「みんな、いくらくらい貯めているんだろう」——ふと気になって検索すると、たいてい最初に出てくるのは平均値です。そして、その金額を見て静かに落ち込む。よくある流れだと思います。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年調査によると、二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円でした。ところが同じ調査には、中央値(金額順に並べた真ん中の人の金額)720万円という数字も、15.7%の世帯が「金融資産を保有していない」という数字も、いっしょに載っています(同調査は、インターネットモニターを対象とした標本調査です。国が全世帯を数えたものではありません)。
この記事では、その原資料にあたりながら、平均に落ち込まなくていい3つの理由を確かめます。結論から言うと、比べるべきは他人の数字ではなく、少し前の自分の数字です。
- 「貯蓄の平均◯◯万円」という記事を見るたびに、気持ちが沈む
- 周りが実際どれくらい貯めているのか、聞ける相手がいない
- 自分だけ遅れている気がして、あせって何かに手を出しそうになる
- 貯金がほとんどない状態から、何を目印にすればいいのか分からない
→ ひとつでも当てはまったら、この記事が「数字との距離のとり方」のお手伝いをします。
- 平均1,940万円と中央値720万円の差が、どこから生まれているのか
- 「貯蓄ゼロが15.7%」の本当の意味(全世帯が口座0円、ではありません)
- 20代〜70代の年代別と、ひとり暮らしの数字
- この金額が「世帯まるごとの合計」だという、見落としやすい前提
- 数字を「比べる道具」ではなく「現在地の確認」に使う方法
ふくおさん、さっき「貯蓄の平均は1,940万円」って記事を見たっす。自分、もう終わってるっす……。
その数字、たしかに出ているよ。でもね、同じ調査の同じページに中央値720万円という数字も載っているんだ。
ちゅうおう……ち? 平均とどう違うんすか。
全員を金額の少ない順に並べたときの、ちょうど真ん中の人の金額だよ。平均は一部の高額な世帯に引っ張り上げられるから、調査をしている側も「平均だけ見ると実感とかけ離れる」と書いているんだ。
そうなんすか! ……いや、でも720万円も無いっす。やっぱり自分だけダメっす。
同じ調査で「金融資産を保有していない」と答えた世帯が15.7%あってね。しかも、その半分は口座にお金が残っているんだ。数字の意味から順番に見ていこうか。

僕がお金のことでいちばん焦っていたのは、2018年ごろです。頭の中にあったのは「早く増やさなければ」という一点だけでした。
その焦りが向かった先は、いちばん値動きの大きい場所です。FXや短期の売買に手を出して、その年、130万円を失いました。取り返そうとして、さらに動きの大きいほうへ行った結果です。
いま振り返って思うのは、あのとき僕は比べる相手をまちがえていたということです。見ていたのは、いつも自分の外側にある数字でした。1年前の自分と比べていれば、少なくとも「増やし方」より先に「減らさない方法」を探せたはずです。この失敗の詳しい話は 投機で130万円を溶かした僕が、投資にたどり着くまで に書いています。
2025年の調査では、平均1,940万円・中央値720万円
まず、数字の出どころをはっきりさせておきます。この記事で使うのは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年(令和7年)調査です。もともと金融広報中央委員会が公表していた調査を、J-FLECが引き継いで実施しているものです。
調査は2025年6月20日から7月2日にかけて行われたインターネットモニター調査で、対象は二人以上世帯が5,000世帯、単身世帯が2,500世帯です。国勢調査の構成比にもとづいて、地域・年代・男女の割合をそろえたうえで抽出されています。
その結果が、次の数字です。
| 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 二人以上世帯・平均 | 1,374万円 | 1,940万円 |
| 二人以上世帯・中央値 | 350万円 | 720万円 |
| 二人以上世帯・金融資産非保有の割合 | 24.0% | 15.7% |
| 単身世帯・平均 | 989万円 | 919万円 |
| 単身世帯・中央値 | 100万円 | 130万円 |
| 単身世帯・金融資産非保有の割合 | 32.8% | 30.1% |
平均と中央値で、これだけ開きがあります。二人以上世帯では1,220万円の差です。同じ集団を、同じ調査で測っているのに、です。
分布を見ると、その理由が見えてきます。
📊 5,000世帯の金融資産は、こう散らばっている
二人以上世帯・2025年/金融資産を保有していない世帯を含む
