証券会社に預けた資産が1,000万円を超えたら、超えた分は守られないのでしょうか。
適切に分別管理されていれば、1,000万円を超えていても返還の対象になります。よく見かける「上限1,000万円」は、それでも返せなかった場合に日本投資者保護基金が行う補償の話です。
この記事では、国内の会員証券会社で、本人名義のNISA口座などに株式や投資信託を持つ個人を主に想定します。値下がりで出た損失を埋める制度ではありません。
出典:日本投資者保護基金「投資者保護基金制度とは」(2026年9月16日確認)
💭 こんな疑問はありませんか?
- 積立投資が育ったら、証券会社も分けたほうがよい?
- 証券会社の倒産と、買った株の値下がりは同じ扱い?
- 「分別管理しています」の先に、何を見ればよい?
金額の上限を覚える前に、その上限が使われる場面を確かめます。
- 分別管理による返還と、基金による補償の違い
- 保管している会社の破綻と、投資先の値下がりの違い
- 公式サイトで確認する場所と、もしものときの案内
まだ口座を選んでるところなんすけど、会社がつぶれたら積み立てたお金もなくなるんすか?
証券会社のお金と、お客さんのお金は分けて管理する決まりなんだ。まずはそこから見よう。
でも、守られるのは1,000万円までって見たっす。増えたら困るんすか?
その数字は基金の補償上限だよ。分けて保管していた資産を返すときの上限とは違うんだ。
同じ「守る」でも、別の話なんすね。数字だけ覚えてたっす。
うん。何を返す仕組みで、どんなときに補償するのか、順番に確かめていこうか。
✏️ 僕が2018年に失ったお金とは、別の話です

僕は2018年、投機的な取引で130万円の損失を確定させました。証券会社が倒産して、預けた資産を返せなくなった話ではありません。
だから、今回の保護制度を読んでも、あの損失が埋まる話にはつながりません。お金が減る場面をひとまとめにせず、取引で損をすることと、預けたものが返らないことを分けて考える。ここを記事の出発点にしたいと思います。
証券会社の財産と、顧客の資産を分けておく
分別管理は、証券会社が持つ財産と、顧客から預かった金銭・有価証券を区分する管理方法です。「会社が使うお金」と「顧客に返すもの」を混ぜないための仕組みです。
金融庁も、金融商品取引業者が破綻した場合でも、分別管理された顧客資産は返還されると説明しています。資産が多いから、一定額を超えると会社のものになる、という仕組みではありません。
出典:日本証券業協会「分別管理」(2026年9月16日確認)
出典:金融庁「投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」(2026年9月16日確認)
投資信託と、買付前の預り金では管理の方法が違います
具体例として楽天証券の説明を見ると、投資信託の持分は、一部を除き証券保管振替機構に預託し、顧客ごとの持分を帳簿で判別できるように管理しています。一方、返還すべき金銭に相当する額は、信託銀行などへ信託する仕組みです。
同じ口座画面に並んでいても、「証券の持分」と「まだ買付に使っていないお金」は同じ保管方法ではありません。口座の画面だけでなく、証券会社の分別管理の説明ページで中身を確認できます。
出典:楽天証券「分別管理」※仕組みの実例であり、同社の利用を推奨するものではありません(2026年9月16日確認)
「1,000万円まで」が出てくるのは、返還できない場合です
まず分別管理によって資産を返す。それでも、会員証券会社が破綻し、分別管理の不備などで対象となる顧客資産を返せない場合に、基金の補償が出てきます。
※図が画面に収まらない場合は、横にスクロールできます。
日本投資者保護基金のQ&Aでは、補償は1人につき、破綻した証券会社ごとに合計1,000万円が上限とされています。返還されない金銭と有価証券の価値を合算し、有価証券についても金銭で補償します。証券会社に対する債務があれば、計算の際に差し引かれます。
「購入額がそのまま戻る」という意味ではありません。基金による有価証券の補償は時価を基準にします。上場銘柄は、基金が補償を公告した日の最終価格で計算します。買ったときの値段との差額を埋める制度ではありません。
出典:日本投資者保護基金「Q&A」Q2・Q7・Q8(2026年9月16日確認)
1,000万円を超えたら、その分は最初から返さないってことじゃないんすね。
そう。適切に分別管理されている資産の返還と、基金の補償上限を混ぜないことが大事だね。
じゃあ値下がりしても、基金にお願いしたら戻るんすか?
値下がり損は対象外だよ。保管を守ることと、投資の成績を保証することは別なんだ。
証券会社の破綻と、投資先の値下がりは分けて考える
投資信託や株式は、預け先の管理が適切でも価格が動きます。元本割れの可能性は残ります。
| 起きたこと | この記事の制度との関係 |
|---|---|
| 証券会社が破綻した | 適切に分別管理された顧客資産を返還。返せない対象資産は基金補償の検討へ |
| 買った株や投資信託が値下がりした | 値下がり損は基金補償の対象外 |
| 買った株や社債の発行会社が破綻した | 発行体の破綻による損失は基金補償の対象外 |
たとえば「証券会社に預けている株」と「その証券会社自身が発行した株を買うこと」も別です。どこの会社に預けたかと、どの会社に投資したかを分けると、ニュースを読んだときの混乱が減ります。
出典:日本投資者保護基金「投資者保護基金制度とは」(2026年9月16日確認)
NISAは税の制度。値下がり損を保証する箱ではありません
NISAは商品名ではなく、投資の利益について税の優遇を受ける制度です。口座の中で持つのは株式や投資信託です。今回の分別管理は、そうした顧客資産の管理の話です。
NISAを使うかどうかで、価格変動そのものがなくなるわけではありません。「長期投資として続けるつもりだから」という計画と、「途中で値下がりすることがある」という性質は、両方持っておきたいと思います。
出典:SMBC日興証券「NISA(2024年以降)」(2026年9月16日確認)
口座を増やす前に、公式サイトで確認する場所
「1,000万円」という数字だけで、すぐに資産を移す結論に進む必要はありません。僕なら、次の順で自分の契約先と、保有している商品を確かめます。
1.契約している証券会社の正式名称
日本投資者保護基金の会員一覧を開き、取引報告書などに書かれた正式名称と照合します。アプリの名前や金融グループの名前だけで判断しないようにします。
ただし、会員に載っていることは、その会社の全商品が補償対象という意味ではありません。FXなど対象外の取引もあります。今回扱う本人名義の株式・投資信託と、別の取引を混ぜずに確認してください。
2.分別管理の説明と、外部の確認結果
証券会社の公式サイトで、分別管理のページを探します。「説明を読めた」で終わらず、監査・保証業務の結果を公表している場所まで開くと、何について、いつ確認した資料かが分かります。
たとえばSMBC日興証券のページには、2026年3月31日現在の顧客資産について、監査法人による保証業務を受けた旨が掲載されています。これは実物を探すための例です。過去の特定時点の確認結果は、将来の経営や運用成績を保証するものではありません。
出典:SMBC日興証券「分別管理」※同社の利用を推奨するものではありません(2026年9月16日確認)
3.「破綻」と「乗っ取り」の備えを別々に見る
ログイン情報を盗まれる問題への対応は、今回の破綻時の保護とは別に確認したいことです。証券口座のパスキーと、不正アクセス時の補償を確認した記事で整理しています。
また、保護制度の説明から「必要な日にすぐ現金で受け取れる」とまでは言えません。生活費をどう置くかは、生活防衛資金の目安と作り方と合わせて、家計の都合から考えておきたいところです。
実際に破綻の案内が出たら、手続きの告知を確かめる
基金の補償は、個人が好きな時期に申請すれば自動で受けられるものではありません。基金の認定・公告が行われた場合に、公告された届出期間内に支払請求書を提出する手続きがあります。
補償上限を超えて返還されない分も、直ちに権利が消えるわけではありません。破産手続などで請求できる場合があります。ただし、実際に戻る額は破綻した会社の財産状況などによって異なります。
出典:日本投資者保護基金「Q&A」Q9・Q17(2026年9月16日確認)
✏️ 資料を読んで、僕が分けておきたいと思ったこと

