会社を辞めることを考えたとき、いちばん気になるのは「収入が止まっている間、どうやって暮らすか」だと思います。失業手当があることは知っていても、いつ・いくら・何日分入ってくるのかまで数えたことがある人は、そう多くありません。
調べてみると、最初の入金までにはいくつかの段があって、しかもその1つめ(7日の待期)が始まるのは、会社を辞めた日ではなく、ハローワークで手続きをした日からでした。
この記事は、辞めることをすすめる記事でも、急がせる記事でもありません。空白の長さを先に知っておくと、手元にいくら現金を置いておけばいいかが決まる。そのための記事です。
- 失業手当があることは知っているが、いつ振り込まれるのかは知らない
- 「自己都合だと2か月待ち」と読んだが、1か月と書いてあるページもあって混乱している
- 「給料の6割くらい」と聞いたが、自分の場合いくらになるのか計算したことがない
- 生活防衛資金は「生活費の3〜6か月分」と言われても、なぜその長さなのか腑に落ちていない
→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「収入が止まってから、最初の入金までの空白」を数えるお手伝いをします。
- 7日の待期が始まるのは、辞めた日ではなくハローワークで求職の申込みをした日からだということ
- 自己都合の給付制限が、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月に変わったこと(それ以前は原則2か月)
- 法律には「1か月」とも「2か月」とも書かれていない、という数字が割れる理由
- 失業手当は「給料の6割」ではなくおよそ50〜80%で、賃金の低い人ほど率が高いこと
- 自己都合なら勤続10年未満で90日分だということ(会社都合との差は年齢と勤続年数で決まり、45歳以上60歳未満で20年以上なら150日と330日の開きになります)
- この空白の長さが、手元に置いておく現金の目安とそのままつながること
ふくおさん、会社を辞めても失業手当が出るから、そんなに困らないっすよね。翌月から入ってくるんすか?
そこがね、思っているより先なんだ。まず7日の「待期」があって、自分の都合で辞めた場合はそのあとに「給付制限」が原則1か月つく。そこから認定日を待って、振込までさらに5営業日。順番に足すと、けっこうな長さになるんだよ。
えっ、待期の7日って、辞めた日から数え始めるんじゃないんすか?
そこがいちばん大事なところでね。雇用保険法の条文は「離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において」と書いているんだ。つまり、ハローワークに行くのが遅れたら、その分だけ7日のスタートも後ろにずれる。辞めてから2週間家にいたら、まるまる2週間うしろ倒しなんだよ。
それ、知らないと普通に損しそうっす……。あと自己都合は2か月待ちって聞いたんすけど、1か月っていうサイトもあって、どっちが本当なんすか?
どちらも「昔は本当だった」が答えなんだ。2025年4月1日以降に辞めた人は原則1か月、それ以前は原則2か月。しかも法律の条文には「1か月」も「2か月」も書かれていない。その理由まで含めて、順番に見ていこうね。

給与明細の控除欄に「雇用保険」という行があります。僕はこの行を、十年以上のあいだ一度も真面目に見たことがありませんでした。健康保険や厚生年金にくらべて金額が小さいので、目が滑ってしまうのです。
以前、給与明細の中身を1行ずつ調べたことがあって、そのとき雇用保険料が標準報酬月額ではなく賃金の総額にかかっていることを知りました。令和8年度・一般の事業の労働者負担は5/1,000なので、賃金が月30万円なら本人負担は月1,500円です。ただ、その時点でも僕にとっては「引かれている数字」でしかありませんでした。
今回、この記事のために条文と厚生労働省の資料を並べてみて、ようやく像を結びました。あの月1,500円は、仕事が止まった月に、いつ・いくら振り込まれるかという約束だったのです。金額の小ささと、意味の大きさが、まったく釣り合っていませんでした。
失業手当は、辞めた翌日から入るお金ではありません
最初に、全体の形を見ておきます。失業手当(正式には基本手当といいます)が振り込まれるまでには、決まった順番の段があります。
下の図は、ハローワークで手続きをして受給資格が決まった日を「0日」として、最初の入金までを数えたものです。会社の都合で辞めた場合と、自分の都合で辞めた場合を並べています。
この図から分かること
- 会社の都合で辞めた場合は給付制限がないので、待期7日のあと、最初の認定日を経て振込までおよそ35日
- 自分の都合で辞めた場合は、そこに給付制限が原則1か月加わるので、およそ63日
- そしてこの「0日」は、会社を辞めた日ではありません。ハローワークで求職の申込みをして、受給資格が決まった日です
⚠️ 図に描かれていない、もうひとつの空白があります
会社を辞めてから、ハローワークに行くまでの日数です。手続きには会社から届く離職票が必要で、これは辞めた当日に手渡されるものではありません。厚生労働省のリーフレットに載っている図でも、離職日が8月31日、受給資格決定日が9月15日として描かれています。ここは制度が決めているのではなく、会社の事務と自分の動き方で決まる部分です。上の図の「0日」より手前に、この分がさらに乗ると考えてください。
7日の待期が始まるのは、ハローワークに行った日からです
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
なお実務では、この「求職の申込みをした日」は、離職票を提出して受給資格が決まった日と同じ日になります。ハローワークインターネットサービスの手続きの説明も「住居を管轄するハローワークに行き、「求職の申込み」を行ったのち、「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」を提出します。」と、ひと続きの手続きとして書いています。
雇用保険法第21条は、待期についてこう定めています。
雇用保険法 第21条(待期)
「基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。」
読みにくい文ですが、大事なのは「最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において」の部分です。7日の数え始めは、離職日ではなく、ハローワークに行って求職の申込みをした日以後になります。
つまり、辞めてから2週間ハローワークに行かなければ、その2週間は待期にも給付制限にも数えられません。ただ空白が2週間伸びるだけです。
条文は「7日間」ではなく「通算して七日」と書いています
条文は「7日間」という書き方をしていません。「失業している日(中略)が通算して七日に満たない間は、支給しない」です。連続した7日ではなく、失業している状態の日を足していって7日に届くまで、という数え方です。たとえば待期の途中で数日だけ働いた場合、その日は数に入りません。
⚠️ 「離職票が届くまで家で待つ」と、その日数はまるごと空白に乗ります
ただし、離職票なしで窓口に行けば7日が始まる、という意味ではありません。7日の待期が動き出すのは、離職票を提出して受給資格が決まった日からです。厚生労働省のリーフレットも「基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間」と書いています。
