10年動かしていない口座のお金は、消えません|ただし「お知らせ」が届くのは、残高1万円以上の口座だけです

貯める・家計

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実家で古い通帳が出てきた。学生時代のバイト代が入っていた口座を、そのままにしている。引っ越しのときに作った口座を、もう何年も開いていない——そんな口座がひとつもない人のほうが、たぶん少数派です。

ネットで「休眠預金」と検索すると、「10年で没収」のような言葉が並びます。それが本当なのか、金融庁と内閣府の資料、そして法律と省令の条文そのものを開いて確かめました。

結論から言うと、お金は消えません。休眠預金等として移されたお金には、引き出す期限もありません。ただし調べていくと、そこから先に、ほとんど誰も書いていない線引きがありました。「お知らせが届く口座」と「届かない口座」が、残高1万円で分かれていることです。そしてもうひとつ、10年を待たずに、手数料で口座のほうが解約されている場合がありました。こちらのお金は戻ってきません。

💭 こんな悩み・不安はありませんか?
  • 使っていない口座が何個かあるけれど、放置したままになっている
  • 「10年で休眠預金になって没収される」と読んで、不安になった
  • 実家で古い通帳を見つけたが、どうすればいいか分からない
  • 記帳やATMの残高照会をしておけば大丈夫、と思っている

→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「いま何が起きているか」を確かめるお手伝いをします。

  • 10年動いていない預金がいつ・どこへ移され、そのあとどうなるのか
  • 金融庁が書いている「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」の意味
  • 通知が届くのは残高1万円以上の口座だけという、省令の線引き
  • 記帳や残高照会が「使った」に数えてもらえるとは限らない理由
  • 10年を待たずに口座ごと解約されている場合があること
ふくお × ねこた
ねこた
ねこた

ふくおさん、実家の引き出しから自分の古い通帳が出てきたっす。10年くらい何もしてないと思うっす。もう国に取られてるっすか?

ふくお

取られてはいないよ。金融庁がはっきり書いているんだ。「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」ってね。10年たっても、引き出せなくなることはないよ。

ふくお
ねこた
ねこた

えっ、じゃあ「休眠預金は没収」って書いてあるのは何だったんすか。自分、そういうタイトルばっかり見たっす。

ふくお

移された先が「民間公益活動に使われる」から、そう見えるんだろうね。でも移されるのはお金で、引き出す権利のほうは、名前を変えて残る仕組みになっているんだ。法律にちゃんと書いてあるよ。

ふくお
ねこた
ねこた

なんだ、安心したっす。じゃあ放っといても大丈夫っすね。

ふくお

そこはちょっと待ってほしいんだ。この制度、お知らせが届く口座と届かない口座が、残高1万円で分かれているんだよ。しかも、10年を待たずに口座のほうが無くなっている場合もある。順番に見ていこうか。

ふくお
✏️ ふくおの体験談

ふたつの空の箱を前に考えこむふくお

この記事を調べていて、自分の書いたものに抜けがあることに気づきました。

僕は「お金の置き場所は3つでいい」という記事を書いています。生活費・もしも・未来の3つに分けると、混ざらなくなって自然と貯まる——という話です。書いた内容は今でもそのとおりだと思っています。ただ、あの記事には「解約」という言葉も、「使っていない口座」という言葉も、一度も出てきません。

投資を始める前の僕は、給料口座ひとつで全部をやりくりしていました。そこから置き場所を分けて、口座は増えました。つまり僕が書いたのは「これから使う3つ」の話だけで、その3つに入らなかった口座がどうなるかは、まるごと書いていなかったのです。

分けるという行為は、たいてい「残る側」を作ります。今回この制度を調べて、いちばん最初に思ったのがそれでした。この記事は、そのとき書かなかったほうの話です。

まず結論から。10年たっても、お金は消えません

金融庁のウェブサイト「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」には、次のQ&Aがそのまま載っています。

Q. 休眠預金等を引き出す期限はありますか。
A. 「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」

出典:金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」(2026年9月6日確認)/同「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」2019年2月更新・Q20

内閣府の資料にも、同じことが図の中に書いてあります。制度の全体像を示した図の左側、預金者から預金保険機構へ伸びる矢印には「支払請求 いつでも引出し可能(期限なし)」と添えられています(内閣府「休眠預金等活用制度について」2026年7月・3ページ目のスライド)。

まず、10年で何が起きるのかを整理します。

10年動いていない口座に、起きること休眠預金等活用法(平成28年法律第101号)と同施行規則より1最終異動日等から9年金融機関が、公告と通知の準備を始めます※起点は「最後に入出金した日」とは限りません(4つの候補のうち最も遅い日)2公告の前に「通知」残高1万円以上の口座には、届け出の住所へ郵送(承諾があれば電子メール)1万円未満の口座には、通知はありません310年6か月を経過する日までに「公告」各金融機関のサイトで電子公告。2か月は続けられます口座番号や名義人の名前は載りません4公告から2か月を過ぎると、預金保険機構へ納付は公告から2か月〜1年の間。納付の日に預金の債権が消滅します5そのあとも、同じ金融機関で引き出せます手続きをすれば、元本+利子相当額を「休眠預金等代替金」として受け取れます引き出しに期限はありません

10年の起点は、「最後に入出金した日」とは限りません

その10年が、いつから数えられるのか。法律は「最終異動日等」という言葉を使っていて、第2条第5項で「次に掲げる日のうち最も遅い日」と定義しています。候補は4つあります。なお「異動」は、預金者などがその口座を利用する意思を示したと認められる取引のことです(何が当たるかは、後半で表にして見ます)。

