200円 |
| 2等地:宮城、福島、山梨、愛知、三重、大阪、和歌山、香川、愛媛、宮崎、沖縄 | 11,600円 | 19,500円 |
| 3等地:茨城、徳島、高知 | 23,000円 | 41,100円 |
| 3等地:埼玉 | 26,500円 | |
| 3等地:千葉、東京、神奈川、静岡 | 27,500円 |
※契約金額1,000万円あたりの年間保険料(割引適用なしの場合)。2022年10月1日以降。3等地はイ構造の保険料がさらに3段階に分かれます。耐震等級割引などが適用される場合は、上表より安くなります。出典:財務省「被災後の生活再建を支える『地震保険』」(2026年5月)4頁。
地震保険には、ほかの損害保険にない性格があります。地震保険に関する法律(地震保険法)第5条第1項に「政府の再保険に係る地震保険契約の保険料率は、収支の償う範囲内においてできる限り低いものでなければならない」と定められていて、機構の資料には「地震保険は政府と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であるため、利潤を織り込んでいません」と書かれています。保険料に保険会社の利潤が織り込まれていない、という意味です(事業費や代理店手数料は含まれます)。
1回の地震で支払われる保険金には上限があります。総支払限度額は12兆円(2026年4月現在)。財務省の資料には「万一、この額を超える損害が発生したときは保険金が削減されることがあります」と書かれています。なお、これまででいちばん支払額が大きかった平成23年東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)で12,897億円(2025年3月31日現在)ですから、12兆円という枠はその10倍近い水準に置かれています。
地震保険は「建て直す」ためではなく、「生活を立て直す」ための保険です
ここは誤解が多いところなので、順を追って整理します。
まず、地震保険は単独では入れません。火災保険とセットで加入します(原則自動付帯。途中から契約することもできます)。そして、保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。上限は建物5,000万円・家財1,000万円です。
さらに、支払われるのは損害の程度に応じた割合です。
火災保険1,000万円の家で、地震保険をその上限である50%=500万円で契約していたとします。地震で全損と認定されれば500万円。大半損なら300万円、小半損なら150万円、一部損なら25万円です。一部損に至らない損害には、保険金は支払われません。
| 損害の程度 | 建物の認定基準(主要構造部の損害額) | 支払われる保険金 |
|---|---|---|
| 全損 | 建物の時価額の50%以上(または焼失・流失した床面積が延床面積の70%以上) | 地震保険金額の100%(時価額が限度) |
| 大半損 | 時価額の40%以上50%未満(または延床面積の50%以上70%未満) | 60%(時価額の60%が限度) |
| 小半損 | 時価額の20%以上40%未満(または延床面積の20%以上50%未満) | 30%(時価額の30%が限度) |
| 一部損 | 時価額の3%以上20%未満(地震等による津波・洪水で床上浸水などを受けた場合も、一部損とみなされます) | 5%(時価額の5%が限度) |
※建物と家財はそれぞれ別に損害の程度が認定され、認定の割合基準も異なります(家財は全損=時価額の80%以上/大半損=60%以上80%未満/小半損=30%以上60%未満/一部損=10%以上30%未満)。出典:損害保険料率算出機構「地震保険基準料率のあらまし」4頁。
なお、支払われる額には「時価額」という別の天井もあります。時価額は、同じ建物を建て直す費用から、年数に応じた目減りを引いた額です。築年数が経った家では、全損と認定されても保険金額の満額には届かないことがあります。
500万円で家は建ちません。ここだけを見ると心もとない制度に思えます。ただ、財務省の資料には、その位置づけがはっきり書かれています。「保険金の使い途は決められていないため、住宅の再建や住宅ローンの返済、当面の生活や引っ越し費用など、幅広く活用できます。」
建て直しの全額をまかなう保険ではなく、被災後の生活を立て直すための現金。財務省の資料タイトル自体が「被災後の生活再建を支える『地震保険』」です。そう捉えると、生活防衛資金と地続きの話だと分かります。手元の現金では届かない規模の出費に対して、先にお金を置いておく手段のひとつ、という位置づけです。
知っておきたい細かい条件
- 賃貸住宅に住んでいる人も加入できます。ただし建物は所有者しか契約できないため、借りている人は「家財」のみです
- 自動車や、1個・1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石などは対象外です
- 店舗(事務所)のみの建物や工場は対象外です