つまり空白を短くする方法は、相談を早めることではなく、離職票を早く受け取って、早く窓口に行くことになります。在職中に会社の担当者へ交付の見込みを聞いておくと、この日数を自分で読めるようになります。なおハローワークインターネットサービスは「会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合等については、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。」と案内しています。届かないときに家で待ち続ける必要はありません。
自己都合の「給付制限」は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です
自分の都合で辞めた場合は、待期7日が終わったあとにもう一段あります。給付制限です。この期間は、失業の状態であっても基本手当が支給されません。
厚生労働省のリーフレットは、給付制限の長さについて注釈でこう書いています。
厚生労働省リーフレット(注1)
「給付制限は、退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です。ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合、給付制限は3か月です。」
整理すると、こうなります。
| 状況 | 給付制限 |
|---|---|
| 会社の都合で離職(倒産・解雇など。重責解雇を除く) | なし(待期7日のみ) |
| 自己都合・退職日が2025年4月1日以降 | 原則1か月 |
| 自己都合・退職日が2025年3月31日以前 | 原則2か月 |
| 退職日から5年で2回以上、正当な理由のない自己都合退職をして受給資格決定を受けた | 3か月 |
| 重責解雇(自分の重大な責任による解雇) | 3か月 |
| 自己都合でも「正当な理由」があると判断された離職(特定理由離職者) | なし(待期7日のみ) |
※出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」のリーフレット(注1)。離職理由の判断はハローワークが行います。
自分から辞めても、給付制限が付かない場合があります
表のいちばん下の行が見落とされやすいところです。条文が給付制限の対象にしているのは「正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」です。自分から辞めていても、正当な理由があると判断されれば給付制限は付きません。
ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」は、「正当な理由のある自己都合により離職した者」として次のような場合を挙げています。
「正当な理由のある自己都合」に挙げられている場面(抜粋)
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した場合
- 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
- 父母の死亡・疾病・負傷等のため扶養が必要になるなど、家庭の事情が急変した場合
- 配偶者や扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難になった場合
- 結婚に伴う転居、保育所の利用、事業所の移転、配偶者の転勤に伴う別居の回避などで、通勤が不可能または困難になった場合
- 希望退職者の募集に応じて離職した場合など
※同ページの補足に「給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。」とあります。当てはまるかどうかを決めるのはハローワークです。
介護や病気で辞めた方が、この記事の「自己都合=63日」をそのまま自分の数字だと思い込む必要はありません。該当しそうなら、受給資格を決めてもらう場で必ず事情を伝えてください。
法律には「1か月」とも「2か月」とも書かれていません
ここが、ネット上で数字が割れる理由です。給付制限を定めているのは雇用保険法第33条第1項ですが、条文はこう書いています。
雇用保険法 第33条第1項(前段)
「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。」
法律が決めているのは「1か月以上3か月以内」という幅と、その中で公共職業安定所長が定めるということだけです。「原則1か月」「原則2か月」という具体的な数字は、条文のどこにも出てきません。
だから、法律を改正しなくても運用で動きます。2025年4月の変更も、条文の「一箇月以上三箇月以内」はそのままで、その中でどこに定めるかが変わったものです。そして運用が変わったとき、古い数字を書いたページはそのまま残ります。これが、検索して出てくる数字がそろわない仕組みです。
この構造は、他の制度でも見かけます
- 法律は「◯以上△以内で、□が定める」と幅で委任する
- 実際の数字は、下位の規則や運用で決まる
- だから条文を読んでも、世間で語られている数字は出てこない
- そして運用が変わったとき、条文は変わらないので「法改正がなかった=変わっていない」と誤解されやすい
同じ公式サイトの中でも、書いてある日数が違います
実際に確かめてみると、ハローワークインターネットサービスの「雇用保険の具体的な手続き」のページには、2026年9月8日の時点で次の記述が残っていました。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
「また、自己都合などで退職された場合、離職理由によっては、待期期間満了後2か月間(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合3か月間)は基本手当が支給されません(離職理由による給付制限)」
※引用は同ページの当該一文の前半です(原文はこのあと求職活動の実績の話に続きます)。
一方で、同じ厚生労働省が出しているリーフレットには「原則1か月」と書かれています。この記事は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月が新しい取り扱いで、手続きの説明ページに古い記述が残っているものとみて計算しています(厚生労働省の特設ページとリーフレットの両方で「原則1か月」を確認しました)。ただ、ここでお伝えしたいのはどちらが正しいかよりも、公式の中でもページによって書いてある日数が違うことがあるという事実のほうです。
⚠️ 数字が割れているときの、いちばん確実な確かめ方
給付制限が何か月になるかは、離職理由をどう判断するかとセットで決まります。そして離職理由の判断は、ハローワークが行います。ネットの記事どうしを見比べるより、自分の離職票を持って窓口で聞くほうが早くて確実です。この記事の数字も、その場で確かめる材料として使ってください。
公式サイトの中でも書いてあることが違うって、けっこう衝撃っす……。じゃあ何を信じればいいんすか。
順番をつけるといいよ。いちばん強いのは、自分の離職票を見たハローワークの窓口の答え。次に、日付の新しい公式の資料。ネットの解説記事はいちばん最後。この記事も含めてね。
ちなみに給付制限って、どうやっても短くできないんすか?