号 最終異動日等の候補(休眠預金等活用法 第2条第5項)
一号 当該預金等に係る異動が最後にあった日
二号 将来その預金の債権の行使(払い戻しなど)が期待される事由がある場合の、期待される日(省令で定めるもの。定期預金の満期日、支払停止が解除された日など)
三号 金融機関が預金者に対して通知を発した日(届いた場合など、省令で定める場合に限る)
四号 その預金等が「預金等」に該当することとなった日

出典:同法第2条第5項(e-Gov法令検索・2026年9月6日確認)。号番号は条文のもので、各号の内容は当ブログで要約しています(二号にあたる事由と日は施行規則第5条第1項に定めがあります)。

ポイントは「最も遅い日」というところです。あとから来た日が起点を上書きします。だから通知を受け取れば、そこから10年の数え直しになりますし、定期預金なら満期日が起点になります(この点は金融庁のQ&A Q8も、預入期間の末日から10年と説明しています)。「10年前に預けた定期預金だから、もう休眠預金かもしれない」と早合点しなくて大丈夫です。

消えるのは「預金」で、お金のほうではありません

「没収」に見えてしまう原因は、法律の書き方にあります。休眠預金等活用法の第7条第1項は、こう定めています。

「休眠預金等に係る債権について第四条第一項の規定による休眠預金等移管金の全額の納付があったときは、その納付の日において現に預金者等が有する当該休眠預金等に係る債権は、消滅する。」

出典:民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成28年法律第101号)第7条第1項(e-Gov法令検索・2026年9月6日確認)

たしかに「消滅する」と書いてあります。ただし、この条文には続きがあります。同じ第7条の第2項です。

「前項の規定により休眠預金等に係る債権が消滅した場合において、当該休眠預金等に係る預金者等であった者は、預金保険機構に対して主務省令で定めるところによりその旨を申し出たときは、預金保険機構に対し、当該債権のうち元本の額に相当する部分の金額に主務省令で定める利子に相当する金額……を加えた額の金銭(以下「休眠預金等代替金」という。)の支払を請求することができる。」

出典:同法第7条第2項(e-Gov法令検索・2026年9月6日確認)

つまり「A銀行に対する預金という権利」が消えて、代わりに「預金保険機構に対して同じ額を請求できる権利」が残るという構造です。名前が「預金」から「休眠預金等代替金」に変わるだけで、金額は元本に利子相当額を足したものになります。ただし自動で振り込まれるわけではありません。条文が「主務省令で定めるところによりその旨を申し出たときは」と書いているとおり、こちらから手続きをして初めて受け取れます。

ちなみに預金保険機構は、銀行が破綻したときに預金者1人あたり1,000万円とその利息までを守る預金保険制度を運営している組織です。移された先が民間の団体ではない、というのはここでも確認できます。

金額の面でも心配は要りません。円の普通預金は、投資信託のように値動きで元本割れすることはなく(金融機関が破綻した場合に預金保険で保護されるのは、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等です)、休眠預金等代替金として請求できるのは元本に利子相当額を加えた額です。金融庁のQ&A(Q21)も「旧預貯金などの元本に、元の預貯金契約などに基づく利子相当額を加えた額になります(元の預貯金契約どおりの額が支払われます。)」としています。放置していた期間のぶん、金額が目減りするわけではありません。(利子等の生じない預金等については、加算される利子相当額は零になります。)

⚠️ 「消滅」という言葉に驚かなくて大丈夫です。消えるのは金融機関に対する債権で、同じ額を請求する権利が預金保険機構に対して残ります。しかも請求の手続きは、預金保険機構から支払等の業務の委託を受けた金融機関があるときは、その金融機関を通じて行うことになっています(同法第7条第4項)。実務では、もともと取引していた金融機関がその窓口です。金融庁も「引き続きお取引のあった金融機関で引き出すことが可能です」(Q15)と案内しています。

実際に、いくら移されて、いくら払い戻されているのか

制度の説明だけでは実感がわかないので、数字を見ます。内閣府が公表している資料に、直近5年分の実績が載っています。

年度 休眠預金等の発生額(移管額) 預金者等への支払額 指定活用団体への交付額
2021年度 1,374億円 252億円 87億円
2022年度 1,528億円 351億円 93億円
2023年度 1,609億円 457億円 45億円
2024年度 1,695億円 523億円 50億円
2025年度 1,871億円 587億円 74億円

出典:内閣府「休眠預金等活用制度について」(2026年7月)3ページ目のスライド「休眠預金等活用制度の全体像」内の表を転記。5年の合計は発生額8,077億円・支払額2,170億円・交付額349億円(当ブログで合計を計算)。

移された額と、預金者に払い戻された額内閣府「休眠預金等活用制度について」(2026年7月)より・単位=億円発生額(移管額)預金者等への支払額2,0001,5001,00050001,3742522021年度1,5283512022年度1,6094572023年度1,6955232024年度1,8715872025年度※その年度の支払額には、過去の年度に移管されたぶんの払い戻しも含まれます。 支払額を発生額で割って「戻ってきた割合」を出すことはできません。

目を引くのは支払額のほうです。252億円から587億円へ、直近5年分(2021年度→2025年度)で2.3倍になっています(当ブログで計算)。発生額のほうも1,374億円から1,871億円へ、497億円ぶん増えています。

ただし、この2つを割り算してはいけません。

⚠️ 「587億円 ÷ 1,871億円=約31%しか戻っていない」という読み方はできません。その年度に支払われた587億円には、何年も前に移管されたぶんの払い戻しが含まれます。分子と分母が同じ年度の同じお金ではないので、割合として意味を持ちません。この表は、2つの数字を並べて眺めるところまでにしておくのが正確です。