なお、地震保険を付けている人は増え続けています。機構が2026年8月25日に公表した数字では、2025年度の地震保険付帯率は全国平均70.8%(前年度70.4%から0.4ポイント増)。2003年度以降23年連続の増加で、統計を取り始めた2001年度以降の過去最高値です。ただしこの「付帯率」は、その年度に新しく契約された火災保険(住宅物件)の契約件数のうち、地震保険を付帯した件数の割合です。「いま火災保険に入っている人全体の7割」ではありません。機構は「世帯加入率」(全世帯のうち地震保険を契約している割合)も別の指標として公表していて、そちらはこれよりかなり低い水準です。
この記事の例(東京都・ロ構造・地震保険金額500万円)で保険料を出すと、41,100円 × 0.5 = 年間およそ20,550円(割引適用なしの場合)。これを毎年払って、全損のときに500万円を受け取る設計だ、ということになります。
更新の案内が届いたら、この順番で3つだけ見ます
ここまでの内容を、手を動かせる形にまとめます。更新の案内が届いたとき、見るのは3つで足ります。
- 保険料の「額」(率ではなく)——各社とも改定幅は書いていません。書いてあるのは「お見積書などをご確認ください」です。前年の保険料と、今回の見積額を並べて比べます
- 補償が減っていないか——「補償が縮小している可能性があります」という注記の先に、詳細が置かれていることがあります。特約の対象から外れたものがないかを見ます
- 自己負担額と保険金額が変わっていないか——自己負担額(事故のときに自分が負担する額。免責金額とも呼びます)の選択肢が増えている会社があります(損保ジャパンは0円・1万円・3万円・5万円・10万円に加えて20万円を新設)。評価基準の見直しで保険金額そのものが変わる会社もあります
「値上げ前に長期契約へ」は、必ずしも得とは限りません。損保ジャパンは自社の案内資料に、こう書いています。
「あわせて、長期契約向けの割引率なども見直しておりますので、1年契約を毎年更新した場合の総額保険料に比べ、長期契約の保険料が割安とならないケースも発生します。」
長期契約には「契約期間中に保険料が上がらない」という利点があると同社も書いていますが、割引率のほうも同時に見直されています。どちらが有利かは見積もりを取って比べるしかありません。「上がる前に急いで長期にする」という判断は、根拠を確かめてからのほうが安全です。
何もしないと自動で継続される契約があります。損保ジャパンは2026年10月から、保険期間1年の契約に原則として「安心更新サポート特約(自動継続型)」を自動セットします。同社の説明はこうです。「満期日の14日前に自動継続」「契約内容変更または自動継続停止の申し出がない場合、現在と同等のプランで自動継続します。」
手続き漏れを防ぐ仕組みですが、裏を返せば案内を読まないまま新しい保険料・新しい補償内容で続くということでもあります。案内が届いたら、封を開けるところまではやっておきたいところです。
秋に届く「地震保険料控除証明書」は、年末調整で出します
地震保険に入っている人には、秋に控除証明書が届きます。これは地震保険料控除に使う書類で、年末調整か確定申告で提出すると所得税が軽くなります。勤務先へ年末調整の書類を出すのは11月ごろが多いので、届いたらその封筒とまとめておくと安心です。控除額は次のとおりです。
| 区分 | 年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
|---|---|---|
| 地震保険料 | 50,000円以下 | 支払金額の全額 |
| 50,000円超 | 一律50,000円 | |
| 旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 支払金額の全額 |
| 10,000円超20,000円以下 | 支払金額×1/2+5,000円 | |
| 20,000円超 | 15,000円 |
※両方がある場合は、それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)。「控除額」は所得から差し引く金額であって、この額が戻ってくるわけではありません(軽くなる税額は税率によって変わります)。出典:国税庁タックスアンサー No.1145「地震保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等・根拠法令 所法77、120、所令262、所規47の2 ほか)。
年末調整で控除された場合は、確定申告への添付は不要です。源泉徴収で引かれた税金の精算がどう動くかは 2026年の年末調整は、12月にまとめて精算されます のほうで整理しています。なお住民税にも地震保険料控除はありますが、計算方法と上限が所得税と異なります(支払保険料の2分の1・上限25,000円。地方税法第34条第1項第5号)。
結局、自分は今なにをすればいいんすか。乗り換えたほうがいいんすかね。
今日やることは、たぶん無いよ。更新の案内が届いてから動けばいい。届いていない段階で「上がるらしい」だけを理由に急ぐと、補償の中身を確かめないまま決めることになるからね。
でも、届いたときに自分、絶対そのままハンコ押しちゃうっす。何を見ればいいか忘れちゃうっす。
3つだけ覚えておこう。①去年の保険料と今年の見積額を並べる ②補償から外れたものがないか探す ③自己負担額と保険金額が変わっていないか見る。この3つなら、封を開けて5分でできるよ。
5分ならできるっす。あと、水災の等地ってやつも見てみるっす。自分の町が何等地か、ちょっと気になるっす。