山がひとつではありません。いちばん左(0円)と、いちばん右(3,000万円以上)の両端が高い形をしています。この形のとき、平均はひとつの代表値としては働きにくくなります。
⚠️ この調査の前提
この調査は国が全世帯を数えたものではなく、インターネットモニターとして登録している人の中から抽出して行われた調査です。回答は自己申告で、金額を答えなかった世帯も2.0%あります。
また、2021年に調査の方法と対象が大きく見直されているため、2020年以前の数字とそのままつなげて「推移」として読むことはできません。この記事でも、長期のトレンドとしては扱っていません。
理由① 平均は、少数の高額世帯に引き上げられている
ひとつめの理由は、平均という計算方法そのものにあります。これは推測ではなく、調査をしている側が資料の中で明言していることです。
📖 調査資料「【BOX2】平均値と中央値」より
「このように、平均値は少数の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられることがあるため、平均値だけでみると、多くの世帯が実感とかけ離れた印象をもつのである。」
「このような平均値の持つ欠点を補うために、ここでは平均値と並んで中央値を用いて一般的な家計像を捉えることとする。」
作った側が「平均だけ見ると実感とかけ離れる」と書き、そのために中央値を併記している。つまり中央値のほうが、この調査の設計思想としては「一般的な家計像」に近い数字だということです。
どれくらい引き上げられているのかも、分布から確かめられます。5,000世帯のうち、1億円以上を保有している世帯は155世帯(全体の3.1%)ありました。一方で、金額を回答した4,900世帯のうち2,000万円未満が71.3%を占めます。平均の1,940万円は、この「2,000万円未満」のすぐ内側にある金額です。
単身世帯の資料には、もっと直接的な記述があります。
📖 単身世帯調査「【BOX2】平均値と中央値」より
「今回調査では、金融資産保有額の平均値は919万円であったが、保有世帯(金額無回答を除く)が1,690世帯、非保有世帯(保有額=0万円とみなす)が753世帯であり、全世帯(金額無回答を除く)のうち8割弱が平均値よりも保有額が少なくなった。」
8割弱が平均より下。これは特殊な事態ではなく、資産の分布ではふつうに起こることです。平均を下回っていることは、そのまま「遅れている」を意味しません。ただし、この8割弱には「金融資産非保有(保有額=0万円とみなす)」と答えた753世帯も含まれています。分布の形の話であって、全員に余裕があるという意味ではありません。
8割弱が平均より下……。じゃあ平均って、誰の話なんすか……?
「全部を足して頭数で割った数字」であって、誰か特定の人の数字ではないんだ。1億円以上の世帯が155もあれば、そこに引っ張られるよ。
じゃあ中央値の720万円が「ふつう」ってことっすね。そこを目標にすればいいっすか?
そこは気をつけたいところだね。中央値は分布の真ん中であって、誰かにとっての適正額ではないよ。目標は、必要な金額から逆算して決めるものなんだ。
理由② 「貯蓄ゼロ15.7%」は、全世帯の口座が0円という意味ではない
ふたつめの理由は、言葉の定義です。「金融資産非保有」という区分は、日常の感覚でいう「貯金ゼロ」とは違います。
この調査は、調査票の中で「金融資産」をこう定義しています。
📖 調査票の定義(注1)より
「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く」
つまり、生活費として口座に入れてあるお金は、この調査では最初から「金融資産」に数えないということです。給料が振り込まれ、家賃や光熱費が引き落とされる口座のお金は、いくら入っていても対象外になります。
その結果がどうなるかは、調査自身が別の設問で確かめています。
🔍 「金融資産を保有していない」784世帯の中身
二人以上世帯・2025年/金融資産非保有と回答した世帯への追加質問
「貯蓄ゼロ」と紹介されがちな15.7%のうち、ちょうど半分は口座にお金が残っています。将来に備えて分けた部分がまだ無いだけで、生活のためのお金は口座にある、という状態です。
もちろん、残りの半分は残高がない、あるいは口座を持っていないと答えています。厳しい状況にある世帯があることは事実です。ただ、「15.7%の家すべてに1円もない」という読み方は、この数字の意味とは違うということになります。
⚠️ 逆に、自分の金額を過大に見ないためにも
定義が「日常の出し入れに使う分を除く」である以上、この調査の数字と自分の残高を比べるときは、生活費用の口座を差し引いてからにしないと条件がそろいません。給与振込口座の残高をそのまま足すと、この調査より多めの数字になります。
比べるための下ごしらえとしては、お金の置き場所を分けておくのがいちばん簡単です。方法は お金の置き場所は3つでいい にまとめています。
理由③ この金額は「世帯の合計」で、年代でも世帯の形でも変わる