もうひとつ、金融庁のQ&Aに準備金の話が出てきます。「預金保険機構は、当面の間、各金融機関から移管された休眠預金等の5割を準備金として積み立てることとしておりますので、これまでの、長い間お取引のない預金等の引き出し実績からみても、十分な水準であるといえます。」(Q16)。移されたお金の半分は、将来の払い戻しに備えて置いてある、ということです。

ふくお × ねこた
ねこた
ねこた

1年で1,871億円も動いてないお金があるんすか。みんな忘れすぎっす。

ふくお

そうだね。しかも払い戻しのほうも、この5年分で2.3倍に増えている。気づいて取りに行った人が、それだけ増えたということでもあるんだ。

ふくお
ねこた
ねこた

じゃあ自分も気づけばいいっすね。……あれ、でも気づくきっかけって、どこから来るんすか?

ふくお

いいところに来たね。まさにそこが、この制度でいちばん大事なところなんだ。お知らせが届くかどうかは、法律で条件が決まっているんだよ。

ふくお

「お知らせ」が届くのは、残高1万円以上の口座だけです

金融機関は、9年たった口座について公告をする前に、預金者へ通知を出すことになっています。休眠預金等活用法の第3条第2項です。そして、その条文にはただし書きが付いています。

「……当該預金等を特定するに足りる事項として主務省令で定める事項の通知を発しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 最終異動日等から九年を経過した日における当該預金等に係る債権の元本の額が主務省令で定める額に満たない場合
二 当該預金者等の住所その他の当該通知を受ける場所が明らかでない場合として主務省令で定める場合
三 その他主務省令で定める場合」

出典:同法第3条第2項(e-Gov法令検索・2026年9月6日確認)

「主務省令で定める額」がいくらなのかは、条文には書いてありません。省令のほうを開くと、一文だけで決まっていました。

「法第三条第二項第一号の主務省令で定める額は、一万円とする。」

出典:民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律施行規則(平成29年内閣府・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第2号)第7条第4項(e-Gov法令検索・2026年9月6日確認)

金融庁のQ&Aでも、同じことが読者向けの言葉で書かれています。「1万円以上の残高がある預金等については、お預けの金融機関から、現在登録されているご住所へ「通知」が郵送されます。」そして、同じ答えの末尾に「なお、1万円に満たない預金等については、通知はありません。」(Q10)。

「通知」が届く口座と、届かない口座休眠預金等活用法 第3条第2項/同施行規則 第7条 より残高 1万円以上残高 1万円未満届け出の住所に通知が届く状態○ 通知が届く受け取れば、そこから10年は休眠預金等になりません× 通知はありません省令が「1万円」で線を引いているためです住所が分からない通知が返送される× 通知はありません法第3条第2項 第二号(省令 第7条第5項)× 通知はありません条件が2つとも当てはまります通知がなくても「公告」は行われます。公告に口座番号や名義人の名前は載りません。通知が無かった口座も、金額の下限なく、期限なしで引き出せます。※1万円以上かどうかは「9年を経過した日の元本の額」で判定されます(法第3条第2項第一号)。

ここが、この制度でいちばん知られていない部分だと思います。残高が少ない口座ほど、静かに移管される。これは金融機関の手抜きではなく、法律と省令がそう決めているからです。

ひとつ、混同しやすいので先に切り分けておきます。この1万円は「通知を出すかどうか」の線であって、「休眠預金等になるかどうか」の線ではありません。金融庁のQ&Aは「休眠預金等になる預貯金などの額に基準はありますか。」という問いに、ひとことで答えています。「ありません。」(Q5)。金額がいくらでも休眠預金等になりますし、金額がいくらでも引き出せます。

なお、通知が来ない入口は3つあります。①残高1万円未満 ②住所などが分からない、または通知が返送される ③郵送による通知をあらかじめ拒否している(施行規則第7条第4項・第5項・第6項)。③は自分で選んだ結果なので気づけますが、①と②は気づけません。

通知が届くと、そこから10年が数え直しになります

逆に、通知が届いた場合は何が起きるのか。金融庁のQ&Aは「この通知を受け取ることで、その後の10年間は休眠預金等になりません」(Q10)と書いています。

法律の側でも同じ扱いになっています。第2条第5項は「最終異動日等」を「次に掲げる日のうち最も遅い日」と定義していて、その第三号に「当該預金等に係る金融機関が当該預金等に係る預金者等に対して次条第二項の主務省令で定める事項の通知を発した日」が入っています。通知を発した日が起点になって、そこから10年が数え直される仕組みです。ただし「省令で定める場合に限る」という限定があり、施行規則は「通知を発した日から一月を経過した場合(その間に預金者の意思によらず返送されたときを除く)」と定めています(施行規則第5条第4項)。届いたかどうかを金融機関が確かめるのではなく、出して1か月、返ってこなければ効くという組み立てです。

つまり、届け出の住所が最新かどうかは10年の時計そのものを左右します。金融庁がトップページで「通帳やキャッシュカードの所在、金融機関にお届けの住所やメールアドレスに変更がないか、今一度ご確認下さい。」と書いているのは、そういうことなのだと思います。

⚠️ 通知が届かなかった場合、移管はわりと早く来ます。金融庁のQ&Aは「長期にわたり異動がないにも関わらず、残高が1万円未満のときや住所変更を届けていないことなどにより通知が届かない場合には、金融機関が公告を開始した日から2ヶ月~1年の間に移管が行われます」(Q14)と書いています。もっとも、移管されても引き出せることは変わりません。