それがね、解除される道が条文に書いてあるんだ。ただし申し出の期限があって、そこが実務の落とし穴になっている。次で見てみよう。
対象の教育訓練を受けていた人は、給付制限が解除されます
雇用保険法第33条第1項には、ただし書きがあります。公共職業訓練等を受ける人、教育訓練を離職日前1年以内に受けたことがある人、離職日以後に受ける人については、給付制限をしない、という内容です。
厚生労働省のリーフレットは、対象になる訓練を4つ挙げています。
対象になる教育訓練等(令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限る)
- 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
- 公共職業訓練等
- 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
- ①〜③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
※途中退校は該当しません。重責解雇の場合は対象外です。
ただし、申し出には期限があります
ここが、この制度でいちばん見落とされやすいところです。リーフレットは申し出の期限をこう説明しています。
厚生労働省リーフレット「3.教育訓練等を受けた(受けている)場合の申し出」
「受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。」
そして、期限を過ぎたらどうなるかについても、具体例つきで書かれています。給付制限中の「認定日の相当日」が5月14日、給付制限満了後の認定日が6月11日、訓練の受講開始が4月20日という例です。
同リーフレット(※2)
「5/14までに訓練受講の申し出をしなかった場合、6/11までに訓練受講の申し出をしたとしても、4/20〜5/14の基本手当を受給することはできません。」
つまり、解除の資格そのものは残っていても、申し出が遅れた分は取り戻せないということです。制度としては「解除される」と書いてあるのに、実務では日付が過ぎると戻らない。ここは制度上の条件と、実務上の締切が別々にある典型的な場所です。
⚠️ 「認定日の相当日」という、カレンダーに載っていない日
リーフレットは「本来、給付制限期間中の認定日はありませんが、給付制限期間中であっても、訓練の受講開始直後の週型と曜日が同一である」日を基準にすると説明しています。給付制限中は認定日が設定されていないのに、締切だけはその曜日で決まっているという仕組みです。自分では気づきにくいので、訓練を受けている(受ける予定がある)なら、受給資格決定のその場で伝えておくのが確実です。
いくら?「給料の6割」ではなく、およそ50〜80%です
金額のほうも見ていきます。よく「給料の6割くらい」と言われますが、ハローワークインターネットサービスの説明はこうです。
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
「この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50〜80%(60歳〜64歳については45〜80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。」
ここには、不安を畳む方向の事実が2つ入っています。ひとつは6割ではなく50〜80%の幅があること。もうひとつは賃金の低い人ほど率が高いことです。給料が少ないから手当も少ないだろう、という直感とは逆向きの設計になっています。
まず「賃金日額」を出します
計算の出発点は賃金日額です。雇用保険法第17条第1項は、こう定めています。
雇用保険法 第17条第1項(抜粋)
「賃金日額は、(中略)最後の六箇月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く。(中略))の総額を百八十で除して得た額とする。」
「三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除く、と書かれています。これがボーナスが入らない理由です。年に2回の賞与は、3か月を超える間隔で支払われる賃金にあたります。
月給30万円なら、6か月で180万円。これを180で割って、賃金日額は10,000円です。
賃金日額に、率をかけます
厚生労働省は、基本手当日額の計算式そのものを公開しています。30歳以上45歳未満の場合、令和8年8月1日からの式はこうです。
| 賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w |
| 5,480円以上13,490円以下 | y = 0.8w −0.3{(w−5480)/(13490−5480)}w |
| 13,490円超 16,540円以下 | y = 0.5w |
| 16,540円超 | y = 8,270(上限額) |
※30歳以上45歳未満の場合の式です。60歳以上65歳未満は式そのものが別になります。出典:厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」の「基本手当日額の計算式及び金額」。端数処理は1円未満を切り捨てます。
この式に月給を入れて計算したものが、次の表です。
| 月給 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 給付率 | 90日分 |
|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 6,000円 | 4,683円 | 78.0% | 421,470円 |
| 20万円 | 約6,667円 | 5,037円 | 75.6% | 453,330円 |
| 25万円 | 約8,333円 | 5,776円 | 69.3% | 519,840円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 63.1% | 567,630円 |
| 35万円 | 約11,667円 | 6,630円 | 56.8% | 596,700円 |
| 40万円 | 約13,333円 | 6,744円 | 50.6% | 606,960円 |