みっつめの理由は、集計の単位です。ここまで見てきた二人以上世帯の金額は、世帯にいる人全員分を合計したもので、ひとりの持ち分ではありません。
この調査の二人以上世帯は、世帯人数が平均2.9人、世帯主の平均年齢は55歳です。夫婦の資産を合わせた金額であることも、子どもの教育資金を含んでいることもあります。ひとりの通帳の金額として読むと、実態より高く感じて当然です。
年代別に見ると、その差はさらにはっきりします。
📊 年代別に見た、平均値と中央値のひらき
二人以上世帯・2025年/世帯主の年代別・1世帯あたり(世帯全員の合計)
数字にすると、こうです。
| 世帯主の年代(二人以上世帯・2025年) | 回答数 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 171 | 525万円 | 125万円 |
| 30代 | 648 | 1,096万円 | 311万円 |
| 40代 | 1,052 | 1,486万円 | 500万円 |
| 50代 | 1,024 | 1,908万円 | 700万円 |
| 60代 | 1,022 | 2,683万円 | 1,400万円 |
| 70代 | 1,083 | 2,416万円 | 1,178万円 |
30代の中央値は311万円、40代でも500万円です。全体の中央値720万円だけを見て「まったく足りない」と感じていた人も、自分の年代で見れば印象が変わるかもしれません。
ひとり暮らしなら、こちらの数字が近い
ひとり暮らしの場合は、単身世帯の調査のほうが条件が近くなります。こちらは平均年齢50歳・2,500世帯が対象です。
| 年代(単身世帯・2025年) | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 20代 | 255万円 | 37万円 |
| 30代 | 501万円 | 100万円 |
| 40代 | 859万円 | 100万円 |
| 50代 | 999万円 | 120万円 |
| 60代 | 1,364万円 | 300万円 |
| 70代 | 1,489万円 | 500万円 |
| 全体 | 919万円 | 130万円 |
単身世帯全体の中央値は130万円。最初に見た1,940万円とは、15倍近い開きがあります。同じ「みんなの貯蓄額」でも、どの調査のどの数字を見るかで、まったく違う景色になるということです。
⚠️ 数字を比べるときの3つの前提
- 単位:二人以上世帯の金額は世帯全員の合計。個人の残高ではありません
- 範囲:日常の出し入れに使う預貯金は含みません
- 母集団:二人以上世帯と単身世帯は別々の調査です。金額を足したり引いたりはできません

いま僕が見ている数字は、3つだけです。生活費とは別に置いてある現金がいくらか。毎月いくら積み立てているか。そして、去年の同じ月と比べてどうか。
他人の数字を見なくなってから、続くようになりました。以前は「同年代の平均」のような数字を見つけるたびに、気持ちが上下していたのです。上でも下でも、落ち着かないことに変わりはありませんでした。
いまは月10万円ほどを積立に回していますが、この金額も誰かと比べて決めたものではありません。生活に無理のない範囲を先に決めて、残りで暮らしているだけです。比べる相手を「去年の自分」にした瞬間から、数字は自分を追い立てるものではなくなりました。
数字の使い道は、比べることではなく現在地を知ること
ここまで見てきたとおり、他人の数字は条件がそろっていません。世帯の人数も、年齢も、含まれている範囲も違います。そろっていないものを比べても、出てくるのは焦りだけです。
そのかわりに使えるのが、自分の数字です。確かめるのは3つで足ります。
💡 自分の現在地を知る3つの数字
- 生活費とは別に置いてある現金はいくらか——急な出費に耐えられる分。目安は 生活防衛資金はいくら必要? にまとめました
- 毎月いくら残せているか——収入から支出を引いた余力。ここが積立できる上限になります
- 去年の同じ時期と比べてどうか——増えていれば、それが答えです。今回が1回目なら、今日数えた金額が、そのまま来年の比較相手になります
この3つが分かれば、必要な行動はだいたい決まります。1つめが薄ければ、まず現金を厚くする。足りているなら、2つめの範囲で積立の金額を決める。生活防衛資金が先で、投資はそのあとです。この順番は NISAの積立額はいくらが正解? でも同じ考え方をとっています。
そして、老後のように「いくら必要か」を知りたい場面では、平均でも中央値でもなく自分の生活費から逆算するのが答えになります。その計算の型は 「老後2000万円問題」は本当? に書きました。
⚠️ 平均や中央値を見たあとに、やらないほうがいいこと
- 中央値を目標額にする——分布の真ん中であって、必要額ではありません
- 遅れを取り戻そうとして、値動きの大きいものに一度に入れる——僕が2018年にやったことです