僕は、月10万円程度の積立投資を続けています。その習慣と、預け先の仕組みを理解することは、どちらか一方で済む話ではありません。
今回の記事で持ち帰りたいのは、「心配しなくていい」という大きな言葉ではなく、心配していることに名前を付ける作業です。値下がりなのか、預け先の破綻なのか、ログインの問題なのか。名前が分かると、開くべき公式ページも変わります。
最初は、どの会社なら絶対大丈夫か知りたかったっす。
絶対と言える会社を探すより、何をどう管理しているかを確かめるほうが、今回の疑問には合っていると思うよ。
自分はまず、口座を作ろうと思ってる会社の分別管理のページを見てみるっす。
いいね。会員かどうかと、買おうとしている商品が対象かどうかも、別々に見よう。
一度に全部覚えなくても、見る場所は分かったっす。
まずは一社、説明と確認結果を開いてみよう。数字に急かされず、仕組みを確かめていこうね。
まとめ|返す仕組みを先に、補償の上限をあとに
覚えておきたいこと
- 適切に分別管理された顧客資産は、1,000万円を超えても返還の対象
- 基金の上限1,000万円は、返還できない対象資産への補償の話
- 値下がり損を埋める制度ではなく、補償対象や手続きにも条件がある
今日できること
契約先の正式名称と商品を確かめ、公式サイトの分別管理ページを開く。確認したい疑問が残れば、その金融機関へ問い合わせてみてください。
保管の仕組みを確かめたら、日々の口座管理も
よくある質問
Q.NISAなら、証券会社が破綻しても損をしませんか?
NISAは利益への税の優遇制度で、損失の保証制度ではありません。適切に分別管理された顧客資産は返還の対象ですが、保有商品の値下がり損は別です。
Q.銀行で買った投資信託も、基金の対象ですか?
銀行など証券会社以外で購入した投資信託は、日本投資者保護基金の補償対象外です。ただし、その場合も分別管理の義務はあります。「基金の対象外=資産を分けていない」ではありません。
Q.会員の証券会社なら、FXも補償されますか?
FXは日本投資者保護基金の補償対象外です。会社が会員かどうかと、取引が対象かどうかは別々に確認してください。
Q.一社の資産が1,000万円を超えたら、すぐ分けるべきですか?
その数字だけでは判断できません。分別管理による返還には、基金補償の上限をそのまま当てはめません。預け先を分けるかは、商品・管理の手間・利用したい機能なども含めて検討する話です。
出典:日本投資者保護基金「Q&A」Q4・Q5・Q11(2026年9月16日確認)
この記事は制度を理解するための一般的な情報提供を目的とし、特定の金融機関・商品の利用や売買を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があり、過去の実績は将来の成果を保証しません。投資判断は自己責任で行ってください。
保護・補償の対象や手続きは契約内容と個別事情によります。最新の公式情報をご確認のうえ、個別の判断は取引先金融機関・日本投資者保護基金などへ、税務は税務署・税理士へご相談ください。
情報確認・最終更新:2026年9月16日














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