| 50万円 | 約16,667円→16,540円(上限額) | 8,270円(上限額) | 50.0% | 744,300円 |
※30歳以上45歳未満・令和8年8月1日からの計算式による当ブログの試算です。月給は「毎月きまって支払われた賃金」の想定額で、賞与は含めていません。実際の金額は、離職票に記載された賃金をもとにハローワークが決定します。
グラフにすると、形がよく分かります。月給が18万円から40万円へ2.2倍になっても、基本手当日額は4,683円から6,744円で1.4倍ほどにしかなりません。とくに月給35万円と40万円のあいだは、1日あたり114円しか変わりません。
そのあと50万円のところでまた上がっているのは、賃金日額が13,490円を超えると「y = 0.5w」の区間に入り、賃金日額が1円増えるごとに0.5円ずつ増えていくためです。ただしその増え方も止まります。賃金日額そのものに上限があるからです(雇用保険法第17条第4項第2号。30歳以上45歳未満なら16,540円)。月給50万円の方は6か月の賃金を180で割ると約16,667円になりますが、計算に使われるのは16,540円で、基本手当日額は上限の8,270円になります。
⚠️ この金額は、毎年8月1日に変わります
上限額・下限額は固定ではありません。雇用保険法第18条は、毎月勤労統計の平均給与額の増減に応じて「その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない」と定めています。令和8年8月1日からの下限額は、リーフレットによれば「年齢に関係なく、2,562円」です。この記事の数字は2026年9月8日時点のもので、2027年8月には別の数字になります。
法律に書いてある金額と、いま使う金額も違います
ここでも、給付制限と同じことが起きています。給付率を定めた雇用保険法第16条第1項には、こう書かれています。
雇用保険法 第16条第1項(抜粋)
「基本手当の日額は、賃金日額に百分の五十(二千四百六十円以上四千九百二十円未満の賃金日額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十、四千九百二十円以上一万二千九十円以下の賃金日額((中略))については百分の八十から百分の五十までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た金額とする。」
条文に出てくるのは2,460円・4,920円・12,090円です。でも実際に使うのは3,203円・5,480円・13,490円でした。数字がまったく合いません。
種明かしは、条文の中のかっこ書き「その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額」です。第16条の金額は出発点にすぎず、第18条によって毎年8月1日に更新されていきます。条文だけを読んでも、いまの金額にはたどり着けないという構造です。
この記事で2回出てきた、同じ形
- 給付制限=条文は「一箇月以上三箇月以内」という幅だけ。実際の日数は運用で決まる
- 給付率の区切り=条文は2,460円・4,920円・12,090円。実際に使うのは毎年更新された額
- だから「法律にはこう書いてある」だけでは、いまの答えにならない。条文と、最新の資料と、窓口の3つが要ります
何日分?自己都合なら、勤続10年未満で90日です
金額の次は日数です。基本手当が出る日数を所定給付日数といいます。雇用保険法第22条第1項は、一般の受給資格者について、算定基礎期間(おおまかにいえば雇用保険に入っていた期間)で3段階に分けています。
| 算定基礎期間(おおよその勤続年数) | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
※出典:雇用保険法第22条第1項。就職が困難な方は別の日数(同条第2項)になります。
会社の都合で離職した場合(特定受給資格者)は、これとは別の表になります。同じ勤続年数でも日数がかなり違うので、グラフで並べてみます。
45歳以上60歳未満で20年以上勤めた場合、自己都合なら150日、会社都合なら330日です。2倍以上の差があります。給付制限の有無とあわせて、離職理由がどう判断されるかは、受け取る総額を大きく左右します。
⚠️ 90日分は「3か月ぶんの給料」ではありません
月給30万円の人(30歳以上45歳未満・令和8年8月1日からの計算式)の90日分は567,630円です。3か月ぶんの給料なら90万円ですから、だいたい6割強にあたります。しかも入ってくるのは、受け取り始めてから3か月かけて、認定日ごとに分割してです。「90日分もらえる」を「3か月は同じ暮らしができる」と読み替えないことが大事だと思います。
※ここで比べているのは額面の給料です。基本手当には税金がかかりません。雇用保険法第12条(公課の禁止)が「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」と定めているためで、社会保険料も引かれません。手取りと比べれば、差はもう少し縮まります。ただし住民税と国民健康保険料は別に払うことになるので、生活費と並べて数えるときは、その支払いも同じ表に入れてください。
受け取れる期間そのものにも、期限があります
雇用保険法第20条第1項は、基本手当を受け取れる期間(受給期間)を、同項第一号で原則として「当該基本手当の受給資格に係る離職の日(中略)の翌日から起算して一年」としています。所定給付日数が残っていても、この1年を過ぎた分は受け取れません。
自己都合で給付制限がつくと、この1年のうち最初の1か月あまりを使ってしまうことになります。手続きを先延ばしにするほど、使える期間が短くなるという意味でも、早めに窓口へ行くほうが有利です。
ただし、この「1年」には例外が3つあります。
受給期間の「1年」の例外
- 所定給付日数が330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日です(同条第1項第二号・第三号)。前の図で見た「45歳以上60歳未満・20年以上の330日」は、この扱いになります