公告には、何が載って、何が載らないのか

通知が届かなかった口座にも、公告だけは行われます。公告は、最終異動日等から10年6か月を経過する日までに行うこととされていて(法第3条第1項)、各金融機関のウェブサイトで行う電子公告と決められています(施行規則第6条第1項)。開始後2か月を経過する日までは継続して掲載されます(同条第2項)。載せる内容は法律で決まっています。

公告に載ること(休眠預金等活用法 第3条第1項) 公告に載らないこと
・その預金等の最終異動日等に関する事項
・休眠預金等移管金の納期限
・納付された日に、その預金の債権が消滅する旨
・休眠預金等代替金の支払に関する事項
・口座番号
・名義人の名前
・そのほか、個別の預金者が特定される情報

※このほか、第五号として「その他主務省令で定める事項」があります。出典:左=同法第3条第1項第一号〜第四号(e-Gov法令検索)/右=金融庁「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」Q12「個別の預金者などが特定される情報(含む口座番号)は掲載されません」(いずれも2026年9月6日確認)。

つまり公告を眺めても、自分の口座が入っているかどうかは分かりません。ここは制度の設計上そうなっていて、預金者のプライバシーを守るためです。

その代わり、法律は別の入口を用意しています。第3条第4項は、預金者から公告の対象になっている自分の預金等について「情報の提供を求められた場合には、その求めに応じなければならない」と金融機関に義務づけています(応じる中身は「公告の対象になっているかどうか」と「通知を受ける場所に係る情報」の2つ=施行規則第8条)。そして次の見出しで見るとおり、この「公告された預金等に対する情報提供の求め」は、全金融機関に共通する異動事由のひとつです。

⚠️ ただし、問い合わせれば必ず時計が止まる、という話ではありません。施行規則は、この異動事由を「(同条第一項の公告の対象となっている預金等に関するものに限る。)」と限定しています(施行規則第4条第2項第三号)。まだ9年たっていない口座について銀行に電話をかけても、それだけで10年が数え直しになるわけではありません。確実なのは、次の見出しで見る入出金のほうです。

「使っている」に数えてもらえる操作は、思ったより少ない

10年の時計を止めるには、口座に「異動」があればいい。ここまでは分かりやすい話です。問題は「何をすれば異動になるのか」でした。

金融庁のQ&A(Q6)に一覧表があります。ところがこの表、左右で意味がまったく違います。

全金融機関に共通する異動事由(3つ) 金融機関が行政庁の認可を受けて、はじめて異動事由になるもの(6つ)
・入出金(金融機関による利子の支払を除く)
・手形又は小切手の提示等による第三者からの支払請求(金融機関が把握できる場合に限る)
・公告された預金等に対する情報提供の求め
・預金者等による通帳や証書の発行、記帳、繰越
・預金者等による残高照会
・預金者等の申出による契約内容・顧客情報の変更
・預金者等による口座を借入金返済に利用する旨の申出
・預金者等による預金等に係る情報の受領
・総合口座等に含まれる他の預金等の異動

出典:金融庁「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」(2019年2月更新)Q6の表を、PDFの座標で左右の列を確定したうえで転記。左右の振り分けは同表のとおりで、当ブログの解釈を加えたものではありません。

右側の6つは、その金融機関が認可を受けていなければ、やっても異動になりません。金融庁自身がQ6の表のすぐ下に、こう書いています。

「したがって、通帳の記帳については、お預けの金融機関が異動事由として認可を受けている場合は、異動に該当することとなります。」

出典:金融庁「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」Q6

「記帳しておけば大丈夫」と覚えていた人は、条件付きだったことになります。同じように、ATMの残高照会も右側です。ネットバンキングにログインして残高を見るのも、この分類でいえば「残高照会」や「情報の受領」にあたると考えられます(この当てはめは当ブログの整理です)。

⚠️ 確実に「使った」ことになるのは、入出金です。右側の6つが自分の銀行で異動事由になっているかどうかは、金融機関ごとに違います。金融庁も「各金融機関が行政庁から認可を受けて異動事由となるものについては、各金融機関にて公表されますので、ご自分の預金等に係る異動事由の詳細は、お取引のある金融機関にお問い合わせ下さい」と書いています。残すと決めた口座なら、1円でも入れるか、1円でも出すか。これがどの金融機関でも通じるいちばん確実な方法です(使わない口座まで1円ずつ動かして回るより、数を減らすほうが先です)。

もうひとつ、見落としやすいのが利息です。定期的に利息がついていれば口座は動いている——そう思いたくなりますが、金融庁のQ&Aは1行で切り捨てています。「金融機関による利子の支払は、原則として異動に該当しません。」(Q7)。金利がついたのは金融機関がやったことで、預金者が「利用する意思を表示した」わけではないから、という整理です。

✏️ ふくおの体験談

棚に並んだ瓶をひとつずつ確かめるふくお

使っている銀行のサイトを開いて、「未利用口座管理手数料」という長い名前のページを探しました。次の見出しで書くとおり、10年を待たずに口座のほうが無くなっている場合があると知ったからです。

条件は箇条書きで並んでいました。いつ開いた口座か。最後の入出金からどれくらい経っているか。ほかに預けている資産があるか。借入れがあるか。ひとつずつ自分に当てはめていく作業です。難しいことは何も書いていないのに、5分ほどかかりました。

結論としては、僕がふだん使っている口座は対象外でした。ただ、確かめてよかったと思ったのは別のところです。同じ「未利用口座管理手数料」という名前でも、銀行によって条件がまったく違いました。片方は「2021年7月以降に開いた口座だけ」、もう片方は「2004年4月以降に開いた口座」。この差だけで、対象になる口座の数はぜんぜん変わります。