- 「もう手遅れ」と決めて、確かめるのをやめる——現在地が分からない状態がいちばん動きにくくなります
もうひとつ、先に伝えておきたいことがあります。NISAは「買うもの」ではなく、税金がかからない形で投資ができる箱(口座・制度)です。中身として買う投資信託や株式には元本割れの可能性があり、始めれば資産が増えると決まっているわけではありません。長期の複利も、効果が表れるまでに時間がかかる仕組みです。数字に追い立てられて急ぐと、いちばん相性の悪いやり方になってしまいます。
ふくおさん、自分、さっきより落ち着いたっす。でも中央値にも届いてないのは事実っす。
うん、それは事実だね。でもその事実から出てくる行動は「焦って一発当てる」じゃないんだ。まず、生活費と別に置いてある現金がいくらあるか数えることだよ。
それ数えて、少なかったらどうするんすか。もっと落ち込むっすよ。
そのときは、そこが出発点になるだけだよ。来年の同じ時期に少しでも増えていれば、それは前に進んだということだからね。比べる相手が自分だと、増えた分がちゃんと成果になるんだ。
なるほどっす。じゃあ今日は平均のことは忘れて、通帳を見るところから始めるっす!
それがいちばんいい使い方だよ。平均は「自分を測る物差し」じゃなくて、「そういう分布なんだな」と知るための数字なんだ。
まとめ|平均は、誰か1人の金額ではない
- 2025年調査の二人以上世帯は、平均1,940万円・中央値720万円(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 理由①:平均は少数の高額世帯に引き上げられる。調査資料自身が「平均値だけでみると実感とかけ離れる」と明記している(単身世帯では8割弱が平均値より少なかった)
- 理由②:「金融資産非保有15.7%」は、その全世帯が口座0円という意味ではない。ちょうど半分(392世帯)は口座に残高がある。ただし残り半分は「残高がない」「口座がない」という回答で、実際に厳しい世帯もいます。この調査の金融資産は、日常の出し入れに使う預貯金を含まない
- 理由③:二人以上世帯の金額は世帯全員の合計(世帯人数は平均2.9人)。ひとり暮らしなら単身世帯の中央値130万円のほうが条件が近い
- 中央値は分布の真ん中であって、目標額ではありません
- 生活費の口座とは別に置いてある現金を、1回だけ数えてみる
- 自分の年代・世帯の形に近い数字(表の該当行)だけを見て、全体の平均は閉じる
- 比べる相手を「去年の同じ時期の自分」に置き換える
- 現金が薄いと感じたら、投資より先に「もしものお金」を厚くする(目安は上のリンク先にまとめています)
- 毎月の余力が分からないときは 家計簿が続かないのは性格のせいじゃない の3つの数字から
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※どちらか一方をすすめる記事ではありません。また、平均や中央値に届いていないことは、投資を始める理由にはなりません。先に確認したいのは生活防衛資金のほうです。投資信託や株式には元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません。「0円」は口座開設料・口座管理料についてのもので、取引手数料や投資信託の信託報酬など、商品・取引に応じた費用は別途かかります。上記の「0円」「投信積立は100円から」「楽天ポイントで投資できる」といった各社のサービス内容・条件は、いずれも2026年8月時点のもので、最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。
※本記事の金額は、金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年(令和7年)調査によるものです。同調査は2025年6月20日〜7月2日に実施されたインターネットモニター調査で、対象は二人以上世帯5,000世帯・単身世帯2,500世帯です。全世帯を対象とした調査ではなく、回答は自己申告にもとづきます。二人以上世帯の金額は世帯員全員分の合計であり、個人が保有する金額ではありません。また、同調査の「金融資産」には、預貯金のうち日常的な出し入れ・引落しに備えている部分、現金、実物資産(土地・住宅・貴金属等)、事業用資産は含まれません。2021年に調査の方法・対象の見直しが行われているため、2020年以前の数値とは接続しません。なお同調査は2026年1月21日に図表の訂正が公表されており(2025年二人以上世帯調査 図表1の「有価証券」755万円→727万円ほか)、本記事は訂正後の資料にもとづいています。この調査は毎年実施されており、最新の数値は公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 平均と中央値、どちらを見ればいいですか?