- 病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けなくなったときは、その日数だけ延ばせます。第20条第1項のかっこ書きが「引き続き三十日以上職業に就くことができない者が(中略)申し出た場合には、当該理由により職業に就くことができない日数を加算するものとし、その加算された期間が四年を超えるときは、四年とする。」と定めています
- 定年などで辞めて、しばらく求職の申込みをしないことを希望する場合も、1年を限度に延ばせます(同条第2項)
2つめの延長について、ハローワークインターネットサービスはこう案内しています。
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
「その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。」
「この措置を受けようとする場合には、上記の理由により引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期に申請していただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、申請は可能です。」
つまり「働けないから、もらえないまま1年で終わる」ではありません。働けない期間があるなら、まず受給期間の延長を申し出る。それが順番です。
離職票の「離職理由」に納得できないときは、相談できます
ここまで見てきたとおり、会社都合か自己都合かで変わるのは2つあります。給付制限がつくかどうかと、所定給付日数です。45歳以上60歳未満で20年以上勤めた場合なら、150日と330日の差になります。
この離職理由は、会社が離職票に書いたもので最終決定になるわけではありません。ハローワークインターネットサービスは、こう案内しています。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
「なお、離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。ハローワークにおいて、事実関係を調査のうえ、離職理由を判定します。」
「実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など」という例まで、公式に書かれています。離職理由を判定するのは会社ではなくハローワークです。
⚠️ ただし、これは「言えば通る」話ではありません
ハローワークが行うのは事実関係の調査です。希望を伝えれば変わるものではなく、やりとりの記録や状況を確認したうえで判定されます。ここでお伝えしたいのは、離職票に書かれた理由に納得できないまま黙って受け取る必要はないということです。差が大きい項目なので、心当たりがあるなら受給資格を決めてもらう場で伝えておくのが確実です。
手当は、待っていれば入ってくるお金ではありません
もうひとつ、空白の期間について知っておきたいことがあります。この期間は「家で待つ期間」ではありません。
ハローワークインターネットサービスは、「失業」をこう定義しています。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
「「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。」
そして手続きの流れは、受給資格の決定、受給説明会、第一回目の失業認定日、と続きます。認定日にすることについては、次のように案内されています。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
原則として、4週間に1度、失業の認定(失業状態にあることの確認)を行います。
指定された日に管轄のハローワークに行き、「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し、「雇用保険受給資格者証」とともに提出してください。
雇用保険法第15条第5項も、失業の認定は厚生労働省令で定めるところにより「受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行つたことを確認して行うものとする。」と定めています。
つまり、空白の期間にやることがあります
- 指定された日時の受給説明会に出る
- 4週間に1度、指定された認定日にハローワークへ行く
- その間に求職活動を行い、認定日に申告する
※回数の目安は、ハローワークインターネットサービスによれば、失業の認定を受けようとする期間(認定対象期間)中に「原則として2回以上(基本手当の支給に係る最初の認定日における認定対象期間中は1回)の求職活動(中略)の実績が必要となります」。給付制限がある場合は「この期間とその直後の認定対象期間をあわせた期間については、原則として2回以上(給付制限期間が3か月の場合は、原則として3回以上)」とされています。何が実績として認められるかは、ハローワークの案内でご確認ください。
⚠️ 「しばらく休みたい」は、受けられない状態に当たります
ハローワークインターネットサービスは、基本手当を受けられない例として「病気やけがのために、すぐには就職できないとき」「妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき」「定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき」などを挙げています。辞めたあとに休む予定があるなら、その期間は基本手当の対象になりません。この点でも「辞めたら自動的に入ってくる」ではないと考えておくほうが安全です。
ただしこれは「もらえなくなる」ではなく「いまは受け取れない」です。ここに挙がっている3つは、いずれも受給期間の延長を申し出られる場面でもあります(雇用保険法第20条第1項・第2項)。あとの「受け取れる期間そのものにも、期限があります」で詳しく見ます。働けないうちに、延長を申し出ておくのがこの制度の使い方です。

2018年、僕は投機的な取引で130万円を失いました。含み損ではなく、確定した損失です。そのあとの数か月、僕はノートに立て直しの計画を書いていました。毎月いくら戻せるか、何か月で埋まるか。給料日を起点にして、ひたすら足し算をしていたのを覚えています。
その計画には、「収入が止まる」という行が一度も出てきませんでした。毎月決まった日に入金があることを、計算の前提ではなく、風景のように扱っていたのだと思います。