「銀行はこうなっている」とまとめて覚えるのは、たぶん無理です。自分の銀行のページを開くほうが早い、というのが今回の実感でした。

10年を待たずに、口座ごと消えていることがあります

ここまでは国の制度の話でした。もうひとつ、まったく別の仕組みが動いています。未利用口座管理手数料です。

使われていない普通預金口座に、年間の手数料をかける取り扱いです。三菱UFJ銀行はその目的を「不正口座の作成・利用の防止や口座の維持・管理に係る費用の一部に充当するため」と説明しています。放置口座が犯罪に使われるのを防ぐ、という側面があるわけです。

実際に2行のページを開いて、条件を並べてみました。

項目 三菱UFJ銀行 りそな銀行
対象になる口座 2021年7月1日以降に開設された普通預金口座(2021年6月30日以前に開設済みの口座は対象外) 2004年4月1日以降に新規開設された普通預金口座(それ以前に開設された口座でも、取引停止から取引可能な状態に戻った場合やお取引店を変更された場合などは対象になると注記されています。旧奈良銀行のお客さまは2006年1月4日以降の新規開設口座)
「未利用」の条件 最後の預入れ・引出しから2年以上(利息の元本組入れと当該手数料の引落しは除く) 最後の預入れ・払戻しから2年以上(利息の元本組入れと当該手数料の引落しは除く)
手数料 年1,320円(税込) 年1,320円(消費税等込み)
かからない場合(一部) 他の預かり金融資産(定期預金・外貨預金・投資信託等)が1円以上ある/借入れがある など 残高が1万円以上である/同一支店に他の預かり金融資産が1円以上ある/借入れがある など
引落しまでの期間 未利用になってから一定期間(3ヵ月)経過後に引落し お知らせから一定期間(約3ヶ月)経過後に引落し
残高が手数料に足りないとき 残高を手数料の一部として引き落としたうえで、口座を解約 残高を手数料の一部としていただき、口座を解約

出典:三菱UFJ銀行「未利用口座管理手数料」(同ページに「(2022年12月9日現在)」と表示。2026年9月6日確認)/りそな銀行「普通預金口座の未利用口座管理手数料について」(2026年9月6日確認)。いずれも各行の記載を転記したもので、条件は抜粋です。

⚠️ この2行を選んだのは、条件の違いが分かりやすい例だからで、他行より良い・悪いという意味ではありません。未利用口座管理手数料は、導入しているかどうかも、金額も、対象になる口座の開設時期も、金融機関ごとに違います。ここに書いた条件を、自分の銀行に当てはめないでください。必ず自分の取引銀行のページで確認してください。金額や条件は変更されることがあります。

2行を並べると、いちばん差が出るのは「いつ開いた口座か」です。三菱UFJ銀行は2021年7月1日以降に開設した口座だけを対象にしていて、それ以前に開設済みの口座は対象外だと明記しています。りそな銀行は2004年4月1日以降の新規開設口座が対象で、それより前に開いた口座でも、取引店を変更した場合などは対象になると注記されています。開設時期の線だけを見れば17年の開きがありますが、「自分の口座は古いから対象外」と決めきれるわけではありません。「学生時代に作ったきりの口座」がどちらに当たるかは、結局その銀行のページを開かないと分かりません。

また、対象外になる条件も違います。両行とも、ほかに定期預金・外貨預金・投資信託などを1円でも預けていれば対象外になる点は共通しています(りそな銀行は「同一支店で」という限定つきです)。違うのは残高です。りそな銀行には「残高が1万円以上である場合」という条件がありますが、三菱UFJ銀行の案内にこの残高基準はありません。残高が数万円あっても手数料の対象になりうる銀行と、1万円以上なら対象外の銀行がある、ということです。

そして、いちばん大事なのがこの一行です。残高が手数料に足りない口座は、残高がゼロになって解約されます。三菱UFJ銀行のページには「なお、ご負担いただいた未利用口座管理手数料のご返却、および解約後の口座の再利用には応じかねますので予めご了承ください。」とあります。

整理すると、こうなります。残高が数百円しかない放置口座は、10年たって休眠預金になるより前に、手数料で残高がなくなって解約されている可能性がある。そしてそのお金は戻ってきません。休眠預金になったお金には期限のない請求権が残るのに、手数料で引き落とされたお金には残らない——同じ「放置口座」でも、行き先がまったく違います。

国の側と銀行の側に、同じ形の但し書きが3つ並んでいます

条文と、銀行のページの記載を並べていて気づいたことがあります。国が法律・省令で決めていることと、銀行がホームページに書いていることが、同じ論理で対になっているのです。

論点 国の側(法律・省令・金融庁) 銀行の側(各行のページ)
利息は「使った」に数えない 「金融機関による利子の支払は、原則として異動に該当しません。」(Q&A Q7) 「該当普通預金のお利息の元本への組入れ……は除きます」(三菱UFJ銀行・りそな銀行)
お知らせは「出した」ことが基準 「法第三条第二項の通知は、預金者等が金融機関に対して通知した住所……に宛てて発すれば足りる」(施行規則第7条第2項) 「送付した『ご案内』が延着しまたは到達しなかったときでも通常到達すべき時に到達したものとみなします」(三菱UFJ銀行)
線引きは「1万円」 通知を出す義務があるのは残高1万円以上(施行規則第7条第4項) 残高が1万円以上なら手数料の対象外(りそな銀行。三菱UFJ銀行にこの残高基準はなく、1万円が銀行共通の線というわけではありません)