いいね。ただ、低かったからといって水災補償を外す理由にはならないから、そこだけ気をつけて。機構も「どの等地でも水害は発生しています」って書いてる。数字を知ることと、補償を減らすことは別の話なんだ。
まとめ|「値上げ」は会社ごとの話で、見るべきは自分の見積書です
「2026年10月から火災保険が値上げ」という話は、半分あたっていて半分ちがいます。各社が改定を案内しているのは事実ですが、業界共通の一律の改定率というものは存在しません。土台になる参考純率は2023年6月21日から動いていませんし、その参考純率にしても、機構自身が「実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります」と書いています。
そして、値上げ幅よりも家計に効くのは、目立たない場所に書かれた補償の変更です。数字を探しているあいだに読み飛ばしてしまう場所に、それは書かれています。
- 火災保険料は二階建て。業界共通なのは下の階(純保険料率)の目安だけで、しかも使用義務のない参考数値。上の階(付加保険料率)は各社が独自に算出しています
- その目安=火災保険参考純率の届出は、2023年6月21日が最新(2026年9月4日確認)。機構は「毎年度検証を行い、改定の必要があれば参考純率の改定の届出を行います」「2009年度以降、参考純率の改定内容・趣旨等について、ウェブサイトにてお知らせすることとしています」と明記しています
- 2023年の改定は全国平均+13.0%。ただし機構は「実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります」と冒頭に明記。同じ条件でも都道府県と水災等地で、木造(H構造)なら▲1.3%〜+27.7%の幅があります
- 2026年10月の改定は各社の判断によるもの。損保ジャパン・ソニー損保とも公式資料に改定率を書いておらず、「お見積書などをご確認ください」としています
- 同じ改定で補償が縮んでいる場合があります(ソニー損保は破損・汚損の特約からテレビ・ディスプレイ・デスクトップ型パソコン等を対象外に)。損保ジャパンは「補償が縮小している可能性がありますのでご注意ください」と注記しています。同じ改定で個人賠償責任補償特約のように広がる補償もあるので、増減の両方を確かめます
- 地震保険の基準料率は2021年6月10日の届出が最新で、保険料は2022年10月1日以降のまま。火災保険の30〜50%が上限で、支払いは全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%。建て直すための保険ではなく、生活を再建するための現金です
- 更新の案内が届くまでは、急いで何かする必要はありません。「上がるらしい」だけを理由に契約を動かさないでおきます
- 届いたら3つだけ見ます。①去年の保険料と今年の見積額を並べる ②補償から外れたものがないか探す ③自己負担額と保険金額が変わっていないか確かめる
- 自分の市区町村の水災等地は、機構の水災等地検索システムで調べられます。ただし等地が低いことは、水災補償を外す理由にはなりません
- 地震保険に入っているなら、秋に届く控除証明書を捨てない。年末調整か確定申告で使います
- 地震保険をつけるか迷っているなら、まず自分の都道府県の等地と、いま契約している火災保険の保険金額(その30〜50%が上限)を見ます。7割という付帯率は、入るべきかどうかの答えにはなりません
- 補償を減らして固定費を下げるかどうかは、減らしたぶんのリスクを手元の現金で引き受けられるかで決めます。生活防衛資金の目安を先に出しておくと、判断がぶれません
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※この記事は情報提供を目的としたもので、保険の募集・勧誘や、特定の保険会社・商品の推奨を行うものではありません。補償内容・保険料・改定の適用範囲は契約や商品によって異なります。個別の判断は、契約先の保険会社または取扱代理店にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 結局、2026年10月にうちの火災保険は上がるのですか?
A. 契約している保険会社と、契約の内容によります。損保ジャパンとソニー損保は2026年10月1日以降に保険期間が始まる契約から改定すると公式に案内していますが、両社とも改定率は公表していません。損保ジャパンは「保険料の改定幅はご契約の内容や建物の建築年月、構造などによって異なりますので、更新後のご契約の保険料は、お見積書などをご確認ください」と書いています。自分の額は、自分の見積書でしか分かりません。
Q. 「業界共通で10〜15%上がる」と書いてある記事を見ました。間違いですか?
A. 2026年10月についてそう書かれているのであれば、公表資料では裏づけが取れません。損害保険料率算出機構の火災保険参考純率の届出は、2026年9月4日時点で2023年6月21日が最新です。その2023年の改定が、全国平均で13.0%の引上げでした。数字自体は実在しますが、それは2023年の届出の数字であり、しかも機構は「実際に保険契約者の方が契約される保険会社の保険商品の改定率などとは異なります」と明記しています。