今回、待期7日・給付制限1か月・認定日・振込5営業日と段を並べてみて、あのころの計画がどれだけ細い前提の上に乗っていたかが分かりました。あの計画がこわれるのに必要だったのは、暴落ではなく、給料日が1回来ないことだったのです。
入ってこない間も、出ていくものはあります
空白の期間に起きるのは、収入が止まることだけではありません。会社員でなくなると、これまで給与から天引きされていたものの一部が、自分で払う形に変わります。
退職後に、自分で手続き・支払いをすることになるもの
- 健康保険=任意継続、国民健康保険、家族の扶養に入る、のいずれかを選びます。任意継続は、退職前の健康保険を自分で続ける仕組みで、資格を喪失した日から20日以内に申し出る必要があり(健康保険法第37条第1項)、続けられるのは原則2年です(同法第38条第1号)
- 年金=厚生年金から国民年金へ切り替える手続きが必要です
- 住民税=前の年の所得に対してかかるので、収入が止まっても請求は続きます
とくに住民税は要注意です。いまの収入ではなく前年の所得をもとに計算されるため、いちばん収入が少ない時期に、いちばん稼いでいた年の税額が届くことがあります。給与天引き(特別徴収)が止まると、自分で納める形に切り替わります。
⚠️ 金額はここでは書けません(そして書いてある記事は疑ってください)
健康保険料も住民税も、住んでいる市区町村・年度・前年の所得で変わります。ひとつの金額を挙げて「退職後はこれくらい」と言い切ることはできません。届く通知書か、市区町村の窓口で確認してください。ここでお伝えしたいのは金額ではなく、「入ってこない期間にも、まとまった支払いが来る」という事実のほうです。
毎月の給与明細で、何がどれだけ引かれているかを一度見ておくと、この切り替えのイメージがつかみやすくなります。
だから「生活費の3〜6か月分」なのだと思います
ここまでを、ひとつにまとめます。
自分の都合で辞めた場合、ハローワークで手続きをした日から最初の入金まで、およそ63日でした。そこに、離職票が届いてハローワークに行くまでの日数が加わります。厚生労働省のリーフレットの例では、そこが15日でした。合わせるとおよそ2か月半です。
そして入り始めても、入ってくるのは賃金日額の50〜80%です。月給30万円なら額面の6割強、月給40万円なら5割ほどで、給料が高い人ほど差は大きくなります。固定費はその日から半分になったりしません。住民税の請求も続きます。
空白を数えると、必要な現金が決まります
- ハローワークに行くまで=2週間ほど(厚生労働省リーフレットの説明図の例では15日。実際は会社の事務と自分の動き方しだいです)
- 待期7日+給付制限1か月+認定日待ち+振込5営業日=2か月ほど
- 入り始めてからも、埋まらない差額が毎月残る(額面の月給30万円なら約4割、40万円なら約5割)
- だから目安が「3〜6か月分」という幅になります。3か月分は会社員(独身・共働き)の下限で、家族がいて片働きの方や、そもそも失業手当の対象にならない自営業・フリーランスの方は6か月〜1年分です
ふくおブログでは以前から、生活防衛資金の目安をこう書いてきました。会社員(独身・共働き)は生活費の3〜6か月分、会社員(家族あり・片働き)と自営業・フリーランスは6か月〜1年分。会社員のほうが薄めでよい理由も、そこに「失業時も雇用保険(失業給付)や傷病手当金など公的なセーフティネットが比較的厚い」と書いてあります。
その「雇用保険があるから」の中身が、この空白でした。数えてみると、下限の3か月分は「手続きが順調に進んで、そのあと早めに次が決まった場合」の線です。上に幅があるのには理由があったのだと思います。
そしてこの現金は、NISAの中ではなく、普通預金に置いておくお金です。投資信託には元本割れの可能性があり、必要になった月にちょうど値下がりしている、ということが起こり得ます。長期投資を続けるための土台として、動かさない現金を分けておく。順番はそちらが先です。
数えてみると、思ったより長いっすね。自分、辞める予定はないんすけど、なんかそわそわしてきたっす。
そのそわそわは、悪いものじゃないと思うよ。知らないままでいると、いざというときに「思っていたのと違う」でびっくりする。先に長さを知っておけば、いま用意しておく金額に置き換えられるからね。
じゃあ、いま自分がやっとくといいことって何すか?
3つあるかな。ひとつめは給与明細の「雇用保険」の行を見ること。ふたつめは1か月の生活費を数えて、まずその3倍を普通預金に置くこと。家族がいて片働きの人や自営の人は、6か月〜1年分が目安だよ。3つめは固定費を1回見直すこと。固定費を下げると、必要な生活防衛資金そのものが小さくなるんだ。
3番目、地味だけど効きそうっす。積立をやめなくていいのもうれしいっすね。
そう、そこが大事でね。生活防衛資金が先に積んであると、収入が止まっても積立を売らずに済む。ドルコスト平均法がいちばん効かなくなるのは、下がったときに売ってしまう場面だからね。もちろん売らずに持ち続けても元本割れのまま終わることはあるから、投資に回すのは生活防衛資金を分けたあとの余ったお金で、というのが順番だよ。
まとめ:空白の長さを知ることが、金額を決めます
失業手当は「辞めたら翌月から給料の6割が入るお金」ではありませんでした。段があり、条件があり、日数の上限があります。ただ、そのどれもがあらかじめ数えられるものでもありました。
| 知りたいこと | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 待期はいつから7日? | ハローワークで求職の申込みをした日以後 | 雇用保険法第21条 |
| 自己都合の給付制限は? | 退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月 | 厚労省リーフレット(注1) |
| 法律には何と書いてある? | 「一箇月以上三箇月以内」の幅だけ | 雇用保険法第33条第1項 |
| 認定の間隔は? | 4週間に1回 | 雇用保険法第15条第3項 |
| 振込までは? | 認定を行った日から通常5営業日 | ハローワークインターネットサービス |
| いくら? | 賃金日額のおよそ50〜80%(60歳〜64歳は45〜80%。賃金が低いほど率は高い) | ハローワークインターネットサービス |
| 上限額は? | 30〜44歳で8,270円(令和8年8月1日〜・毎年変わります) | 厚労省リーフレット |