出典:前掲の各資料より、当ブログで対応関係を整理。3組とも原文からの引用ですが、「同じ論理で対になっている」という見方は当ブログの整理です。

この3組が意味しているのは、ひとつのことだと思います。制度も銀行の取り扱いも、「連絡は出した」という状態を基準に組み立てられている。届いたかどうかではありません。だから住所を最新にしておくことが、思っているより効きます。

そもそも、休眠預金にならない預金もあります

「10年放置=全部が休眠預金」ではありません。対象になるのは、預金保険制度・貯金保険の対象となる預貯金などに限られます。

「預金等」に当たるもの(休眠預金等になりうる) 「預金等」に当たらないもの(対象外)
普通・通常預貯金/定期預貯金
当座預貯金/別段預貯金
貯蓄預貯金/定期積金
相互掛金
金銭信託(元本補填のもの)
金融債(保護預りのもの)
外貨預貯金/譲渡性預貯金
金融債(保護預りなし)
2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等
財形貯蓄
仕組預貯金
マル優口座

出典:金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」および「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」Q4の表を、PDFの座標で左右の列を確定したうえで転記(2026年9月6日確認)。金融機関により商品名・呼称が異なります。

気をつけたいのは郵便局の古い貯金です。2007年10月1日の郵政民営化より前に預けられた定額郵便貯金・定期郵便貯金・積立郵便貯金は、この制度の「預金等」に当たりません。金融庁は、これらの取り扱いについて独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構のサイトを見るよう案内しています。休眠預金の話と混ぜずに、別の窓口で確かめてください。

もうひとつ、時期の区切りもあります。金融庁のQ&Aは「2009年1月以降に最後の異動があった預金等が原則として対象になります」(Q1)としていて、それより前に最後の取引があった預金は制度の対象外です。Q2も同じ内容を説明したうえで、続けて「なお、こうした預金等についても、通常、金融機関は、引き出しに応じております。」と書いています。制度の外にあるからといって、引き出せないわけではありません。

確かめる手順は、3つだけです

ここまでを、実際にやることに落とします。

  1. 思い出せる口座を、紙かスマホのメモに全部書き出す。給与・家賃引き落とし・カード・NISAの引き落とし……と用途から思い出すと出てきやすいです。通帳やキャッシュカードが手元にあるものから並べます。
  2. 金融機関に問い合わせる。金融庁のQ&A(Q9)は「自分の預金等が休眠預金等になっているかを知るにはどうすればよいですか」に対して「お取引のあった金融機関にお問い合わせ下さい。」としか答えていません。調べる窓口はそこしかない、ということです。合併などで銀行名が変わっている場合は、引き継いだ現在の金融機関が窓口になります(Q17)。あわせて、その銀行のサイトで「未利用口座管理手数料」のページも見ておいてください。導入していれば、10年を待たずに解約の対象になっているかどうかが分かります。
  3. 残すと決めた口座は、1円でも入出金して住所を最新にする。入出金は全金融機関共通の異動事由です。届け出の住所を直しておけば、通知が届いて時計が数え直しになります。

3つ目について、もう少し補足します。使わないと決めた口座は、閉じてしまうほうが管理は楽です。口座の数だけ、住所変更の手続きも、パスワードの管理も、不正利用への備えも増えていきます。1回やれば効き続けるという意味で、固定費の見直しと似ています。逆に、もしものときのお金=生活防衛資金のように役割がはっきりしている口座は、残して住所を最新にしておく。「役割があるか」だけで判断すると、迷う時間が減ります。

🏦 窓口に行く前に、電話で確認しておきたいこと

  • その口座が休眠預金等になっているかどうか(なっていても手続きはできます)
  • 必要な本人確認書類(通帳・カードが無い場合に何が要るか)
  • 手続きにかかる時間の目安と、来店予約が要るかどうか
  • 現金で受け取る形になるのか、元の口座を引き続き使えるのか

最後の項目は、金融庁のQ&A(Q15)が「休眠預金等を引き出す際、現金での受け取りになるのか、元の口座を引き続き使えるのか、については、金融機関毎に異なります」と書いているところです。あらかじめ聞いておくと、行ってから戸惑わずにすみます。

持ち物についても、Q&Aが答えています。通帳やキャッシュカード、本人確認書類を持っていけば引き出せます。「通帳などを紛失している場合であっても、本人確認書類(身分証明書)などをお持ち頂ければ、引き出すことができます。」(Q19)。亡くなった家族の口座も、「金融機関所定のお手続きを経て、その相続人が引き出すことができます。」(Q18)。

⚠️ ATMでは完結しない前提でいてください。金融庁のQ&Aは「一般的には、長い間お取引がない預金等のお引き出しには、そうでないものと比べて時間がかかること、またATMなどではなく金融機関の窓口などでお手続きを行って頂く必要があることが想定されます」(Q22)と書いています。時間に余裕のある日に、必要書類を電話で確認してから行くほうが確実です。

⚠️ 「休眠預金を代わりに引き出します」という誘いには乗らないでください。休眠預金等活用法の第56条は、他人になりすまして休眠預金等代替金の支払を受ける目的で通帳やカードを譲り受けた人などに、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方を科すと定めています。業として行った場合は3年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金です。相手にその目的があると知りながら通帳やカードを渡すのも、罰則の対象になりえます。なお、ここで問題になるのは「なりすまして受け取る目的」の譲り渡しです。ご家族が相続の手続きや正規の代理手続きのために通帳を預かることは、これに当たりません。