A. 「みんなの実感に近いのはどちらか」という意味では中央値です。調査資料自身が、平均値は少数の高額資産保有世帯によって引き上げられる欠点があるため、それを補う目的で中央値を併記していると説明しています。ただし中央値も「目標にすべき金額」ではありません。分布の真ん中がどこかを示しているだけです。
Q. この調査の「金融資産」には、何が含まれますか?
A. 運用のため、または将来に備えて蓄えている預貯金・保険・有価証券などです。逆に、預貯金のうち日常的な出し入れ・引落しに備えている部分、現金、土地・住宅などの実物資産、事業用の資産は含まれません。生活費用の口座残高が入っていないぶん、自分の感覚より小さめに出る定義だと考えてください。
Q. 「金融資産非保有が15.7%」は、貯金が1円もない世帯が15.7%あるということですか?
A. そうではありません。この784世帯にあらためて口座の状況をたずねた結果、50.0%(392世帯)が「口座を保有していて、現在、残高がある」と答えています。「口座はあるが残高はない」が35.3%(277世帯)、「口座を保有していない」が14.7%(115世帯)です。将来に備えて分けている部分が無い、という状態を含んだ区分だということです。
Q. 2024年から中央値が350万円→720万円に増えています。それだけ貯まったということですか?
A. そう読むのは慎重にしたほうがいいと思います。この調査は毎年、条件に合うモニターから改めて抽出して行われるため、同じ世帯を追いかけているわけではありません。1年でこう出た、という以上の意味を単年の変化に持たせないのが安全な読み方です。同じ理由で、この記事でも「日本人の貯蓄がこれだけ増えた」という書き方はしていません。
Q. ひとり暮らしです。どの数字を見ればいいですか?
A. 単身世帯の調査のほうが条件が近くなります。単身世帯全体では平均919万円・中央値130万円、年代別の中央値は20代37万円、30代100万円、40代100万円、50代120万円、60代300万円、70代500万円です。二人以上世帯の数字は世帯全員の合計なので、ひとり暮らしの残高とそのまま比べると差が大きく出ます。
Q. 平均にも中央値にも届いていません。急いで投資を始めたほうがいいですか?
A. 順番としては、投資より先に生活防衛資金の確認をおすすめします。手元の現金が薄い状態で投資に回すと、急な出費のときに値下がりしていても売らざるをえなくなるためです。また、NISAで買う投資信託などには元本割れの可能性があり、始めれば差が埋まるというものではありません。長期で続けることが前提の仕組みなので、焦って大きく動くのとは相性がよくないと思います。
Q. 20代の平均525万円は、多すぎる気がします。
A. 20代は回答数が171世帯と少なく(他の年代は648〜1,083世帯)、少数の高額な回答に金額が動かされやすい区分です。同じ20代でも中央値は125万円で、平均とは約4.2倍の開きがあります。二人以上世帯なので共働き世帯の合計額が含まれる点も、印象が高くなる理由のひとつです。
📎 参考にした主な公的情報・一次情報
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC):家計の金融行動に関する世論調査 2025年(令和7年)
- 同:二人以上世帯調査 調査結果(調査要綱/図表1/【BOX1】標本属性/【BOX2】平均値と中央値・保有額別世帯数)
- 同:単身世帯調査 調査結果(【BOX2】平均値と中央値)
- 同:二人以上世帯 時系列データ(金融資産保有額・非保有世帯を含む/Excel)
- 同:二人以上世帯 各種分類別データ(年代別の平均値・中央値/金融資産非保有世帯の口座の有無/Excel)
- 同:単身世帯 各種分類別データ(年代別の平均値・中央値/Excel)
- 同:「家計の金融行動に関する世論調査」の訂正について(2026年1月21日)
※本記事は情報提供を目的としており、特定商品の購入推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
詳細は 免責事項 をご確認ください。
最終更新日:2026年8月24日













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