| 何日分? | 自己都合・勤続10年未満で90日 | 雇用保険法第22条第1項 |
| いつまでに受け取る? | 原則、離職日の翌日から1年以内(330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日。病気・出産・育児等で30日以上働けないときは延長の申し出ができます) | 雇用保険法第20条第1項 |
この記事の結論
- 自己都合で辞めた場合、ハローワークで手続きをしてから最初の入金までおよそ2か月。離職票を待つ期間を足すと2か月半ほどになります
- 7日の待期が始まるのはハローワークに行った日から。手続きが遅れた分は、そのまま空白が伸びるだけです
- 金額は「給料の6割」ではなくおよそ50〜80%。日数は自己都合・勤続10年未満で90日です
- この空白の長さが、手元に置いておく現金の目安になります
今日できる3つのこと
- 給与明細の控除欄で「雇用保険」の金額を見てみてください。毎月払っている保険料です
- 1か月の生活費(固定費+変動費)を数えて、まずその3倍(会社員・独身/共働きの目安の下限。家族あり・片働きや自営業なら6か月〜1年分)を普通預金に置けているか確かめてみてください
- 足りないと感じたら、積立を止めるより先に固定費を1つ見直すほうが、痛みが少なく効きます
この記事がすすめないこと
- 失業手当を当てにして退職を決めること。受給できるかどうか、離職理由をどう判断するかはハローワークが決めます
- 不安を理由に、インデックスファンドの積立を慌てて全部やめること。まず現金の置き場所を整えるほうが先です
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※この記事は情報提供を目的としたもので、退職をすすめるものでも、受給の可否を判断するものでもありません。金額・日数は変更されることがあり、離職理由の判断と支給の決定はハローワークが行います。実際の手続きは、必ずお住まいの地域のハローワークでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 待期の7日は、会社を辞めた日から数えるのですか?
A. 違います。雇用保険法第21条は「離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(中略)が通算して七日に満たない間は、支給しない」と定めています。数え始めは、ハローワークで求職の申込みをした日以後です。辞めてから窓口に行くまでの日数は、待期にも給付制限にも数えられません。
Q. 会社を辞めれば、誰でも失業手当をもらえるのですか?
A. いいえ、2つの条件があります。ハローワークインターネットサービスは、まず「ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。」を挙げています。そのうえで「離職の日以前2年間に、被保険者期間(中略)が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。」としています。なお同ページは、「定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき」は受けられない例として挙げています。
Q. 病気やけがで、すぐには働けません。失業手当はあきらめるしかないのですか?
A. あきらめる前に、2つの道があります。基本手当は「すぐに就職できる状態」であることが前提なので、その状態のあいだは支給されません。ただし①離職後に引き続き30日以上働けなくなったときは、申し出によって受け取れる期間(原則1年)を延ばせます(雇用保険法第20条第1項)。②求職の申込みをしたあとに15日以上引き続いて働けなくなった場合には、雇用保険の「傷病手当」という別の給付があります。ハローワークインターネットサービスは「傷病手当の日額は基本手当の日額と同額です。」としています(14日以内なら基本手当が支給されます)。名前の似た健康保険の「傷病手当金」とは別の制度で、健康保険の傷病手当金など他の法令による類似の給付を受ける日には支給されません(雇用保険法第37条第8項)。また給付制限の期間中は傷病手当も支給されません(同条第5項)。条件と手続きがあるので、動けるうちにハローワークへご相談ください。
Q. 自己都合の給付制限は、1か月ですか2か月ですか?
A. 退職日で変わります。厚生労働省のリーフレットは「退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です」としています。ただし5年間に2回以上の自己都合退職や重責解雇にあたる場合は3か月です。ネット上に両方の数字が残っているのは、どちらも過去には正しかったからです。最終的な判断はハローワークが行います。
Q. 法律には、何か月と書いてあるのですか?
A. 具体的な月数は書かれていません。雇用保険法第33条第1項は「第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。」と定めているだけです。1か月以上3か月以内という幅の中で、実際に何か月にするかは条文の外で決まります。だから法改正がなくても運用で動きます。
Q. 給付制限の期間は、まったく何も入ってこないのですか?
A. 基本手当については支給されません。厚生労働省のリーフレットも「基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間(中略)は基本手当を支給されません」と書いています。ただしこの期間も失業の認定に向けた求職活動は必要で、教育訓練を受けている場合は解除の対象になります。ほかの給付の有無を含めて、窓口で確認してください。
Q. 教育訓練を受けていれば、必ず給付制限が解除されますか?
A. 対象と期限の両方を満たす必要があります。対象になるのは令和7年4月1日以降に受講を開始した教育訓練等で、途中退校は該当せず、重責解雇の場合は対象外です。そして申し出には期限があります。リーフレットの例では「5/14までに訓練受講の申し出をしなかった場合、6/11までに訓練受講の申し出をしたとしても、4/20〜5/14の基本手当を受給することはできません。」とされています。資格があっても、申し出が遅れた分は戻りません。