ふくお × ねこた
ねこた
ねこた

自分、いままで「ATMで残高だけ見とけば大丈夫」って思ってたっす。あれ、意味なかったんすか。

ふくお

意味がないとまでは言えないよ。残高照会が異動事由になっている銀行なら、ちゃんと効くんだ。ただ、それは銀行が認可を受けているかどうかで決まる。どこでも確実に効くのは入出金のほうだね。

ふくお
ねこた
ねこた

じゃあ使ってない口座、全部に1円ずつ入れとけばいいっすかね。

ふくお

それも手だけど、僕は数を減らすほうをすすめたいな。使っていない口座は、物価が上がっている局面では、置いたままのお金で買えるものがインフレのぶん減っていくし、不正利用の入口にもなりうる。残すか、閉じるか、決めてしまうほうが楽だよ。

ふくお
ねこた
ねこた

たしかに、口座の数だけ考えることが増えてる気がするっす。ちょっと棚卸ししてくるっす。

ふくお

いいね。それと、実家の通帳が出てきたなら、その口座の銀行に電話して聞くのがいちばん早いよ。10年たっていても、引き出す期限はないからね。あわてなくて大丈夫。ただ、手数料のほうは2年くらいで動きはじめる銀行もあるから、そこだけは自分の銀行のページを見ておくといいよ。

ふくお

まとめ|消えるのはお金ではなく、口座のほうかもしれません

調べる前に思っていたことと、資料で確かめた結果を並べます。

ネットでよく言われること 一次資料で確かめた結果
10年放置すると没収される されません。金融庁は「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」と明記しています。預金の債権は消えますが、同額を請求できる権利(休眠預金等代替金)が預金保険機構に対して残ります
移管される前に連絡が来る 来ない場合があります。通知の義務があるのは残高1万円以上の口座だけで、1万円未満には通知はありません(施行規則第7条第4項)。住所が分からない場合、郵送を拒否している場合も同じです。ただし通知が無くても、引き出せることは変わりません
記帳や残高照会をしておけば大丈夫 銀行しだいです。記帳・残高照会は「行政庁の認可を受けて異動事由となるもの」の側。全金融機関に共通するのは入出金など3つだけです
放っておいても、いつか気づく 10年より前に口座が無くなっていることがあります。未利用口座管理手数料で残高が引き落とされ、口座が解約される場合があり、その分は戻りません
  • 10年たっても、お金は消えません。休眠預金等として移されたお金に、引き出す期限はありません。ここは金融庁と内閣府の両方が同じ言葉で書いています
  • ただし「お知らせが届くのは残高1万円以上の口座だけ」という線引きが省令にあります。少額の口座ほど、静かに移管されます。移管されても、金額の下限なく引き出せます
  • 確実に時計を止められるのは入出金です。記帳と残高照会は、金融機関が認可を受けている場合にかぎられます
  • そして10年を待たずに、未利用口座管理手数料で口座ごと解約されている場合があります。こちらのお金は戻りません
  • 思い出せる口座を全部書き出して、残すか閉じるかを決めてしまう(固定費の見直しと同じで、1回やれば効き続けます)
  • 残す口座は1円でも入出金して、届け出の住所を最新にする
  • 自分の銀行のサイトで「未利用口座管理手数料」のページを見る。10年より早く動くのはこちらです
  • 実家で古い通帳が出てきたら、その金融機関に電話で持ち物を聞いてから窓口へ。期限はないのであわてなくて大丈夫です
  • NISAや公共料金の引き落とし口座を移したときは、移し終わった元の口座を放置しない。役割が終わった口座こそ忘れられます
  • 口座の役割を決め直すなら お金の置き場所は3つでいい を読み返してみてください

🗂 残すと決めた口座に、役割を持たせたい方へ

お金の置き場所は3つでいい「生活費・もしも・未来」に分けると、我慢しなくても混ざらなくなります

🔐 使っていない証券口座のほうも気になった方へ

証券口座の乗っ取りから、資産を守るログイン設定の見直しと、補償に書かれていること

※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融機関・金融商品の推奨や、投資判断の助言を行うものではありません。制度の内容・手数料・各行の取り扱いは変更されることがあります。実際のお手続きや、ご自身の口座が該当するかどうかは、必ずお取引のある金融機関にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 10年放置したら、お金は国に取られてしまうのですか?

A. 取られません。金融庁は「期限はありません。いつでも引き出すことができます。」と明記しています。10年動きのない預金は預金保険機構へ移管され、その時点で金融機関に対する預金の債権は消滅しますが(休眠預金等活用法第7条第1項)、同じ第7条の第2項で、元本に利子相当額を加えた額を「休眠預金等代替金」として請求できることになっています。手続きは、もともと取引していた金融機関を通じて行います。

Q. 自分の口座が休眠預金になっているか、どうすれば分かりますか?

A. 取引のあった金融機関に問い合わせるしかありません。金融庁のQ&A(Q9)も「お取引のあった金融機関にお問い合わせ下さい。」とだけ答えています。全国の口座を横断して調べられる窓口はありません。なお、公告は各金融機関のサイトで行われますが、個別の預金者が特定される情報(口座番号を含む)は掲載されません(Q12)ので、公告を見ても自分の口座かどうかは分かりません。

Q. ATMで残高照会をすれば、「使った」ことになりますか?

A. 金融機関によります。残高照会は「金融機関が行政庁の認可を受けて異動事由となるもの」の側に分類されています。認可を受けている金融機関では異動になりますが、受けていない金融機関では異動になりません。全金融機関に共通する異動事由は、入出金(金融機関による利子の支払を除く)など3つだけです。残すと決めた口座は、1円でも入金するか出金してください(使わない口座は、動かすより閉じるほうが管理は楽です)。