Q. 値上がりする前に、いま契約し直したほうが得ですか?
A. 一概には言えません。長期契約には「契約期間中に保険料が上がらない」という利点がありますが、損保ジャパンは同時に「1年契約を毎年更新した場合の総額保険料に比べ、長期契約の保険料が割安とならないケースも発生します」と自社の案内に書いています。割引率のほうも見直されているためです。比べるには見積もりが要ります。また、契約し直すと補償内容が現在のものに切り替わる点にも注意が必要です。
Q. 水災補償を外せば保険料は下がりますか?
A. 下がる可能性は高いですが、機構は注意を促しています。「等地が低い市区町村は、『他の市区町村に比べて相対的に水災リスクが低い』という意味合いであり、どの等地でも水害は発生しています」と資料に明記されています。また等地は外水氾濫だけでなく内水氾濫や土砂災害も含めた水災リスク全体で見ているため、洪水ハザードマップと必ずしも一致しません。機構の資料には「マンションなど一定の高さがある建物であっても大雨などによる排水管の逆流などによる被害や河川から離れた地域であっても土砂災害などの被害が実際に発生しています」とも書かれています。
Q. 賃貸に住んでいます。地震保険には入れますか?
A. 「家財」のみ加入できます。財務省の資料には「アパートなどの賃貸物件も保険の対象ですが、建物の『所有者』(大家さん)しか契約できません」「賃借されている方も『家財』のみで加入することは可能です」と書かれています。家財の地震保険金額の上限は1,000万円です。
Q. 付帯率が70.8%なら、地震保険には入っておくべきですか?
A. 7割という数字は、入るべきかどうかの答えにはなりません。しかもこの付帯率は「その年度に新しく契約された火災保険のうち地震保険を付けた割合」で、いま加入している人全体の割合ではありません。判断材料になるのは、住んでいる都道府県の地震保険の等地区分(保険料)と、被災したときに手元の現金でどこまで持ちこたえられるかです。地震保険は建て直しの全額をまかなう設計ではなく、財務省の言葉を借りれば「被災後の生活再建を支える」ためのものです。生活防衛資金が薄い家計ほど、この現金の意味は大きくなります。
Q. 地震保険の保険金は、家を直すのに使わないといけませんか?
A. 使い途は決められていません。財務省の資料には「保険金の使い途は決められていないため、住宅の再建や住宅ローンの返済、当面の生活や引っ越し費用など、幅広く活用できます」と書かれています。
Q. 火災保険が高いので、補償を減らして固定費を下げたいのですが。
A. 減らす前に、減らしたぶんを何で埋めるかを決めておくのが安全です。保険料は毎月出ていくお金なので、下げれば家計はすぐ軽くなります。ただし補償を外すというのは、その部分のリスクを自分の現金で引き受けるということです。生活防衛資金がその金額をカバーできるかを先に確かめてから決めると、判断がぶれにくくなります。
Q. 自己負担額を上げると保険料は下がりますか?
A. 一般に、自己負担額を高くすると保険料は抑えられる仕組みです。損保ジャパンは2026年10月から自己負担額の選択肢に20万円を追加し、「自己負担額を高く設定することにより、万が一の事故の際にお客さまのご負担額は増加しますが、保険料を抑えることが可能です」と説明しています。なお同社は「全損(火災で全焼した場合など)となる場合は、自己負担額は差し引かれません」とも注記しています。
Q. この記事の内容は、いつまで有効ですか?
A. 本記事は2026年9月4日に確認した公表資料に基づいています。損害保険料率算出機構は「毎年度検証を行い、改定の必要があれば参考純率の改定の届出を行います」としているため、今後あらためて届出が行われる可能性があります。最新の状況は、機構の「火災保険参考純率」「地震保険基準料率」の各ページで確認できます。各社の改定内容も、公式サイトの案内が正本です。
※本記事は情報提供を目的としており、保険の募集・勧誘や、特定の保険会社・商品の推奨を行うものではありません。記事中の内容は2026年9月4日に確認した公表資料(損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」「地震保険基準料率」各ページ、同「火災保険参考純率 改定のご案内」2023年6月28日および別紙、同「地震保険基準料率のあらまし」、同ニュースリリース2026年8月25日、財務省「被災後の生活再建を支える『地震保険』」2026年5月、損保ジャパン「商品改定のご案内 2026年10月改定」、ソニー損保「【火災保険】商品改定について」2026年5月25日、国税庁タックスアンサーNo.1145)に基づいています。補償内容・保険料・改定の適用範囲は契約や商品によって異なります。個別の判断は契約先の保険会社または取扱代理店に、税額の具体的な計算は勤務先の担当部署または税務署・税理士にご確認ください。
詳細は 免責事項 をご確認ください。
最終更新日:2026年9月28日












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