Q. 失業手当は「給料の6割」ですか?
A. 一律ではありません。ハローワークインターネットサービスは「およそ50〜80%(60歳〜64歳については45〜80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。」としています。当ブログの試算(30歳以上45歳未満・令和8年8月1日からの計算式)では、月給18万円で78.0%、月給30万円で63.1%、月給40万円で50.6%でした。6割前後になるのは月給30万円あたりで、それより低ければ率は上がります。60歳以上65歳未満は計算式そのものが別で、率も45〜80%になります。
Q. ボーナスは計算に入りますか?
A. 入りません。雇用保険法第17条第1項は、賃金日額を「最後の六箇月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く。(中略))の総額を百八十で除して得た額」としています。年に2回の賞与は「三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」にあたるため、除かれます。ハローワークの説明でも「つまり、賞与等は除きます。」と補足されています。
Q. 上限額はいくらですか?
A. 年齢で分かれています(令和8年8月1日現在)。30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円です。下限額は年齢に関係なく2,562円です。これらは毎年8月1日に変わります。雇用保険法第18条が、毎月勤労統計の平均給与額の増減に応じて「その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない」と定めているためです。
Q. 何日分もらえますか?
A. 自己都合なら、勤続10年未満で90日です。雇用保険法第22条第1項は、一般の受給資格者について、算定基礎期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日と定めています。就職が困難な方は別の日数(同条第2項)になります。
Q. 会社都合だと、そんなに違うのですか?
A. かなり違います。雇用保険法第23条第1項によれば、45歳以上60歳未満の特定受給資格者は、算定基礎期間1年以上5年未満で180日、5年以上10年未満で240日、10年以上20年未満で270日、20年以上で330日です。自己都合の場合の同じ勤続年数(90日・90日・120日・150日)と比べると2倍以上で、しかも給付制限もありません。離職理由の判断は、受け取る総額を大きく左右します。
Q. 90日分あれば、3か月は同じ暮らしができますか?
A. 同じにはなりません。月給30万円の人(30歳以上45歳未満・令和8年8月1日からの計算式)の90日分は567,630円で、3か月ぶんの給料90万円(額面)のおよそ6割強です。基本手当は非課税ですが(雇用保険法第12条)、住民税と国民健康保険料は別に払うことになります。しかも一度に入るのではなく、認定日ごとに分割して振り込まれます。「90日分もらえる」と「3か月暮らせる」は別の話だと考えておくほうが安全です。
Q. 手続きを後回しにしても、もらえる総額は変わりませんか?
A. 変わることがあります。雇用保険法第20条第1項は、受け取れる期間を原則として「離職の日(中略)の翌日から起算して一年」としています。所定給付日数が残っていても、この1年を過ぎた分は受け取れません。手続きが遅れるほど、7日の待期の開始も後ろにずれ、使える期間だけが短くなります。ただし、病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けないときは、受給期間の延長を申し出られます(最長4年)。この場合は「1年で消える」ではありません。
Q. 退職後、失業手当以外にお金が出ていくことはありますか?
A. あります。健康保険(任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれか)と年金(国民年金への切り替え)の手続きが必要になり、住民税は前年の所得に対してかかるため請求が続きます。収入がいちばん少ない時期に、いちばん稼いでいた年の税額が届くことがあります。金額は市区町村・年度・前年の所得で変わるので、届く通知書か窓口で確認してください。
Q. 生活防衛資金は、NISAの中に置いておいてもいいですか?
A. この記事はすすめていません。投資信託には元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません。必要になった月にちょうど値下がりしている、ということが起こり得ます。生活防衛資金は普通預金など、金額が変わらない場所に置いておく。そのうえで、余ったお金で積立を続ける。この順番のほうが、結果として積立を長く続けやすくなります。
Q. この記事の内容は、いつまで有効ですか?
A. 本記事は2026年9月8日に確認した資料に基づいています。基本手当日額の上限額・下限額と給付率の区切りは毎年8月1日に変わります(雇用保険法第18条)。給付制限の運用も、法律の「一箇月以上三箇月以内」の範囲内で変わることがあります。所定給付日数のように条文で定まっているものは比較的動きにくいものの、改正の可能性はあります。最新の金額は厚生労働省のリーフレット、手続きの取り扱いはハローワークでご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としており、退職をすすめるものでも、失業給付の受給可否を判断するものでもありません。受給資格の決定、離職理由の判断、支給額・支給日数の決定は、すべてハローワーク(公共職業安定所)が行います。記事中の金額は30歳以上45歳未満・令和8年8月1日からの計算式による当ブログの試算で、実際の金額は離職票に記載された賃金をもとに決定されます。基本手当日額の上限額・下限額は毎年8月1日に変更されます。記事中の内容は2026年9月8日に確認した公表資料(e-Gov法令検索「雇用保険法」、厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」、同「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」およびその「基本手当日額の計算式及び金額」、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「雇用保険の具体的な手続き」)に基づいています。制度の内容および運用は変更されることがあります。実際のお手続きは、必ずお住まいの地域のハローワークでご確認ください。退職した年の所得税の精算(確定申告)や個々の税額については、税務署または税理士にご確認ください。また、記事中で触れている投資信託・インデックスファンドには元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません。最終的なご判断はご自身の責任でお願いします。
詳細は 免責事項 をご確認ください。
2026年9月8日に資料を確認し、2026年10月7日に公開しました














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