Q. 通帳に記帳すれば大丈夫だと聞いたのですが。

A. これも金融機関によります。金融庁は「通帳の記帳については、お預けの金融機関が異動事由として認可を受けている場合は、異動に該当することとなります」と書いています。認可の有無は各金融機関が公表することになっているので、確実に知りたい場合は取引のある金融機関に問い合わせてください。

Q. 定期的に利息が付いています。これで口座は動いていることになりますか?

A. なりません。金融庁のQ&A(Q7)は「金融機関による利子の支払は、原則として異動に該当しません。」としています。ついた金利のぶんが元本に組み入れられても、同じ扱いです。「異動」は預金者などが預貯金を利用する意思を表示したと認められる取引を指すもので、金融機関の側の処理は含まれない、という整理です。同じ考え方は銀行の未利用口座管理手数料にもあり、「お利息の元本への組入れ」は利用に数えないと書かれています。

Q. 定期預金も10年で休眠預金になりますか?

A. なりえますが、10年の起点が違います。金融庁のQ&A(Q8)は「定期預金や金銭信託など、一定の預入期間や計算期間がある場合には、その期間の末日(自動継続扱いのものは最初の期間の末日)から10年の間、お取引などの異動がない場合、休眠預金等となります」としています。満期日が起点になる、ということです。

Q. 外貨預金や財形貯蓄も対象ですか?

A. 対象外です。休眠預金等になりうる「預金等」は、預金保険・貯金保険の対象となる預貯金などに限られます。外貨預貯金、譲渡性預貯金、財形貯蓄、仕組預貯金、マル優口座、金融債(保護預りなし)は対象外です。ただし対象外であることと、その口座を放置してよいことは別の話です。

Q. 郵便局の古い定額郵便貯金も、休眠預金になりますか?

A. この制度の対象ではありません。2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局に預けられた定期性の郵便貯金(定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金)は、休眠預金等になりうる「預金等」に該当しません。金融庁は、これらの取り扱いについて独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構のウェブサイトを見るよう案内しています。休眠預金の話とは別の制度なので、混ぜずに確認してください。

Q. 亡くなった親の口座に残っていたお金は、引き出せますか?

A. 引き出せます。金融庁のQ&A(Q18)は「預金者等であった方がお亡くなりになった場合には、金融機関所定のお手続きを経て、その相続人が引き出すことができます。」としています。休眠預金等になっていても同じです。必要な書類は金融機関ごとに異なるので、先に電話で確認してから行くほうが確実です。

Q. 通帳もキャッシュカードも見つかりません。あきらめるしかないですか?

A. あきらめなくて大丈夫です。金融庁のQ&A(Q19)は「通帳などを紛失している場合であっても、本人確認書類(身分証明書)などをお持ち頂ければ、引き出すことができます。」としています。ただし手続きに時間がかかること、ATMではなく窓口での手続きになることが想定される、とも書かれています(Q22)。

Q. 未利用口座管理手数料で解約されてしまった口座のお金は、あとから戻りますか?

A. 戻りません。三菱UFJ銀行は「ご負担いただいた未利用口座管理手数料のご返却、および解約後の口座の再利用には応じかねます」と明記しています。ここが休眠預金との大きな違いです。休眠預金として移管されたお金には期限のない請求権が残りますが、手数料として引き落とされたお金には残りません。ただし、残高を超える負担が生じることはありません(三菱UFJ銀行は「お客さまの口座残高を超えたご負担はございません。」、りそな銀行は「お客さまの口座以上のご負担はございません。」と記載しています)。

Q. 使わない口座は、解約したほうがいいのでしょうか?

A. 「解約すべき」と決めつけることはできません。用途が復活する口座もあります。ただ、口座の数だけ、住所変更・パスワード管理・不正利用への備えが増えるのは事実です。判断の材料になるのは「その口座に役割があるか」で、役割がないなら閉じる、あるなら残して1円でも動かして住所を最新にする。この2択にしてしまうほうが、迷う時間は減ると思います。なお、円の普通預金は値動きで元本割れすることはありませんが(金融機関が破綻した場合に預金保険で保護されるのは元本1,000万円までとその利息等です)、インフレが続く局面では、置いたままのお金で買えるものは少しずつ減っていきます。「使わないお金をどこに置くか」は、口座の数とは別に考える価値があります。生活防衛資金のように役割がはっきりしているお金は、置き場所を決めておくと管理も楽になります。

Q. この記事の内容は、いつまで有効ですか?

A. 本記事は2026年9月6日に確認した資料と条文に基づいています。内閣府の資料は同じURLで版が更新されます。今回参照したのは2026年7月版です。金額の表は次の版で更新される可能性があります。各金融機関の未利用口座管理手数料は、条件も金額も各行が随時変更します。最新の内容は、金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」のページと、取引のある金融機関のページで確認してください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融機関・金融商品の推奨や、投資判断の助言を行うものではありません。記事中の内容は2026年9月6日に確認した公表資料および条文(金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」、同「休眠預金等活用法Q&A(預貯金者の方などへ)」2019年2月更新、内閣府「休眠預金等活用制度について」2026年7月、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成28年法律第101号)および同施行規則(平成29年内閣府・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第2号)=いずれもe-Gov法令検索、三菱UFJ銀行「未利用口座管理手数料」、りそな銀行「普通預金口座の未利用口座管理手数料について」)に基づいています。制度の運用、各金融機関の異動事由の認可状況、未利用口座管理手数料の条件・金額は変更されることがあります。ご自身の口座の取り扱いについては、必ずお取引のある金融機関にご確認ください。
詳細は 免責事項 をご確認ください。

2026年9月6日に資料を確認し、2026年10月2日に公開しました

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